築城3年落城3日というが、1度信用を失った後の回復は3年ですむのか。
「ジャパンリスク」は杞憂だろうか。
■失った信用は何をもたらすのか
2023年12月13日現在、自民党の各派閥が裏金を作っていた問題が連日取り上げられる。裏金は、誰にも知られずに使える私的資金であり、当然脱税などの法令違反と見なされる。法律を守らない政治家の大量生産は海外からどう見られるのかが心配だ。
「日本では政治家が平然と法律を無視している」といいう評判は心理的なものなので直ちに何かに現れるわけではないだろうが、確実に悪いことが起きそうな気がする。
○橋本聖子元五輪相も 1000万円超のキックバックか
12月10日
自民党の最大派閥、安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題で、1000万円を超えるキックバックを受けたとみられる10人以上の議員側の中に、閣僚経験がある橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣が含まれていることが関係者への取材で新たにわかりました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20231210/7000063165.html
この問題は、単に個人の脱税という問題ではなく、「オリンピックに関わっていた公人」が裏金で何かしていたと云うことである。すでに、馳知事の贈り物発言はIOCの倫理規程への抵触問題でヒヤッとさせた事件であったと思うが、こうしたオリンピックに関わる政治家の汚職は、これ以降IOCが日本に近づかない十分な理由になる。これは札幌招致がなくなった一つの要因だと思う。
■パワーバランスの消失
現在の政権から安陪派がいなくなるとしたら、かつて安倍政権で推し進めてきた様々な政策決定のプロセスに影響が出るのではと感じていたが現実味を帯びてきた。
○日銀の金融政策正常化、安倍派の勢力低下で進めやすくなるとの見方
2023年12月11日
自民党の政治資金問題に端を発した政治の混乱により、日本銀行はマイナス金利の解除に向けて金融政策の正常化を進めやすくなるとの見方が日銀ウオッチャーから出ている。
岸田文雄首相は金融緩和を志向する自民党安倍派に属する閣僚、副大臣、政務官の政務三役を全て交代させる意向を固めたと報道各社が報じる中、そうなった場合、日銀は政策金利の引き上げに動きやすくなると複数のエコノミストはみている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-11/S5HEF3T0G1KW00
○繰り返される政治とカネの問題:先行きの政局を睨み金融市場はどう反応するか:日銀の政策修正にも影響か
2023/12/04
一般に安倍派は、アベノミクスの遺産であるとして、日本銀行の異例の金融緩和の継続を望んでおり、それが金利上昇リスクを抑えるもとで財政拡張による景気浮揚を志向する傾向がある。そのため、植田総裁に対しても、大幅緩和の継続、イールドカーブ・コントロール(YCC)の枠組み維持、2%の物価目標の堅持などを強く求めてきた。日本銀行にとっては、そうした政治的圧力が、金融政策の正常化に一定程度制約となっているのが現状だろう。
仮に裏金疑惑が安倍派の発言力を低下させるのであれば、日本銀行は政策の自由度を高め、マイナス金利政策解除やYCC撤廃などの金融政策の正常化に動きやすくなる。金融市場がそう考えれば、債券安、円高、株安となる。
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2023/fis/kiuchi/1204
政策決定会合が近日中に行なわれるはずであるから注視しておく必要がある。
■グローバル企業の憂鬱
ガバナンスへの対応や人権などの対応を間違うと予期せぬことが起きる。
現在、ウクライナとはマスの問題は、ユダヤ教徒イスラム教の確執の問題にもなりかねない。どちらが正しいと云うことも重要であるが、曖昧な態度は投資家の不振を招きかねない。
○ペンシルべニア大の学長と理事長が辞任、反ユダヤ主義への対応で批判
2023年12月10日
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-09/S5F73KT0G1KW00
○米名門大への1億ドル寄付、投資会社トップが撤回-反ユダヤ主義巡り
2023年12月8日
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-08/S5BQN7T0AFB400
企業は世界を理解しなければならない。ESGだけではない。国の不誠実な対応に対し「明らかにせよ」「説明責任を果たせ」では十分ではない。曖昧な態度は信用を失う。
世界の投資家が日本や日本の企業を総見るかは経営者は神経質になっておく必要がある。
「ジャパンリスク」と忌避されないことを願う。
(2023/12/11)