人事部門として採用計画を遵守したい気持ちはわかるがこれはアウトだろう

人事部門として採用計画を遵守したい気持ちはわかるがこれはアウトだろう

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48153510S9A800C1TJC000/?n_cid=NMAIL007

企業ごとの「内定辞退率」を5段階で算定。学生の氏名と結びつけて、メーカーなど38社に販売していた。

最初に漠然とこのニュースが流れた時には、内定辞退のデータ分析をして企業ごとの内定辞退率の傾向でも提供しているのかと思った。全然違うやんけ・・・

賃金シミュレーションの上で、採用計画がキーになることがある。
既存社員だけでなく新卒社員の賃金の予測をすることによって長期の要員管理と総額人件費の計算をするためだ。
採用計画の作成にあたっては、総人数については
・自然退職者の補充とするのか(成長を考えないのか)
・将来のビジネスの拡大や再編を考えて政策的に人数を決定するのか
が問題になるし、採用者の質については
・今の職種の構成比を前提にするのか
・将来の事業モデルを基に配分モデルを考えるのか
など、いろいろな視点が必要になる。

「新卒一括採用」という考え方が時代に合わなくなってきているのはそのとおりなのだが、実態はまだ新卒に目が行っている。人事部門としては、採用計画に従った要員補充が必要になるので「内定辞退」は避けたいリスクだろう。

したがって、「この人に内定を出しても来てもらえるのか?」は切実なのはわかるが、だからと言って、個人ごとに内定辞退率を出して提供するのはダメだろう。

まず、「個人情報保護法」に照らしてもまずいだろう。
仮に手続き的に本人の利用の承諾があったとしても、そもそも内定辞退することは個人の自由なのであり、それを予測して内定の発行を制御するとしたら基本的人権に抵触する気がする。

さらに、予測なんて確率論であるし、個人ごとの行動はゼロイチなのでどっちかしかない。

本来すべきなのは、「来てほしい」「内定辞退はしないでほしい」ということを誠意をもって応募者に伝え、応募者もそれにこたえてくれるような信頼関係を構築できる組織文化を作ることだろう。

類は類を呼ぶ。目先の利益だけを見ている企業には、それ相応の人しか集まらないと思う。

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