実践経営哲学(20180719)

7/18 JQAA講演会 講師:古望高芳氏(三方よしビジネスサポート研究所 所長)

7/18 JQAA講演会 講師:古望高芳氏(三方よしビジネスサポート研究所 所長)

 

昨日(2018年7月18日)に上記の講演会に行ってきた。

古望氏は、もともとはパナソニックの方で、松下氏の考え方を広く知らしめる活動をしている。氏の講演は、松下氏の哲学をわかりやすく説明するもので、経営者としてまだ迷っている方や、あるいは大手企業の取締役クラスの方が聞くと参考になりそうな話だ。

話の中心は、経営理念を大切にすること、人を大切にすること、モノづくりの前に人づくりをすることなど、普遍的な価値観の話が多かった。

こうした松下語録は書籍として普及しており、例えば「実践経営哲学」といった形で読むことができる。

 

ただし、「実践」という側面ではいろいろ考えさせられる。

例えば、「理念」を最優先させるといっているが、多くの企業の年度計画、中期経営計画は売り上げなどの財務データに終始している。

バランスドスコアカードと言いながら、プロセス革新の話や組織の学習の話は出てこない。

これは、システム開発における「仕様書」と「実装」のギャップに近いものがある。
現在のシステム開発は、かつてのウオーターフォール型の開発とはかなり異なってきている。
かつてのシステム開発は、仕様書の段階から細かい具体性が記述されているために、仕様書と設計書、実装のギャップがそれほどなかった。
仕様書の質が高ければ問題はほとんどなかった。

現在はどうだろう。
この仕様書にあたる部分が、抽象度が高くなってきている。そのため、実装が試行錯誤にならざるを得ず、いわゆるプロトタイプ開発のような手法が脚光を浴びることにもなる。

これは、経営管理にも当てはまる。
経営理念は抽象的であり、ビジョンといっても実装イメージを無視した形になっている。
したがって、ビジョンや理念から導き出されるミッション、あるいは戦略は唐突にならざるを得ず、戦術や課業コントロールに展開しているといっても、見た目は一貫性があったとしても、ブレークダウンするときに「発想が飛躍する」ことを避けられない。

そのため、例えば実践経営哲学に記載の「まずは経営理念を確立すること」を実践したとしても、実際の組織運営は会社ごとに異なり、それも何が正解かわからないという状況になる。

結局「まずは経営理念を確立すること」は必要条件ではあるが十分条件ではない。
実装技術をどう磨くかが課題となるだろう。

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