給与体系の崩壊はそこまで来ているのか

今日(2018/10/23)、二つの記事が目についた。

マカオ転職で給料4倍! このままでは日本の賃金が危ない!
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1810/23/news046.html

70歳までの雇用促進を政府議論、年金受給開始年齢の引き上げも=未来投資会議
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1810/22/news101.html

以前、外資系の企業が初任給に40万円を提示したことがあり話題になったことがある。
身の回りに、そうした事例は見ないのだが、今後そうした事例を見聞きするかもしれない。

70歳までの雇用延長は政治の無策の象徴の匂いがしており、気味の悪さを感じるが、政治的な圧力は確実に企業に浸透して行くだろう。
実質的に「定年」という概念がなくなる気がする。

かつて55歳定年が普通の時代では、22歳入社で55歳までなので、実質30年間の働き方とキャリアパス、給与を考えれば良かった。
これが、70歳までと言うことは50年近くのキャリア設計になる。
連続性を持った、キャリアパスの設計は無理だろう。

今年の就活ルールは従前のものになるが、今後はどうなるかわからない。
大卒一括採用も崩れるかもしれない。

そうなった時に、配慮すべき事柄に以下が考えられる。
(注意:法律上の問題があるのであくまでも仮想的なものである)

(1)在学中も含めた通年雇用
 大学卒業時ではなく、働きたいと意思決定した時に採用する仕組みが考えられる。
 在学中はフルタイムとは行かないが、社員への登用を前提として仮雇用し、給与を払う仕組みが考えられる。
 学業への影響などと建前を言っていても、今でも「アルバイト」はある。
 また、知識の修得自体を目的に社会人になってから大学に行かせる制度もある。
 今の仕組みの延長線上でできない理由はない。

(2)初任給を同じにすることの必然性の消失
 いつでも有能な人にふさわしい給与と言うことであれば、現在の一律の初任給制度はふさわしくない。
 一律の初任給制度を行うと、その後の給与にはたいした差は出なくなり、能力や成果で評価すると言うことが有名無実になりやすい。
 年齢という概念を完全になくす必要がある。
 その時に配慮すべきことは下記である。

① 習熟度が必要な職種であるかどうか
 当然習熟度が必要な職種はある。建設業での現場作業や製造現場での機器の操作がある。
 習熟の速度や難しさで立ち位置を評価して給与を設定する。

② 感性なのか知識なのか
 若者向けのイベントや、新商品開発など、知識・技術ではなく発想力で成果を出す職種もある。高度プロフェッショナルかどうかではなく、そもそも成果が時間と一致しない職種だ。向いていると思ったら高額で採用し、成果が出なければ職種の転換をする対象となる。

③ 管理のレベル
 仕事を進めるに当たって、指示されてできるのか、一人でできるのか。
 複数の人間をまとめ上げて仕事ができるのか、もっと大規模にできるのか

④ 人間関係の維持力
 関係者をどのように巻き込めるのか

 大卒であってもこれらをクリアできる人材なら高額で使用すべきだろう。

 もう一つの問題は定年が無くなること。
 上記でも記述したが、連続した50年のキャリアパスを設計することは現実的でない。

 ここではステージという概念を持ち込む。

(1)会社への貢献をするために、他者の指示命令系統に属している段階
 会社に所属をしたばっかりの段階では、仕事をするための習熟度も低く、知識・技術・経験が十分ではない。会社から機会をもらいながら組織貢献をする段階。
 一般的には、会社入社時年齢(22歳)から30歳前半を想定できる。
 経験の蓄積により組織貢献の度合いが高まるので、従来型の賃金の思想で対応できる。

(2)他者を率いてプロジェクトを執行管理できる段階
 会社への貢献を積極的に行える段階。会社との契約を期間契約で行うことが想定できる。
 あらかじめ、企業にコミットし、成果を創出する。

(3)プロジェクトを創造する
 事業計画を策定し、会社から資金調達を行い成果を創出する。
 会社側から見れば投資先になる。
 報酬は、取締役と同じ水準でもらうべきだが、あくまでも成果報酬となる。
 ハイリスクハイリターンになる。

 単純には、これほどきれいには分かれない。
 また、運用に当たっては、結局は社員に選ばせることになる。

 最終的には、個人ごとの賃金契約になるだろう。

 人事部が大変だって?
 AIはなんのためにあるのかを考えよう。

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