ISO9001:2015 9.2 内部監査 9.2.1

ISO9001:2015の9.2 内部監査 9.2.1 には以下の記載がある。

9.2.1 組織は、品質マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために、あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。

a) 次の事項に適合している

1)品質マネジメントシステムに関して、組織自体がが規定した要求事項

2)この規格の要求事項

b) 有効に実施され、維持されている

さて、この「有効に実施され、維持されている」情報の提供をできなくさせてしまう状況にはどう対応したらよいのだろう。

2017年10月。日産が無資格者に検査を行わせていたことが問題となった。そのうちの一つが以下の記事だ。

http://www.sankei.com/economy/news/171006/ecn1710060031-n2.html

 

上記に以下の記載がある。

石井国交相は6日、「検査の確実な実施のため、見直すべき点がないかどうか検討したい」と述べ、制度の運用見直しを含めた再発防止策を検討する。「第2の日産」を生まないためには検査基準を明確にするなど、可能な限り「曖昧さ」を排除する観点が求められそうだ。

上記が間違っているわけではない。

しかし、問題のとらえ方が間違っているのではないのか?

今回の事件を「検査資格のない人間が検査していた」ということを問題としてとらえ、検査をメーカー任せにしていたことがダメだったととらえると、検査実施に係る基準などを明確にしてゆくという考え方に行き着く。

しかし、今回のことを、「偽装用のハンコが常備されており、日常的に記録が偽装されていた」ととらえると全く違う側面が出てくる。

私自身はISO9001の審査員をやっているが、マネジメントが適切に行われている証拠として、「インタビュー」「記録」「現場観察」をセットとして使うことになる。
時間的なこともあり中心になるのは「記録」となる。

「インタビュー」でもウソを言われ、「記録」もウソが書かれていれば、あとは「現場観察」でしか見つけられない。審査の時に見つからないように「現場」で対応するのは可能だ。

自動車業界ではISO9001に対応したTS16949があり、一般的には2者監査で使用される。悪意がある委託先に対してこうした外部監査で不正を見つけるのはほぼほぼ不可能だ。

組織には内部監査もある。内部監査で見つけられないとしても現場が隠す気になっていればまずわからないだろう。もっとも、こうしたことは薄々噂になることが多い。全く予見できないとしたら監査組織が無能なのだろう。

仮に、内部監査部門が知っていたとしたら深刻だ。いわゆるガバナンスが全く働いていないことになる。日産という会社のモノづくりとしての姿勢が疑問視される。

さて、こうした場合の再発防止策を考える前に調べなくてはいけないことがある。
① いったいいつからこうした偽造が始まったのか?
② 他に類似の偽造はないのか?
③ いったいどの階層まで承知していたのか?
これがわからないと対策の取りようがない。

日産では、こうしたことを視野に入れた対策になるのだろうか?

内部監査が有効かどうかを見るための新たな視点となるだろう。

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