リストラに無関心ではならない。
難解も同じテーマで投稿しているが、やはり気になるので再投稿
■息を潜めているリストラ報道
2022年から2023年にかけて大手企業のリストラの報道が続いたと記憶している。折しも「リスキル」「ジョブ型雇用」が話題になった時期と重なる。しかし、「リスキル」「ジョブ型雇用」という手段を用いようが企業収益は劇的に上がるはずもなく、こうしたコンセプトを今更持ち出さずとも、能力開発や業務プロセスの見直しなどは当然ことなので、一定程度の人員整理が終われば下火になる。
国内のリストラを検索しても最近は少なく、「リストラ 早期退職制度」としても、せいぜいシャープの記事が出るぐらいだ。
しかし、海外に目を向けるとそんなことはない。
○スポティファイ、従業員17%の1500人削減 今年3度目
2023年12月4日
音楽配信サービス大手スポティファイ(SPOT.N)は4日、人員の17%に相当する約1500人を解雇すると発表した。コスト削減が狙い。
1月にも600人、6月にも200人を解雇している。
ハイテク企業は今年初めに相次いで人員削減を実施したが、その後、アマゾンやリンクトインなど一部の企業は再び人員を削減している。
https://jp.reuters.com/business/technology/VJK5GKNSOVKNTKI6CTGWFED4SE-2023-12-04/
こうしたリストラは大手ITサービスグループ関連企業だけとは限らない。
○独コンチネンタル、自動車部門再編で5000人削減を検討
2023年11月13日
自動車部品大手の独コンチネンタルは13日、自動車部門を再編し、全従業員の3%に相当する約5000人の削減を検討していると発表した。電気自動車(EV)シフトへの遅れを挽回する狙いで、6つの事業領域を5つに組み替え、意思決定のスピードを上げる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR122WN0S3A111C2000000/
EVシフトが旨く行くかは別としても裾野が広い自動車産業でのリストラの準備を進めておく必要がある。
○国内リストラが続く、自動車部品の苦悩
国内事業の縮小が課題
2013/03/17
日産自動車系の大手自動車部品メーカーでラジエーターや運転席モジュールなどを手掛けるカルソニックカンセイは、北関東から東北に立地する生産子会社の一部の統廃合を計画中。すでに本体工場の集約を進めていたが、国内生産の一段のスリム化に取り組まざるをえなくなった。
また、これまで日本の本社で担当してきた海外向けの開発業務について、新興国向けの開発を中心に、13年から海外移管を加速させている。インド向けの開発については、現地のエンジニアリング会社に外注、開発費用の圧縮を図る。
https://toyokeizai.net/articles/-/13242
■雇用の安定を補償ができないことへの副作用
人手不足について検索すれば多くの情報が出てくる。それはあらゆる産業に波及し、私自身の経験(ISO9001の認証審査など)でも、応募者が来ない、採用に至らない、定着しないなどの悩みを多く聞く。
その原因として、やはり「賃金」と「業務負荷(残業問題)」が大きく、現在の運転手不足もこれに起因する。
大手であれば、一定程度採用できるだろうが、やはり早期の離職は一定程度あり悩みの一つであると聞く。
採用される側から見ると、もう一つ「安定」という要素が重要になる。
現在、かつてヘッドハンティングと呼ばれていた活動はビズリーチを代表とされる転職支援サイトに取って代わられ、おそらくは一定程度の市場を形成していると思う。
しかし、経験上、抗して転職してきた人々の定着率は分からない。さらに云えば、企業の組織は優秀な人材だけで構成されるわけではない。地味ではあるがそうした仕事を厭わない人々、経験により熟練した人々で運営されている。彼らをないがしろにしていると判断される企業は避けられるリスクがある。
「御社は40歳までしか働けないのですか」
「この工場が閉鎖されたら私たちは解雇ですか」
などとは聞かれないだろう。しかし、そうした気持ちをいだかせるとしたら採用戦略にはマイナスである。
人事部門は自社の「リストラ」に無関心ではならない。それへの報復はいつか人事部門に跳ね返ってくる。
(2023/12/12)