社員満足度調査を行う意義

「ハーバードビジネスレビュー 2019年2月号」の特集は「コレクティブインパクト」だ。
コレクティブインパクトに関連して「ソーシャルインベーション」を取り上げているが、その中で、「私」と「仕事」の関係性にも着目している。

その一節を引用する。

1974年のスタッズ・ターケルの名著「仕事(ワーキング)!」に、「すでに労働者にとって仕事の意味は金銭的報酬と並んで重要なことだ」という記述がある。40年たってこの傾向はさらに強まり、最近の調査によると、米国労働者の9割以上の人が、意味のある仕事なら23%生涯賃金が下がっても良いと答えている。

また、この文に続き、下記の一節がある。

また、仕事に意味を感じている人は、仕事満足度が高く、満足度と生産性の高い相関も証明されている。

多くの企業に接する機会があり、業績を上げている組織は社員の積極性が高いことは肌身で感じている。

こうしたことを後押しするように厚生労働省からも、「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告書 ~企業の雇用管理の経営への効果~」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11602000-Shokugyouanteikyoku-Koyouseisakuka/0000127988.pdf

が提示されている。

引用すると、

■ 雇用管理改善の取り組みは、従業員の意欲・生産性向上や、業績向上・人材確保につながる
・本調査の分析結果は、雇用管理改善の取組が、従業員の意欲・生産性向上や、業績向上・人材確保につながることを示している
・ただし、それには企業の取組において以下の観点が重要。また、行政の役割も重要である
■経営においては、「従業員満足度」と「顧客満足度」の両方を重視するのが重要
・経営方針として「顧客満足度」を重視している企業は多いが、「従業員満足度」を上位に挙げる企業は必ずしも多くない
・だが、調査結果は、業績や生産性の向上、人事目標の達成度合いに対して、どちらかだけでなく、両方を追求することの効果が高いことを示している
・経営者は、自社の経営方針を従業員に浸透させることが望ましい
■雇用管理改善に、継続的に取り組むことが大事
・分析結果は、雇用管理改善の取組期間が短い企業よりも、継続的に取り組んでいる企業で、業績や生産性の向上、人事目標の達成度合いが高いことを示している
・つまり、継続的に取り組むことで雇用管理改善の結果は出る
・ヒアリング調査でも、たとえ効果が明示的でなくとも継続的に取り組むこと、また、計画的に取り組むことの重要性が示唆された

となっている。

弊社が以前行った「eHRM研究会」においても、モチベーションの3要素を提唱したことがある。

1.ふさわしい仕事
個である「私」が仕事を通して「社会」や「未来」にどう向き合うのかのアイデンティティを確立できること。
2.ふさわしい環境
設備や機器などのハードウエア、情報通信などのインフラ、HRM等の制度、社員同士のコミュニケーションの場の提供など、「ふさわしい仕事」をストレス無く行うことができる環境があること。
3.ふさわしい報酬
「ふさわしい仕事」ができたかどうかを確認できること。その成果や過程を見守り、ふさわしいフィードバックを行い、仕事への意欲を高めること。必ずしも金銭的報酬にはとどまらない。

当時のいろいろな議論を踏まえても、それほど的外れではないだろう。
社員満足度が業績を左右するのであれば、こうしたことを配慮することは戦略上の重要な位置づけにすべきだ。

直接の対比はされないが、当社で提供している「SRO組織生産性診断」もこれにフォーカスしていることがわかる。

社員意識調査を考えるための道具立てを用意しました

社員満足度が重要であることはいろいろなところで記載されています。
しかし、心を調査することなどできるわけもなく、どうしても隔靴掻痒にならざるを得ません。
社員満足度調査もその程度と割り切ることが必要です。

では、いい加減な気持ちでやって良いかというとそんなことはありません。
論理的な考え方を確立し、丁寧な分析が必要です。

当社は、いくつかの枠組みを提供しています。
参考にしてください。

■ ガイドブック

社員意識調査を考える際の諸々のことを記載しています。

「社員意識調査のガイドブック」の公開

まだ完成していませんが、適宜更新して行きますので参考にしてください。
ずいぶん前に整理したものなので、足りないところや、「今」を反映していないところもありますが、多くは有用だと思います。

