■AMTUL
B2Cでのビジネスを展開している企業にとっては「知名度」と「好感度」は喉から手が出るぐらい欲しいターゲットであろう。販売担当者はマーケティング理論を無視できない。例えば「AMTUL」などは重要な概念になる。
AMTULとは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの1つ。認知(aware)、記憶(memory)、試用(trial)、本格的使用(usage)、ブランド固定(loyalty)の略。
最も有名なモデルであるAIDMA(attention,interest,desire,motive,action)が、短期的な購買衝動を説明するのに対し、AMTULは、消費者のより長期的な態度の移り変わりに着目したモデルであり、試用、本格使用、ブランド固定というように購買後の段階分けをしているのも特徴といえる。
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11611.html
■テレビ番組の変容
そのための手法として、テレビによるマスマーケティングは有効であっただろう。しかし、ここに来て、その先行きを不安視させる記事を見た。
○テレビ番組制作会社の倒産、過去10年間で最多
2023-11-06
今年1月から9月までの同倒産件数は14件で、前年同期の6件から2.3倍増加。また通年比較でも、2014年以降の10年間で最多だった2018年の13件を超えた。同社は、「2020年のコロナ禍の当初は、緊急事態宣言の発令による外出自粛などで番組制作の中止や延期を余儀なくされ、制作会社の業績に大きく影響した。長引く受注減に加え、制作コストや人件費の上昇などから、小規模の制作会社を中心に、倒産は今後も高い水準で推移する可能性が高い」と分析している。
https://www.oricon.co.jp/news/2301528/full/
背景を考える上では下記の記事の二つのが参考になるだろう。
○テレビ番組制作会社の倒産が高水準 2023年は過去10年間で最多を更新
2023/11/06
業態では、特に旅番組やグルメ番組、街歩きなど、比較的少額予算の番組をメインに請け負う会社の倒産が散発している。
テレビ局本体が中心となって制作する従来の番組に加え、海外のコンテンツサービス会社の台頭など、視聴者のニーズも多様化している。地上波だけでなく、衛星放送やネット配信番組も勢いを伸ばしており、制作会社の経営にどう影響するか注目される。https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198118_1527.html#:~:text=%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E7%95%AA%E7%B5%84%E5%88%B6%E4%BD%9C%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AE%E5%80%92%E7%94%A3%E3%81%AF%E3%80%812023%E5%B9%B41,%E3%82%92%E3%81%99%E3%81%A7%E3%81%AB%E4%B8%8A%E5%9B%9E%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
○テレビ番組制作会社の倒産急増 旅やグルメの「ロケ番組」減少、「旧ジャニーズ」の影響は
2023年11月08日
電通グループの「日本の広告費」によると、2022年のテレビの広告費は1兆8019億円(前年比2.0%減)で、10年前の2013年の1兆9023億円から約1000億円(約5.3%)減少した。テレビの広告全体に占める割合も約25%に縮小している。
このため、テレビ局の番組制作費は減少の一途をたどり、上場する在京キー局5社(連結)の制作費は、2022年度と2017年度を比較すると、テレビ東京を除く4社で減少している。唯一、番組制作費が増加したテレビ東京も、強化コンテンツは主にアニメや配信が中心で、従来のテレビ番組制作からは大きく変容しているのが現状だ。
https://www.j-cast.com/2023/11/08472612.html
実際、最近のテレビ番組では
・どこかの食べ物を紹介する
・どこかの場所に行く
と言った番組をADだけで作らせるか
・お笑いタレントをあつめて雑談させる
と言った番組が目につく。
テレビ番組の質が下がったとみるべきであろうか。
私自身は、現在はほとんどテレビを見ない。
一部音楽番組、スポーツ中継を見るぐらいで時間が限られる。
一日中テレビをつけっぱなしという生活ではない。
テレビを見ないことを前提とした人々が多くなったときに、企業担当者は何を思うのだろうか。
■テレビ以外の選択肢
「続きはWEB」というコマーシャルが一時期はやった。テレビCMが15秒程度という枠であることや、自社のホームページに誘導する目的で行なわれていたが今はあまり見かけなくなった。
実店舗ではなくECコマースで購入することが当たり前になり、商品比較や探索などもWebで行なうことが日常である以上、商品そのものの訴求は、SNSやYoutube、あるいは自社のスポンサーをしているタレントやイベントなどのニュースなどでの話題にかこつける方が効果的かもしれない。
現在テレビCMが商品紹介もあるものの、イメージ戦略の色彩もあるなど多様化しており、興味深いものがあるものの、そもそも視聴がされなければ意味は無い。
そうした意味では、消費者が自ら選んでくれるコンテンツづくりが重要であり、映像の露出と誘導がキーとなる。
現在最有力候補はやはりYoutubeも含めたSNSであろう。ステマ疑惑に注意は必要であるが、消費者と近接できる媒体がしばらくは優勢だと思う。テレビも無視する必要は無い。質の高いコンテンツを作れる相手を探すだけで、そうでないなら手を切る。
何かに頼り切りのマーケティング戦略は曲がり角に来ている。
(2023/11/15)