「オープンイノベーション」と唱えればいいわけではない

一昨年ぐらいだろうか。
初めて「オープンイノベーション」と言う言葉に触れ、興味を持って調べたことがある。
その過程では、チェスブローの書籍なども読んだ。

私の理解は、
・テーブルに自分の手札をすべて出せ(技術を誰でもが使える環境にする)
・過日(イノベーションや知見)を独り占めにするな
これにより
・素早く多くのイノベーションを世の中に出してゆく
・これにより新しい市場や世界をつくってゆく
ことを加速させると言うことだろう。

しかし、私が見聞きする事例は、口では「オープンイノベーション」と呪文のように唱えているが、とてもオープンイノベーションとは思えない。
・秘匿している大学との共同研究(産学協同)
・業界団体での共通の取り組み
・自社主導の異業種交流
などを取り上げ、インバウンド型、アウトバウンド型、協働型などと類型化しているが、悪い冗談としか思えない。

イライラ感が大きかったのだが、面白い記事を見つけた。

ダイキン、「重要特許を無償開放」の衝撃
「誰1人取り残さない」環境志向の新・特許戦略
https://toyokeizai.net/articles/-/294286

この中で
「R32を用いたエアコンに他社が対象特許を使用しても、ダイキンはその権利を主張しない」
と言う一文は、様々な可能性を引き出す。
心配されるのは、同じ製品を出されるということはある。どこかの国がパチモンを大量生産するというリスクはあるだろう。

それでも、プライドのある企業が理想世界を考る時に制約条件が無くなるのは大きい。
この技術と他の技術との組合わせが自由になる。
これは、今までつくりたくても作れないことへの解放になるだろう。

かつでデンソーがQRコードの特許を開放したことで世界が広がったことを思い出してほしい。

難しいのは、オープンイノベーションを自社のビジネスモデルに組み込むことだ。
その道筋がないのに「オープンイノベーション」などという言葉は使ってほしくない。

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