こうしたことも記載してほしいと言うことがあればお問い合わせください。

■ 個別グラフ提供の提案

社員意識調査を外部委託すると、どうしても定型的なアウトプットしか提供されません。
個別の集計を行おうとするとどうしても仕組みが必要になり、担当者の力量に左右されません。
個別の集計表についての考え方を提示しています。

自分で集計してみよう

当社では、いくつかのテンプレートを用意していますので、問い合わせをしていただければと思います。

■ ドリルダウン・ベーシック

これも、定型的なアウトプットをカバーするツールになります。
属性別に設問のすべてのクロス集計を行います。
目的は、ある設問は属性ごとに回答傾向に差があり、その属性に対して何らかの手を打つ必要があるのかの判断に使います。

社員意識調査の支援ツール(ドリルダウン・ベーシック)

たとえば、目標管理制度のフィードバックについて、役職などの階層別に評価を確認し、階層ごとに差があるのであれば何らかの施策が必要であることが示唆されます。

■ ドリルダウン・クロス

多くのデータを一度に眺めて、その法則性を発見するプロセスは必要です。
ある設問はどの設問と高い関連性があるのか。
例えば、社員の会社へのロイヤリティは上司とのコミュニケーションと関連するのか、あるいは教育訓練への評価と関連するのかなどの知見は漠然と平均値だけを見ていてもわかりません。

社員意識調査の支援ツール(ドリルダウン・クロス)

このツールは、設問同士のクロス集計と相関係数を計算します。
100の設問があれば100×100の組み合わせの集計表を作成します。
一つ一つピボットテーブルを作成していては時間が足りなくなるでしょう。
これを効率化するためのツールになります。

社員意識調査の支援ツール(ドリルダウン・クロス)

設問間のクロス集計を行うツールを公開しました。

https://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se518888.html

これは、設問ごとのクロス集計を行うためのツールです。

想像してみてください。

・満足度を聴く設問は、どの設問と関係するのだろう
・仕事環境の評価の善し悪しは人事制度膿尿とどう関係するのだろう

社員満足度調査は、単に聴きたいことを羅列するものではない。
何らかのモデル化(因果関係の仮説)を反映したもののはずである。

しかし、あらかじめ想定したこと以外の発見もあるかもしれない。
そうしたときに、一つ一つの設問間のクロス集計をピボットテーブルで検証している暇はない。

このツールは、単純なツールであり、データを設定し、設問構造を定義するだけで、すべての組み合わせのクロス集計と相関係数の計算を行うものです。

このツール以外にも、性別な年齢別の設問のクロス集計やχ2検定を行うツールも公開しています。

併せて参照してください。

事例研究:キューピーの事業リスク 【サプライチェーンまでリスクに入れられるか】

キユーピー、缶詰ソース販売終了 西日本豪雨で缶製造できず

https://mainichi.jp/articles/20190109/k00/00m/020/153000c

と言う記事を見た。下記の内容になる。

キユーピーは9日、昨年7月の西日本豪雨の被災により、缶が製造できなくなったとして販売を休止していた「ミートソース」など缶詰ソース5品目の販売を終了すると発表した。缶の製造を委託している資材メーカーの復旧の見込みが立たないことや缶詰市場が縮小傾向にあることを考慮し、販売終了を決めたという。

缶詰の缶などどこでも同じだろうと思ったら、そうでもないらしい。

さて、まずはいろいろ確認。

(1)販売終了は特別なのか

キューピーのホームページでは製造・販売の終了のお知らせを掲載している。これによれば、2019年春には25品目の製造・販売を終了している。

この中に上記の製品が含まれているが、必ずしも特別なことではなく、いろいろな理由で商品見直しを行っているのだろう。

これ自体は特別なことではないだろう。ただし、製品の終了を知らせているサイトは珍しい気がする。

上記で「缶の製造を委託している資材メーカーの復旧の見込みが立たないことや缶詰市場が縮小傾向にあることを考慮」とあるように、どうしても出し続けたい製品であればなんとかするであろうから、あえて新しい委託先を見つけるには値しないと判断したと考えるべきだろう。

