世間に転がる意味不明:デジャブーな事件(IHI、お前もか!)


-組織を守るためにデジタル化を無視する人々

■呆れたニュース

データ改善の事件で揺れた2023年。ダイハツの事件は、誠実さをないがしろにする企業文化に暗澹たる思いをいだいたが、2024年でも同じゆな事件が報じられた。

○IHI子会社 エンジン4300台余の測定データ改ざん 国交省調査へ
2024年4月24日

エンジンメーカーのIHI原動機が2003年以降に出荷した船舶などのエンジン4300台余りについて、燃料消費率の測定データを改ざんしていたことが分かりました。
国土交通省は今後、立ち入り検査を実施するなどして詳しいいきさつを調査する方針です。

東京に本社をおくエンジンメーカーのIHI原動機はエンジンの試運転のあと取引先に報告する成績書に、実際に測定された燃料消費率とは異なる数値を記載していたと発表し、24日、国土交通省に報告しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240424/k10014431511000.html

それが長年の不正であることも同じである。

○IHI、エンジン燃費改ざん 4千台超、80年代からか
2024/04/24

 IHIは24日、子会社のIHI原動機(東京)が船舶用や陸上用のエンジンの燃費に関するデータを改ざんしていたと発表した。改ざんは国内の2工場で行われ、このうち新潟内燃機工場(新潟市)では1980年代後半に始まった可能性がある。データが確認できる2003年以降だけで国内外に出荷された計4361台に上り、納入先には海上保安庁やJR北海道が含まれている。内部告発により判明した。

https://nordot.app/1155778478994489992

驚くのは、IHIには前科があることだ。

○IHIが航空エンジン整備で検査不正、無資格検査と規定違反、押印と日付を偽装
2019.04.01

IHIの航空機エンジン事業で検査不正が発覚した。国土交通省東京航空局の立入検査により、同社が民間用航空機エンジンの整備で、必要な資格を持たない作業者が検査業務を行っていた「無資格者による検査(無資格検査)」を含む不正を行っていたと明らかになった。2017年9月の日産自動車から始まり、SUBARU(スバル)、スズキ、マツダ、ヤマハ発動機と自動車分野で発覚してきた検査不正が航空機分野にも広がっていると判明した。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nmc/18/00011/00032/

何も変えられなかったというのがどう考えていいのか。
下記の様ないいわけは意味が無い。

○IHI、口頭で引き継がれたデータ改竄 エンジン検査で再び不正、社内体質を変えられず
2024/4/24

IHIは24日、子会社のIHI原動機(東京)が船舶用や陸上用のエンジンの燃費データを改竄(かいざん)していたと発表した。IHIは平成31年に民間航空機エンジンの整備で不正が発覚し、再発防止に取り組んでいたが、社内全体にコンプライアンス(法令遵守)意識が浸透しなかった。企業体質を変えられず、信頼回復の道のりは遠い。

IHIによると、1980年代後半から不正が行われていたとの関係者の証言があるという。口頭でデータの改竄が引き継がれており、組織的に不正が行われていた可能性が高い。

今回の不正は工場製造部門で行われており、エンジンの製造と性能試験を同じ部署で実施していた。品質管理部門は工場製造部門のデータをそのまま受け取っていたため、チェック機能が働かなかった。同社は製造と性能試験を分離すべきだったとしている。

https://www.sankei.com/article/20240424-FSHA63GC4VIV5F4UOCOIKBANIE/

■教訓(システムを変える)

「エンジンの製造と性能試験を同じ部署で実施」とあるが、これはシステム開発でもやってはいけないことの一つである。つまり、システムを実装した人が、テストをしてはいけないと言うことは基本である。テスト仕様書も作ってはならない。なぜならば、本能的に危険回避をするという心理的な性向が知られており、悪意の有無に関係なく、「無意識にバグを回避するテストを行なう」と言うことがあるからだ。

チェックリストに手書きで記入する検査システムも変えるべきである。
計測器から直接記録を取る様なIOTはすでに開発されている。

印刷したラベルが流れるラインにおいて自動的にに汚れを検査するシステムなどとうの昔に開発されている。

もちろん人の手や目を不要だとは言わない。しかし、不正を防ぐのであれば、なるべく人の手が介在しないシステムを活用すべきである。

■教訓(会社中心の考え方を辞める)

不正が長年にわたって実施されていたのならば、そこに関わる社員が知らないわけはない。会社から言われたから、上司から言われたから、先輩から言われたからというのは、どのような理由なのだろうか。日本の風土は、「滅私奉公」という概念から逃げられていない。
会社中心の考え方を辞めなければならない。
日本で「内部告発」が中々出てこないのは、組織からの報復が恐ろしいからであろう。
従って、会社は、真偽に関係なく自由に「内部告発」出来る環境を作らなければならない。真偽は告発された後で調べれば良い。
思ったコトを言わせない風土こそ変えなければならない。そしてそれが出来ない経営者は三流である。
三流の経営者に率いられる会社のなんと多いことか。

■デジタル化への覚悟

デジタル化は、人が行なうことをデジタル技術で代替してゆく過程である。こうした流れは、人の行なう仕事のダイナミックな変遷を促す。こうした社会の中では、終身雇用を前提とした人材流動の硬直化はマイナス要員にしかならない。

しかし、現在の日本社会の中では積極的に自分自身の流動化を受け入れる層は主流となっていない。こうした流動化の鈍さは仕事の硬直化をもたらすだけではない。自分の仕事を自分のものにするというわがままな気持ちと、それを許容する組織を守ろうとする意識が働き過ぎてしまう。

デジタル化は生産性向上だけではない。近年日本で多発している偽装事件の防止のためにも進めなければならない。

(2024/04/27)