■なにげなニュース
○外国人技能実習制度見直し 新制度で名称「育成就労」とする案
2023年11月15日
外国人が最長で5年間、働きながら技能を学べる技能実習制度では失踪者が相次いでいることなどから、政府の有識者会議は今の制度を廃止して新たな制度をつくることを検討しています。
15日開かれた会議では、新たな制度が人材の確保と育成を目的とすることから名称を「育成就労」とする案が示されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231115/k10014259351000.html
しかし、「失踪者が相次いでいること」は名称を変えたからと言って解決するわけではない。今起きていることは下記なども参考になるだろう。
○外国人技能実習制度を廃止へ
2023.11.13
国土交通省がまとめた2021年の調査データによると、建設分野で活躍する外国人の数は約11万人で、全産業の約6・4%を占める。うち技能実習生は約7万人となっている。一方、出入国在留管理庁によると2022年時点で45万5000人が技能実習生として日本で働いているが、賃金などの不払いなど、実習実施者側の不適正な取扱いなどが主な要因となり、約9000人が失踪。現行の技能実習制度は人材育成を通じた国際貢献を制度目的とし、労働力の需給調整の手段としてはならないという基本理念を掲げているにもかかわらず、技能実習生が国内の企業などの労働力として貢献しており、制度目的と運用実態のかい離が指摘されている。
https://htonline.sohjusha.co.jp/672-015/
「労働力の需給調整の手段としてはならないという基本理念」が守られていないことが要因の一つであり、これを改善しないで制度の枠組みを変えても解決はしない。簡単に言えば、安い労働力という意識を変えない限り解決はしない。
■双方の視点
かつて「ブラジル移民」といって、日本の農村などで食べてゆけない人々をブラジルに送り込んだ時代がある。当人たちは移民であり、政府の立場からは棄民であり、ブラジルとしては都合の良い労働力であっただろう。この構図は今でも変わらない。
原理は簡単だ。自分の国では豊かな生活が送れないので他の国に行く。貧しさとは少し違うかもしれないが自国にいられないという意味では難民も同じである。
外国人にして見れば経時的価値の有無が重要なポイントである。仮に労働環境が多少ひどくても「賃金」がまともに払われれば「失踪」などはしない。
その意味では「労働力の需給調整の手段としてはならないという基本理念」は無意味である。まずすべきは、日本人と同じように「労働法」も適用させることである。
「人材の確保と育成を目的」などは両立しない。
相手にとっての経済的価値がなければいずれ彼らに見捨てられるだろう。
育成すべきは彼らではない。安い労働力でしか成立しない経済活動をしている経営者の未熟な発想である。
(2023/11/18)