その意味で、大きく取り上げるべき内容ではない。

(2)ビジネスパートナーはどう考えるべきだろう

ただし上記にある「缶詰市場が縮小傾向」についてはもう少し考えておく必要があるだろう。

製缶を生業としている事業者にとってはあまりうれしいニュースではない。

特に、キューピーから製造委託を受けている企業にとっては死活問題であり、復興の望みを絶たれたに等しい。そのほかの企業にとっても対岸の火事ではない。

現在、「特殊な缶」で事業を進めていたとしても、缶詰の需要が減って行くなら事業縮小は余儀なくさせられる。

保存という面で見ても、紙などの素材でも十分な機能を実現できている。代替製品も数多く出てくるだろう。環境問題の面から、資源を多く使う缶詰は逆風が吹くかもしれない。

新しいニーズを探るか、金属としての缶詰でなければいけない(堅くて変形しにくい)特性を前面に出し、新しい使い方を提案しなければならなくなる。

(3)具体的なリスク対応を考えられるだろうか

さて、リスクに対しては重要であること、対応することを求める規範は多い。

例えば、「日本経営品質賞 アセスメント基準書」では以下のような記述がある。

(戦略計画)

事業に関するリスクをどのように組織全体の戦略計画に反映させていますか。以下の点を考慮して示してください。

・リスク要因の把握方法

・想定したリスクへの対応方法

また、ISO9001:2015では、以下の要求事項になっている。

6 計画

6.1 リスク及び機会への取り組み

品質マネジメントシステムの計画を策定するとき、組織は「4.1 組織及びその状況の理解」に規定する課題及び「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」に規定する要求事項を考慮し、次の事項のために取り組む必要のあるリスク及び機会を決定しなければならない。

a)品質マネジメントシステムが、その意図した結果を達成できるという確信を与える

b)望ましい影響を増大する

c)望ましくない影響を防止又は低減する

d)改善を達成する

当然、企業もこうした要求があるかどうかは関係なく配慮している。

たとえば、キューピーなどでも、事業リスクとして以下の記載がある。

(4) 事業展開地域の災害や疾病など社会的混乱

当社グループは日本国内や、中国・米国・東南アジアなどの海外においても事業展開を進めていますが、次のような災害や疾病など、想定を上回る社会的な混乱が発生し、製造や物流設備などの破損、原資材やエネルギーの調達困難、操業に必要な人員の確保困難、などが生じた場合には、生産・販売能力の低下につながり、当社グループの業績および財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

  • 大型地震や集中豪雨などの大規模な自然災害
  • 強毒型の感染性疾病の大流行
  • 継続的な広範囲における停電など、自然災害を起因としない大規模な事故
  • テロや紛争など政治的問題

明確に「製造や物流設備などの破損、原資材やエネルギーの調達困難」と記載がある。

しかし、昨年7月の西日本豪雨の直後に、缶詰製品の出荷ができなかったことや製品終了の発表までに半年程度かかっていることを考えると、必ずしも個別事業所のリスクを考えて、代替手段を考えるところまで入っていないのだろう。

リスクを抽象的に捉えることはどの会社でもできるだろう。しかし、具体的にリスクを数値化していなければその対応もできない。リスクの数値化とは、例えば「調達先の提供能力を、50%になったとき、0%まで落ちたときなどの生産数量などへの影響」と言った視点で考えることだ。

例えば、同じ事業リスクには下記の記載がある。

(1)サラダ調味料の市場動向など

キユーピーグループにとって、サラダ調味料(マヨネーズやドレッシング)は売上高・利益の両面において貢献度が最も高い商品カテゴリーになります。

従って、サラダ調味料の需要減退などにより市場が縮小した場合、また市場競争の結果として当社製品の市場占有率が大きく下落した場合には、当・・・

したがって、市場でのサラダ調味料の需要の監視、市場占有率の計測が前提となり、これがスコアカードとしてみるべきだろう。

はたしてそこまでの検討はしているのだろうか。

今までの経験ではリスクの数値化まで具体化している例は見たことがない。

もっとも、自社の詳細な業務プロセスを公開するようなものだ。他人に見せるものではないのは当たり前か。

 

