俺たちはロボットじゃぁない

AIは雇用を奪わない3つの理由
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/world/061200585/?P=2&ST=pc

シンギュラリティという言葉が注目を浴び始めてから盛んに云われるのは、「AIにより仕事を奪われる」という論調だ。

こうした議論は半分正しく、半分正しくない。

機械が人間の職を奪う時代になったら真っ先に窮地に立たされるのは放射線科医だ、と悲観論者たちは言う。

で始まる記事は、仕事を奪われる理由と奪われない理由が書かれている。
一つ目は、AIといっても、その範囲は限定的であること。
二つ目は、仕事というのは多様な作業で成り立っている。複雑性がある。

これは正しい。
ただし、これは今のところはAIにも限界があると云っているに過ぎない。
技術の進歩は、限界と多様性を超えてゆくだろう。

本質的な問題は、技術の進歩により「労働」が減ってゆくことだろうということだ。

私自身は、1979年に大学を卒業し、多くのことを見てきた。
IT業界から始まり、関連するいくつもの事業を見てきている。

無くなった仕事の代表は、電話交換手が引き合いに出される。
そのときには価値があったものが、環境が変わることでなくなったり価値が減少しているモノの枚挙にはいとまが無い。

・コーダー
かつてはシステム開発は上流から下流に落とし込んでゆく工程で、プログラマーが作る詳細設計をプログラムコードに展開する職業があった。
ほとんど死語になっている。
・タイピスト
英文だけでなく、和文も専用のタイプライターがあった。
行政文書や契約書は和文タイプが必要だった。
和文タイプライターは使いこなすためには技術が必要だった。
ワープロなどに完全に置き換えられている。

今は見なくなったモノとしては、エレベーターガール、信号に取って代わられた交通整理の警官。高速道路などの工事でライトを振るのも人形に変わっている。

田植えは田植え機に、旋盤加工などもマシニングセンターに変わっていっている。
農作物の仕分けや梱包も機械で代替できるようになるだろう。
人手でやっていることの多くはなくなる。
専門職も例外ではない。
行政書士も弁護士も、公認会計士もどんどん、ITに浸食されてゆくだろう。
彼らに頼まなくてはできないことが少なくなってゆく。

結局残る仕事は、「俺たちはロボットではない」と胸を張れる仕事にシフトしてゆく。
介護ロボットは、多くの役務を代替してくれるだろう。しかし、「人の温もり」や「甘えさせてくれる安心」は当面は無理だろう。

試しに、「人間が自分だけ」という世界を想像してみれば良い。

人事制度も、今社員がしている仕事がなくなるという前提で制度を考えてゆく必要がある。
成果主義と云っているが、成果はAIが生み出してくれることになる。
AIに何を頼むのかを考える仕事だけがの残るかもしれない。

社会や文化に思いをはせることができる人だけが残るとしたら、どんな育成をしたら良いだろう。会社は、第2の学校機関という選択肢もある。

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