■はじめに
人事部門の戦略的な関わりを持って欲しいという経営者の期待がある。しかし当の人事部門が企業の周りで起きていることを他人事だと想っている限り未来の準備は出来ない。
行政機関という名前の「機関」という部分は、英語ではBodyという。と言うことをかなり以前に話をされた記憶がある。行政機関は、法律や通達に従ったオペレーションをするので、「頭」を使うな、「手足」として動けという理念だ。
法律で「民事不介入」が規定されていれば、夫婦げんかの仲裁にしら警察は介入できない。
では、人事部は「機関」なのだろうか。
この投稿は、「それでは困る」と言うことを題材としている。
■人事がらみの訴訟
直接人事部が訴えられるわけではないが、「報酬」にからめた訴訟は起きる、昨年来時々話題になる、アマゾンの配達員は従業員かという訴訟問題は今も解決していない。
○元配達員割増賃金求め提訴 アマゾン下請けに、鹿児島
2024/06/10
訴状によると、3人は21~22年に下請け会社の鹿児島営業所で稼働を始め、商品配達を担ったほか、2人は配送数の管理も担った。自分でルートを決めたり、割り当て荷物を拒否したりすることはできず、1日平均で12時間稼働。23年7月31日付で契約解除されたとしている。
https://nordot.app/1172804171314348743
また、従業員であったとしても適正な雇用関係の元になければ訴訟を起こされるリスクはある。
○「福岡西鉄タクシー」運転手ら87人が残業代2億円請求 地裁に提訴
2024年6月14日
訴状などによると、西鉄タクシーは、長時間勤務する代わりに休日をまとめ取りできる「変形労働時間制」を社員に適用している。この制度は労働日や時間を特定することが条件だが、原告側は、会社が業務の都合で労働時間を変更できる規定を設けていると主張。制度を無効とした場合に発生する残業代などを支払うよう求めている。
https://www.asahi.com/articles/ASS6G3CM2S6GTIPE002M.html
こうした紛争問題に人事部が矢面に立つことはないだろう。
しかしとも思う。
■戦略人事の期待
「正しいことをすべき」という価値観がなければ、倫理観は醸成されず中立的で公平な判断、誠実な対応が出来なくなる。
最近の話題の「人的資本経営」あるいは「人事部門の戦略的役割」という言葉は“きれいな”言葉ではあるが実体を表していない。それは、人事部門も自分たちの価値観で意思決定し、経営の承認を得られるように活動することである。
漫然と自社の人事制度やアウトソースを中核としたビジネスモデルを見ているだけでは不十分である。それが”社会の取っての正義”なのかも見る必要がある。それを怠れば、蒸気で示したような訴訟問題に巻き込まれる恐れもある。
他者を踏みにじる行為を傍観する人事部門にならないことを祈る。
2024/06/17