(追記)

上記のベースとした資料を含めたものを参考資料として提供します。

一般に公開されている資料になりますが著作権などについては配慮をお願いいたします。

➡ リスクの認識の仕方

社会変革のためのシステム思考実践ガイド

まだ読み込んでいないので備忘録的になるが、なるほどと思った文面を引用する。

システム思考を組み込むことで特に効果的なのは次のような条件があるときだ。

・問題が慢性的で、それを解決しようとする人々の最善を尽くそうとしている意図に逆らい続けている
・多様な利害関係者が、意図を共有しているにもかかわらず、足並みをそろえて取り組むのが難しいと感じている
・利害関係者たちが、システムの各部分が全体に及ぼす影響を理解せずに、自分たちの部分だけを最適化しようとしている
・利害関係者の短期的な努力が、実は、その問題を解決しようという自分たちの意図を台無しにしている可能性がある
・人々が多くの異なる事案に同時に取り組んでいる
・継続的な学習を行うことよりも、ベストプラクティスなど、特定の解決策の推進を優先させている

問題が解決しないと感じたときに、これを解決する突破口をどこに見いだすのかのヒントになりそうだ。

働く環境のコストを賃金に反映されるのは許されるのか

今日の朝日新聞に以下の記事が掲載されていた。

 物流大手の日本通運(東京)は4月1日から、非正社員の賃金を引き上げ、同じ条件で働く正社員の水準に合わせる方針を固めた。正社員と非正社員の待遇差の解消をめざし、2020年4月から働き方改革関連法で求められる「同一労働同一賃金」を先取りする形で、ほかの企業の判断に影響する可能性がある。

https://digital.asahi.com/articles/ASM1740W9M17ULFA00R.html?_requesturl=articles/ASM1740W9M17ULFA00R.html

いくつか論点があるのだが、目を引いたのは以下の点。

・正社員であっても、エリア社員という転勤を伴わない雇用形態があり給与は低めに設定されること。

・非正規社員はエリア社員と同等の扱いになること。

・これに伴い、評価制度や賃金体系に手を加えること

現在当社では、人事制度の改訂などに伴う賃金シミュレーションなども支援している。

人事制度の改訂理由にはいくつかある。主に以下の点になる。

・M&Aなどで全体としての制度の統一

・事業環境の変化による要員マネジメントの変化

・定年延長

こうした賃金シミュレーションを行う上でいつも悩ましいのは、イレギュラーな存在だ。

イレギュラーとは、期間工を始めとした非正規社員、あるいは嘱託の再雇用などのように賃金体系が別途存在する場合。 人数が少なければ問題ないのだが、一定のボリュームゾーンがあると総額人件費のシミュレーションに誤差を生じる。

従来の年功序列型(今までの功績や貢献を反映させる)の賃金制度を職務型(現在何をしているか、明日何をしてくれるか)の賃金制度に移行させれば、上記のような問題は無くなるかもしれないが、ことはそう簡単では無いことはわかる。

下手をすれば、複数の賃金管理システムを作りかねない。

もっとも、今のIT技術・AI技術を使えば個人別賃金管理も可能なのでいっそのこと個人対企業の雇用契約管理にしてしまえば良いと門外漢は感じている。

隣の誰かはいくらもらっているではなく自分はいくらもらっていると関心を移してもらいたい。

 

さて、もう少しいろいろ記述した。

続きは、コストを賃金に反映するのは許されるのかに記載した。

編集可能なワード文書で提供する。インターネットから引用した文書もそのまま記載している。

著作権については十分配慮してほしい。

自由と不自由の狭間で:今回のテーマは「信号機」

先日、写真にあるように、薄く、傘もないLED信号機を見た。

気がつけば、あちこちにあり普及が進んでいるのだろう。
こうしたインフラの変化は何をもたらすのだろう。

経済活動に対する直接的な影響はいろいろ考えられる。

・機器の交換による新たな生産設備のニーズ
・カサ、厚みで必要な資材の低減による資源の節約
・これによる原材料費に対するリスク低減
・濫費の交換不要によるメンテナンスコストの削減
・電力供給量の削減

