経営品質

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私自身は、日本経営品質賞のセルフアセッサーであり、時に応じて経営品質賞の審査員をしている。審査プロセスを理解していると思うし。比較的年数を経ているので、それなりの見方ができると自負している。しかし、逆にその経験から、今の経営品質賞の審査過程は納得しているわけではないことに気が付いた。

経営品質賞の審査は、あくまでも基準があり、その基準に対して評価をすることが求められている。一方で、実際の経営は、その会社独自の「正しいやり方」で経営をしており、日本経営品質賞の基準からは経営を見るというスタンスとは相いれないと思う。

このセクションでは、経営品質賞を否定するわけではないが、かといって賛同するわけでもない。もう少し自由に見てみよう。

経営と言うものを俯瞰する際に経営品質賞をどう絡めてゆけばよいのかの思考を整理するためのものである。

2018年6月29日

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リンガーハットにみる戦略の難しさ

【戦略が正解とは限らない】

この正月に、「事業計画」を作成したのでコメントしてほしいという話があった。
この会社の戦略などは承知していたので、どんなものかと訪問した。
驚いたのは、ほとんどの部門では「前年度の事業の継続。売上げ+3%」といった内容だった。
「御社の○○を実現するという基本理念や、それを実現するための戦略課題の**とどう関係するんですか?」
という問いには答えてもらえなかった。

同じような経験をこの秋にも体験した。
一体これはどういうことなのだろうか?

今年を総括するという意味での徒然として記載する。

(戦略とは何か)

私自身は「日本経営品質賞」のセルフアセッサーなので、経営に関して考えることも多い。
経営に関して一番悩ましいのは戦略だと思う。
ちまたでは様々な戦略の定義があるのだが、「日本経営品質賞」ではどう説明しているのだろう。

戦略とは、組織の将来をどのようにしたいかという構想を定め、それを実現するために進むべき道やとるべき方策を明確にすることです。
(経営品質向上プログラム アセスメントガイドブック 2012年度版 より)

戦略(型思考)というのは定められた前提条件そのものに従う(管理型思考)のではなく、条件そのもをより効果的なモニに変えられないかを考えることです。
(セルフアセッサーの認定研修資料より)

私自身の解釈として
・将来のビジョンがあること
・そのための道筋(ストーリー)があること
・ゲームチェンジャーになること
などが条件になるだろう。

(戦略と主義)

戦略に係わる本を読んでいると、結局は経営資源の調達と分配、その成果に目が向いてしまうが、ストーリー性を前面に出すものは少ない。
「戦略」というよりは、むしろ主義と呼んだ方が良いのかもしれない。
象徴的なのは「ブルーオーシャン戦略」だろう。
競争相手がいない土俵では利益を独り占めできるのは当たり前だろう。
一方で、「レッドオーシャン」で差別化を図り他社を蹴散らすのもありだろう。

そこのあるのは成功を勝ち取るための「何を選択して、何を選択しないのか」の方針でしかない。

私の好きな言葉の一つに
「Not Justice  Only Different」
と言うのがある。
戦略に求められるのは「他社とは違う何か」だろう。
「ブルーオーシャン」は一つの方向性にはなるが戦略そのものにはなり得ない。
「ブルーオーシャン」主義というのがしっくりくる。

(業績至上主義は戦略か)

企業のIR情報などを見ると企業がどのような目標を立てているのがある程度わかるのだが、「我が社の戦略は○○です」という文脈で見ることができる資料がほとんど無い。

一番困るのが、「来期の売上高」を戦略目標に掲げている例だろう。

私自身はことあるごとに「業績や売上げは制約条件であり、目標でも目的でもない」と話をしている。企業理念やビジョンから派生したストーリーでなければ戦略としては認められない。
たとえ、「3年後に○○億円の売上げ」などと云って事業の拡大を謳ったところで独自性や、それがうまく行くための方策も描けなければ戦略ではなく、単なる「宣言」にしか過ぎない。

売上げを口にしたところで、「社員」も「顧客」や「社会」にどんな変革をもたらすのかのコンテキストがなければ「業績目標」は「戦略目標」とは認められない。

(戦略は成功を保証しない)

では、戦略策定は成功を保証するのかといえばそうはならないだろう。

https://toyokeizai.net/articles/-/261590
リンガーハット、値上げでも大幅減益の理由

リンガーハットと云えば「長崎ちゃんぽん」の店舗を中心に「食の提供」をしている会社であり、その経営理念は夏季のように提示されている。

私たちの使命観 「すべてのお客さまに楽しい食事のひとときを心と技術でつくるリンガーハットグループ」 は、食の安全・安心・健康づくり、誠実なお客さま対応、人間性尊重と職場環境の改善、自然と環境への配慮、地域社会への貢献という五つの実践訓によって理念を構成しています。

私の記憶なのだが、やはり売上げなどが低迷したときに「女性」と「健康」に焦点を当てた戦略を展開し、一定程度の安定的な業績を確保していたはずだ。

おそらく、経営理念などを見る限り、その戦略の大幅な変更はないだろう。
戦略と呼べるかどうかはともかく、企業の方向性はCSRレポートにも見ることができる。

とはいえ、経営資源の選択や配分をどのようにするのかの選択のフィロソフィーはある程度わかるものの、それ以上のことはわからない。
こうした資料からは、企業の戦略を読み解くことは難しい。

しかし、戦略を明確にしないと株主にとっても社員にとっても未来の予測ができない。
かといって、今年は「これだけ儲けます」と宣言されても、結局は戦略とは関係の無い「今までの実績」に依拠してしまう。

確かに「戦略」を明確にしたからといって成功の十分条件にはならないが、戦略がなければ博打のような場当たり的な経営になる。
そうした意味では「戦略の明確化」は関係者に伝えるべきもので必須であり、必要条件になる。

この必要条件を提示できない組織は「経営革新」に取り組むものとは認められない。

<参考資料>
・https://www.ringerhut.co.jp/corporate/policy/
・https://www.ringerhut.co.jp/csr/csr/

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