戦略に失敗はあるのか(セブンイレブンの事例から)

少し刺激的な記事を見つけた

セブン「1000店閉店、移転」はドミナント戦略の限界か
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/16/news032.html

セブンイレブンについては、業界大手と云うこともありいろいろ取り上げられている。
オーナーから訴えられた記事(https://biz-journal.jp/2019/09/post_118634.html)は、FCでのリスクを物語っており、セブン、時短営業を本格実施 深夜休業の指針策定(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51223540R21C19A0TJC000/)は、すでに旧態依然としたFC経営が立ちゆかなくなっていることを示している。

冒頭の記事を要約すると「セブンが「不採算店閉鎖を加速」へとかじを切ったことは、単純にコンビニが多い、少ないという話よりも遥かに大きな意味があると感じている。セブンがビジネスモデルの根幹としてきた「ドミナント戦略」がいよいよ限界に差しかかってきた」ということで、その背景には、従業員不足と売り上げの低下等を背景としている。

そもそもドミナント戦略にはメリットとデメリットがある。
例えばメリットとしては
・商圏を重ねることで知名度が上がる
・配送効率を上げることができる
・スーパーバイザーが巡回しやすい
・商品を相互に融通し品切れやいずれかの店にはあるという商品カバーを強化する
などがある。
一方でデメリットもあり、
・同じ地域で顧客の取り合いを起こす(店ごとの売上げが下がる)
・地域に複数店舗が必要な理由がなくなったときに破綻しやすい
などが大きな所だろう。

さて、「1000店閉店、移転」については、セブン自体の業績悪化などが取り沙汰されているのだがどうなのだろう。

実際にセブンアンドアイが提供している決算資料(https://www.7andi.com/ir/file/library/ks/pdf/2019_1010ks.pdf)からは以下のことが読み取れる。
・グループ全体では営業利益はプラスだが、グループでの売上げと営業収益はマイナス。
・その中でSEJ 荒利率の改善と販管費の適正化により55億円増となっている。
・事業の継続性のためには構造改革が必須との認識にいる
・本部コスト・構造改革には不採算店の閉店加速があげられている

さて、この不採算店の対象だが、以下のように記載されている。
(不採算店の閉店加速)
・Cタイプ1年以上経過店での不採算店と直営店を最優先に閉店
19年下期~20年度:約1,000店の閉店・S&Bを実施
⇒ 21年度:約50億円/年の収支改善へ (18年度対比)
注:Cタイプ お店の土地・建物を本部がご用意させていただくタイプの契約。

さて、セブンイレブンの店舗数は約2万店超なので1,000店舗は5%程度か。
ただし、スクラップアンドビルドと云うことを言っているので単純に減らすのかどうかまでは読み取れない。

Cタイプ(お店の土地・建物がセブン側の所有)が対象と云うことであれば、企業としては投資対効果が見込めないので撤退するというのは合理的になる。
ただし、オーナーをどうするのかと云うことは別問題になる。

さて、表題の「ドミナント戦略」
セブンの資料を見ると、自分たちの戦略を「オムニチャネル戦略」という言い方はしているが「ドミナント戦略」とは明言していない(と思う)
結果として、そうなったとしても、戦略の目的は規模の拡大と生産性の確保であれば、それに見合わなければ撤退するのは当然のことだろう。

今の状況が「ドミナント戦略」と合致しなくなったからと云って、戦略の評価に結びつける論は的外れだと思う。

さて、「戦略」に優劣はないし、成功も失敗もない。結局の所選択の問題だろう。
戦略を見直せと最初の記事は云うが、そもそも戦略は見直すべきものなので人から言われようが何しようが企業経営者は常に考えている。

「ドミナント戦略」が問題なのではない、セブンイレブンが展開している施策が問題なのだ。とはいえ、どうすれば良いのかなどは私がわかろうはずもない。

わかっているのは、「戦略」は常に見直さなければならないと云うことだろう。
「その場にとどまるためには全力で走り続けなければならない」は宿命だ。

関連資料はこちら(セブン「1000店閉店、移転」はドミナント戦略の限界か

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