信号機の直接の顧客は行政機関になるだろう。
当面は国土交通省だろうが警察機関も関連するかもしれない。

長い目で見ればコスト削減につながるので、こうした傾向は続くと考えられる。もっとも、地方での普及は予測できない。
さて、全国の信号機の数は20万機あると言われているが実数はよくわからない。一機あたりの維持コストが年間10万円だとしても年間200億円のコスト削減になる。実際はもっとすごいかもしれない。

さて、社会問題として考えた場合、この信号機にカメラとAI機能をつけたらどうなるだろう。
最初に思いつくのは、事故の記録になる。
よく「何月何日の事故の目撃者」を探すという立て看板を見る。
傘がなくなることで視野が広くなりカメラの視野も範囲も広くなるかもしれない。

使い方に対しては「監視社会」という言葉で拒否反応も出るかもしれないが、便利には違いない。オービスだって社員撮影するし、コンビニだって監視カメラが普及している。
正しい使いかたをすれば便利になる。

メーカーが生き残るためには、新しい技術に対応した生産設備を持つこと。そして、IT技術を自社で保有するかアライアンスを考えること。戦略の見直しをするのだろうと感じた。

もっとも、気をつけなくてはいけない。
自動運転が本当の意味で普及すると、車に対する物理的な信号いらなくなる。なぜなら、赤かどうかは人間が判断する必要がなくなるからだ。
歩行者位に対しては、地面に直接LEDと音声機器を埋め込みわかるようにすれば良い。
事業戦略はこうしたリスクも配慮した方が良い。

閑話休題

『善とは一言に言えば人格の実現である』

『善とは一言に言えば人格の実現である』

西田幾多郎の「善の研究」からの引用です。

昨年、いろいろな人との話やセミナー、書籍などに接する中で、その人がおそらくは専門家として持っている常識を当然のように持ち出していることに違和感を持ち、その中で使われている諸々の考え方を確認するために、いろいろな本を読んでいる。

西田幾多郎の「善の研究」もその一つだ。
この本は、かなり昔に一読して理解できず、その後も何度かチャレンジしているがやはり難しい。

『我々は意識現象と物体現象と二種の経験的事実があるように考えているが、その実はただ一種あるのみである。すなわち意識現象あるのみである。物体現象というのはその中で各人に共通で不変的関係を有するものを抽象したに過ぎない。』

この一文だけを読んでしまうと、唯物史観ではなく観念論を重視しているように見えるが、それほど単純な話ではない。私の理解では、意識現象と物体現象は切り離されているのではなく、どちらを先に考えるべきかの指針を示したに過ぎないと考えている。

結局、西田哲学というのは「認識」というものをどう捉えているのかと言うことを俎上にあげているのではないかと思う。一緒に考えなければいけないカテゴリーに「弁証法」や「形而上学」の考え方もある。こうしてみると、西田哲学は、物事をどう見るのかの一つの方向性を示しているとも言える。

昨年お会いした人の中には常識としていろいろな言葉を使う。しかし元々の意味は何であったのかを自ら確認しているのだろうか。
「オープンイノベーション」をチェスブローの本までたどったのか、「バランスドスコアカード」をキャプランまでたどったのか。どうしても疑問がでてしまう。

一方で、数理科学やシステムを少しでもかじったことがあれば当然知っている「CMMI」や「正規分布」、「Input-Process-Output」を”あなたしか知らない言葉は使わないでください”と一蹴する。

「これは一体何だろう」と考える習慣を放棄して、皆が「Yes」と言うから、偉い先生が言うからと言うことで無条件に受け入れて行くことは危険だと感じる。

冒頭の『善とは一言に言えば人格の実現である』はそのまま受け入れないにしても、では「企業にとっての善を実現する、法人としての人格」とは何か?

社会的な責任などでSDGs等に目を向けるのは良いとしても、それはなぜかと言うことも考えないと、単に「自分に利するから」という身も蓋もない”人格”の反映になりかねない。

参考: