ライドシェアで解決すべき問題は特定化しないと政策評価はできない。
観光地での今起きている問題は2024年問題とは異なる。それは、そもそもの供給能力の過剰な需要の発生である。
■施策との距離
元々は、2024年問題から発生するタクシー運転手の不足の問題が発端であり、それは労働力不足の問題、人手不足の問題の派生の問題であったはずである。その根底は、2024年問題と言われる労働時間の問題であったり、長時間働かなければ生活できない賃金問題であったはずである。
それを観光地問題と組み合わせるとおかしな議論になる。
すなわち
①観光地問題はインバウンド政策の延長線上にある。
政府がクールジャパンを標榜し、来日観光客数を増やす政策をとっている。副作用としてオーバーツーリズムが発生することは諸外国の状況を見ても明らかである。その問題は、過度の観光客が、宿泊、交通、ゴミ、治安などの問題に波及することは知られている。
したがって、観光客数のコントロールがすべき施策になる。
②観光地問題には人が住んでいる
観光地にはすでに居住している住人がいる。観光客のオーバーフローは地域の元々のトラフィックシステムに過負荷を与える。それは地域住民の交通手段を奪うことになる。総量としての輸送能力の増強が必要であり、タクシーだけの問題にとどまらない。通常の都市交通問題とは異なる対応が必要になる。なぜなら公共交通機関はいったん構築したら簡単にはけられないからだ。
○外国人観光客からも不満続出…どうなる日本の「ライドシェア」
2023/12/01
すでに「駅のタクシー乗り場は長蛇の列」「配車センターに電話しても全然つながらない」などの事態が起きています。なかには、夜の営業を取りやめたタクシー会社も。
また、訪日外国人もコロナ後に急激に増えています。外国人からすると日本に着くと「えっ、日本は『Uber』ないの?」と驚き、いきなり不便さを痛感させられる始末。
それは、移動手段を自前で用意することもなく地元のサービスに頼るという構図である。
ウーバーの有無ではない。ウーバーがあっても解決しない。
○限定ライドシェア導入へ 政府、地域限定で来春にも
2023/12/12
政府が、普通免許しか持たない一般ドライバーでも自家用車に有料で客を乗せて走る「ライドシェア」について、地域を限定する条件付きで来春にも導入する方向で調整に入ったことが12日、分かった。タクシー運転手が不足している都市部や観光地を対象とする案が有力だ。タクシー会社が運行管理することも要件とする方向。
https://nordot.app/1107268467558154940?ncmp=post_rcmd
オーバーツーリズムについてもセットにして議論しない、こうした施策は多くのことを見逃す。
■白タク問題は問題ではない
元々の白タク問題は、戦後のタクシー不足を補うかのように相乗りで運送する人々がおり、かれらが無許可(白ナンバーのママ)で営業したことを指す。こうした行為は、法律の網がかからないために、税金の未納、運賃の適正性に関わる問題、事故時の対応などに行政が対応でき無いことが問題視されていた、
しかし、これらはウーバータクシーのように配車アプリをコントロールすれば解決できる。
・あらかじめの運行ルートを決めておく
・完全予約制である
・支払いは全てクレジットで行なう
などである。
問題の本質は、「配車アプリ」が管理されないことである。
そのため、現在でも「闇ウーバー」のようなことが起きている。
これを放置すると、かつての白タク問題と同じことが起きる。
すなわちデジタル技術の活用が必須である。
■すべき施策
過疎的な観光地では、おそらくは問題は起きない。なぜなら、そもそものタクシーのニーズは少ないだろうし、マイカーで訪れる人が多いだろう。また「不便」であることが魅力であることもある。
問題なのは、オーバーツーリズムになっているところである。こうした箇所は都市部に近い箇所が多く、結果として苦痛手段が足りていない。そうした場面では、需要と供給のバランスが発生し、多少高くても良とする心理が働く。既存のタクシーなどは規程の料金しか取れないのに対し、「闇」タクシーは、自分で料金設定ができる。管理されない配車アプリを使えば法の網をかいくぐったサービスができる。
「闇」タクシーは云ってしまえば「特殊詐欺」と同じ構造になる。
行政が行なうべきことは、
①「闇配車アプリ」についての情報収集と対策
②被害者からの通報窓口の整備
③そのための安全な配車アプリの整備
が必要である。
もっとも、そのためには十分な運搬能力が無ければならない。
ライドシェアの解禁とっても、誰も手を挙げなければ意味が無い。
そもそも人手不足なのに、下記の記事は意味不明である。
○ライドシェア来年4月から一部解禁 タクシー業界は観光地に“応援部隊”派遣の新たな取り組みも
2023年12月18日
日本各地のタクシー不足を背景に議論が進む「ライドシェア」。政府が来年4月から一部解禁する方針を固めたことがわかりました。一方、タクシー業界は不足に対応するために北海道で新たな取り組みを始めています。
北海道倶知安町で次々と出発するタクシー。実は運転しているのは、札幌や東京から駆け付けた“応援部隊”です。
全国ハイヤー・タクシー連合会 川鍋一朗 会長
「我々も自由にさせてもらって、戦わせてほしい。観光地・過疎地・都会と3つぐらいに分けて、それぞれの分野で適切な処方箋を、安全性と責任の所在を明確にしながら、もう少し深い議論をしていただければ」こうした中、政府は来年4月から「ライドシェア」をタクシーが不足する地域などに限定して解禁する方針を固めたことがわかりました。
一方、タクシー会社以外の企業が参入する全面解禁は、来年中をめどに考えをまとめる方針です。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/900668?display=1
(2023/12/25)