経営者の困りごと(社員は辞めてしまう)

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先日、ある会合での雑談の中で離職率の話をしていたときに、「今時の若い人はすぐに辞めてしまうのかな」という話をされた。

離職率、特に3年内離職率はしめす厚生労働省のデータを見る限りここ10年以上変化はない。マクロ的には変化していない。

一方で、いろいろな報道を見るとジョブのミスマッチなどで若者の早期退職が取り上げられている。
こうしたことを、マクロ経済などの視点で見ると以下の点に注意しなくてはならない。

・個別事例を探して取り上げても、それをもって汎用化できない。個別事例はどこまで行っても個別事例である。
・潜在的な離職率は存在する。失業率についても同じことが言えるのだが、政策を駆使しても失業率はゼロにはできない。労働の流動性を考えると一定程度は発生する。

では、個別企業が抱える社員の離職率は仕方の無いことかと言えばそうではない。
実際に、3年内離職率を低く抑えている会社もあれば、どうしても高くなってしまう会社もある。

3年内離職率を下げる方法は

① 採用時に組織風土にあわない社員はとらない。
よく採用基準で「能力」という言葉を使うが、能力自体をはじめから持っていることを期待しない。学習意欲があればなんとかなる。育成の手間を惜しんで最初からできる人を望んでも仕方ない。
かつて「優秀な人がほしい」という人事部の人に、「あなたは優秀なんですか?」と投げかけて怒らせたことがある。
結局、社員として必要なのは、意欲とタフさだけではないのか。
その人が「我が社の一員になってくれる」気があればそれでよしとすることも必要だ。

② その人にあった仕事を用意する
経営環境の変化を示す言葉としてVUCAと言う言葉がある。
Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)
を表す言葉だ。こうした不確実性の中で、入社時と同じ仕事が存続する保証はない。
社員がすべき仕事は変わって行く。
社員に適した仕事を用意する必要がある。

一方で、一定の離職率は受け入れないと仕方ないかもしれない。

企業は漫然と労働人口の変化に手をこまねいているわけではない。
変動要因としてのITイノベーションも配慮しなければならない。
人がやらなければ行けない領域を絞り込んでいる。
それを後押ししそうなのが、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)だろう。
より専門化した仕事しか残らないかもしれない。

その組織で必要な業務特性が変われば人への要請も変わる。

さて、その時に出たもう一つの話題が「内定辞退」だ。

私自身が就職活動をしていた時期は、いまから40年も前のことなので参考にはならないかもしれないが、そもそも内定を複数保持するというのはあまり発想はなかった。
断るつもりなら最初から内定を辞退する。

ギリギリまで待って「やはり辞めた」というのは想像できない。
だが、今の時代はいろいろ変わったようだ。

東洋経済の「内定辞退が5年前の3倍強!変わる採用戦略」を見ると以下のように記載がある。

2011年卒生と昨年の2016年卒生の調査結果を比べてみると、採用予定者数に対する辞退者数の割合が、5年間で3.4倍にも膨らんでいることがわかっています。
採用予定者数に対する内定者数の割合も5年間で1.6倍となっており、企業がある程度の辞退者を見越して内定を多めに出すスタイルに変わってきていることがわかります。

マイナビの調査データなを見て、簡単に以下のようなモデルを考えてみる。

30人の新卒者に、10人ずつ採用したい会社が3社あるとします。
均等に分ければ、どの会社も10人ずつ採用できます。

ですが、内定辞退を想定して15人に内定を出したとします。
どの会社も優秀な人を選ぶので、同じ人が3社の内定を受けたとします。

内定確保数を平均3社とすると、15人が3社分の内定を受けて、15人は内定を受けられなかったと言うことになります。

さて、こうなると次はどうなるでしょう。
募集している会社に格差があったとすると、新卒採用数は10人、5人、0人となります。
内定を出したのに採用しませんという会社が出てくることにもなります。

あまりに単純化したモデルですが、今の内定システムの欠陥が表現できます。
こうしたことを前提に考えると、一斉採用という仕組みを見直さないと十分な人員確保ができないことになります。

「今時の若い人はすぐに辞めてしまうのかな」という話は結局は、お互いに損得だけで付き合うことは信頼関係を損ないかねません。と言うのが感想です。

閑話休題

参考記事

「1年以内に辞める若者」が続々生まれるワケ
https://toyokeizai.net/articles/-/214707

数字で見る「労働市場の未来」 激減する就業者、変わる雇用
https://www.projectdesign.jp/201901/future-working/005827.php

内定辞退が5年前の3倍強!変わる採用戦略
https://toyokeizai.net/articles/-/127882

2018年卒の内定者の声と内定辞退率から2019年卒の新卒採用について考える
https://saponet.mynavi.jp/column/corp/2018%E5%B9%B4%E5%8D%92%E3%81%AE%E5%86%85%E5%AE%9A%E8%80%85%E3%81%AE%E5%A3%B0%E3%81%A8%E5%86%85%E5%AE%9A%E8%BE%9E%E9%80%80%E7%8E%87%E3%81%8B%E3%82%892019%E5%B9%B4%E5%8D%92%E3%81%AE%E6%96%B0%E5%8D%92/

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