気になった記事・技術革新は戦略に影響を与える

手ぶらで買い物できる“顔認証コンビニ”、セブン-イレブンとNECが都内で開始 オフィス向けに展開
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1812/17/news113.html

単に先進的な技術を取り上げた記事だが、これはいろいろなところに影響しそうな気がする。

この記事を見て連想した事柄を以下に示す。

・政府のポイント還元の発想
・QRコード決済・電子決済の普及
・監視カメラとAIで万引き防止
・スマホやタブレットでのレジ

未来を想像してみよう。
・入店時に決済カードの所持を確認
・お客様の情報を確認して買い物予測をして商品に誘導
・お目当ての商品をバッグに入れて店外へ
・店外に出る際に自動で決済

こんな世界が実現可能な時代に突入している。
スーパーやコンビニなどの自動販売機化と言えば良いだろう。
当然レガシーなシステムも残るが、その市場は縮小する。
直接想定されるのは、POSレジがいらなくなると言うことだろう。

レジを製造しているメーカーは今後どうすべきか。
結局は、IT化を受け入れレジを必要としないで市場が小さくなる世界と今後もキャッシュレスにゆかない世界のどちらかを捨てることになると考えられる。
国内は確実に市場は小さくなるので国外に出て行くこともあり得るが、ほとんど現金を使わない中国などではレジは不要となるだろう。

現在のレジの単純な高機能化は意味が無くなりそうだ。
レジの役割は単なる通信端末と捉えた方が良いかもしれない。

NECは当然IT企業であるが、関連会社の「NECプラットフォームズ」は据え置き型POSシステムの最大手のメーカーになる。
自社の製品の対象とする市場が小さくなることを見込んで戦略を立てなければいけない。
そのための一連の活動をと見れば納得できる。

NECプラットフォームズは上場企業ではないので、企業戦略はなかなかわかりづらいが、そのプレスリリースを眺めているとどのような方向性かはわかる。

例えば、2017年から2018年のニュースリリースから気になったところを列記すると以下のようになる。

  • 2018年11月8日 NEC、コミュニケーション・ロボットを用いた高齢者見守りサービス向けソリューションの実用化を加速
  • 2018年10月31日 訪日外国人観光客の動態を分析する実証実験を実施
  • 2018年10月3日 NECの生体認証「Bio-IDiom」が2018年度グッドデザイン・ベスト100を受賞, ※同時受賞「ローソン 新型POSレジ」
  • 2018年7月24日 NECプラットフォームズ、流通・外食店舗の効率化、サービス向上を支援する堅牢タブレット型POS「TWINPOS S2」を発売
  • 2018年5月16日 NECプラットフォームズ、作業者の動きを可視化する人動線モニタリングサービスを提供開始
  • 2018年4月20日 NEC、愛媛県西条市が行う高齢者見守りサービスの実証実験をコミュニケーション・ロボットなどのICTソリューションで支援
  • 2018年1月22日 NECプラットフォームズ、あらゆる現場のIoTを実現する無線センサ対応の遠隔監視システム「コルソス CSDJ-A」を発売
  • 2017年11月30日 NECプラットフォームズ、クラウド活用により導入費用を抑えた中小規模の小売業向けPOSサービスを発売
  • 2017年11月8日 NEC、AI(人工知能)技術を活用したBTO製品の高精度な需要予測を開始
  • 2017年10月25日 NEC、デジタル産業革命の進展を加速させる新プラットフォーム「SX-Aurora TSUBASA」を発売 ~AI・ビッグデータ解析領域への利用も拡大~
  • 2017年7月26日 加盟店支援の一環として、セブン‐イレブン店舗の発注端末機能を強化
  • 2017年6月26日 NECソリューションイノベータ、人工知能学会現場イノベーション賞を2年連続で受賞 ~ 耐騒音音声認識と音声合成ガイダンスを活用した現場作業支援ソリューションで生産現場をサポート ~
  • 2017年6月23日 NEC、マイナンバーカードを自社業務で利用可能とする総務大臣の認定を取得 ~プロジェクトルームの入退室管理に利用~
  • 2017年6月21日 徳島県が都道府県で初めて行うマイナンバーカードの職員証利用にNECの「利用者ID登録システム」を採用
  • 2017年5月30日 情報管理のセキュリティ強化を目的に、セブン‐イレブンの店舗管理端末にNECの顔認証技術を採用 ~今秋よりテスト運用を実施~
  • 2017年5月22日 NECプラットフォームズ、外食業の多様化するニーズに適応するオーダリングシステムの新製品を発売 ~オーダリング専用機に加え、スマートフォンなどの汎用機も利用可能~
  • 2017年4月13日 NEC、中堅・中小企業向け顔認証ソリューション事業を強化 ~ソリューションパートナー向けの顔認証ソリューション開発プログラムを新設~
  • 2017年3月6日 NEC、AIの活用によりスーパーマーケット向けソリューションを強化 ~マーケティングや需要予測に活用可能なソリューションを提供
  • 2017年2月16日 北日本カコーとNECプラットフォームズ、飲食店舗向けレーン装置連動セルフオーダーシステムを開発

キーワードとしては、「ロボット」「顔認証」「AI」「ビッグデータ」などが出てきており、基盤技術の取り組みを開始していることがわかる。
もともと、通信インフラに強みのある会社なので、こうした店舗経営におけるゲートウエイ的な端末にして行く戦略は合理的かもしれない。

一方の雄、「東芝テック」はどうだろう。
第94期中間ビジネスレポートを見ると、事業概況に「国内市場向けPOSシステム及び海外市場向け複合機の減少」とあるように、主力事業が困難に直面していることがわかる。
「グループワンストップソリューション企業を目指す」とあるが、主力事業の再編には手をつけておらず、今後の展開が読みにくい。

競争優位の戦略は、結局はコスト面(要は安さで勝負)か、うちにしかできない(高くても仕方ない)で戦うかの2者択一になる。
あとは経営資源をどう集中させるかだろう。

そうなったときに、よりライバルが少ない市場を狙って、参入を早め、少なくともその時点でコストリーダーシップになると言うことが、多くの企業が選択することだろう。

同じ市場で、同じ戦略を維持し続けることができなのであれば自らを変えなければ生き残れない。
NECの選択は、成功するかどうかはともかく納得できる。

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