「マクロ経済学入門 マクロ編」ティモシー・テイラー著
での失業率を減らすことは、社会的コストの低減を意味するとしている。
その中での記述に以下のようなくだりがある。
長い目で見れば、賃金上昇の原動力となるのは生産性の向上です。労働者の平均的な生産性が高くなれば、労働市場全体の賃金も上がってくるはずです。
そして生産性を上げるために必要なのは、教育や設備投資、それに技術の革新です。
技術革新への対応と教育はマクロ的な視点だけでなく企業にとっても重要な視点だろう。
この記述に目が向いたのは、下記のニュースを目にしたからだ。
富士通、配置転換5000人規模 ITサービス注力で
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3700804026102018TJC000/
冒頭に下記の記述がある。
富士通は26日、2020年度をめどにグループ全体で5000人規模を配置転換する方針を示した。対象は人事や総務、経理などの間接部門で、成長分野であるIT(情報技術)サービス事業に振り向ける。非中核と位置付ける製造分野の切り離しも進め、事業の選択と集中を加速する。
都内で開いた経営戦略説明会で発表した。対象となる間接部門にはグループ全体で約2万人の社員がいる。研修を通じて営業やシステムエンジニアなどITサービスに関わる職種への転換を促す。グループ会社の間接機能を富士通本体へ集約することも検討する。
経営方針進捗レビュー説明会(2018年10月26日実施)の資料でも
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/library/presentation/pdf/20181026-03.pdf
上記を確認できる。
抜粋すると下記の通り
成長に向けたリソースシフト
■ 5,000名規模のリソースシフトによる成長領域の増強と間接/支援機能の効率化、適正化
○コーポレートファンクション等の業務ノウハウを活用した営業、SE、業務コンサル、SAPコンサル人材等の育成
○グループ会社の間接/支援機能を富士通本体へ集約
○サービスカンパニーに相応しい人材投資の拡充
○グループ内外へのキャリアチェンジ、転進を支援
■ 製造体制は、事業規模・業態に応じたフォーメーションの見直しを進める
事業環境が変化する中で、今のヒューマンリソースの再配分をしないと対応できないと言うことなのだろう。
さて、こうした記事は素直に読めなくなってきている。
「企業は再配置とリストラのどちらを望むのだろう」
5,000人の再配置というのは想像がつかない。
最初に勤めていた会社でも1,000人程度だ。
ちょっとした会社を複数再構築するようなものだ。
しかも、事務系の人間を技術系の仕事に就かせることも出てくるだろう。
同じ技術系であっても、かつてIT系でもあったが、COBOLとJavaでは知識基盤が異なるので再配置ができなかった事例も知っている。
新しい分野での技術教育は必要になる。
また教育したからと言ってすぐにパフォーマンスが出るわけではない。
ひとりあたりの教育コストと採用コストが天秤にかけられる。
ただし、従業員の組織に対するロイヤリティも考える必要がある。
さて、人材が市場にあふれ採用コストがかからない場合には、リストラして、必要なスキルを持った人を確保した方が良いかもしれない。流動性が高い場合には自然とそうなるだろう。
一方で、いわゆる売り手市場の場合には、必要とした人材がなかなか集まらないで採用コストだけ高止まりするという状況になる。みすみすリストラして人材を流出させるのは得策ではない。
優秀な人から辞めて行くと言うことも忘れてはならない。
経験的に、事業の縮小をするのでリストラするというのは経営者が無能であることの証左と言われることを見聞きする。
以下に人材に対して手を打って生産性向上や技術革新への対応ができるのかが企業の競争力向上につながる。
さて、富士通の取り組み。3,4年後に振り返ることはできるだろうか。
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