世間に転がる意味不明:地域交通の問題点(外国人登用と二種免許の門戸拡大)


■何を題材とするのか

ライドシェアの問題を語るときに焦点となるのは「タクシー運転手不足」であり、施策としての「ライドシェア」である。
一方で、運転手不足を補うために外国人登用を、解決手段として考える人々もいる。

○外国人技能実習廃止し「育成就労」を創設、不正対策も強化 適正化法など改正案を閣議決定
2024/3/15

受け入れ拡大が見込まれる外国人の不正対策も強化。悪質な外国人や受け入れ先排除のため、税金を滞納した外国人らの永住資格を取り消せるようにし、外国人を違法に雇う「不法就労助長罪」の罰則も強化する。

新制度は原則3年の育成期間を経て日本語と技能試験に合格すれば、特定の分野で外国人の就労を認める特定技能1号に移行。さらに熟練した技能があれば、家族を帯同して事実上永住が可能な2号に移行できる。

現行の技能実習制度では原則、認められず、人権侵害の温床ともされた受け入れ先の転籍(転職)については、1~2年の育成期間と試験の合格などを条件に解禁する。

https://www.sankei.com/article/20240315-RX6HPWY6U5O2DNQ6OVFGBXDSN4/

名前だけ外国人技能実習制度を無くしたからと云って、海外から非難される実質的な奴隷制度がなくなるのか、あるいはもっと外国人の就労が増えるか疑問ではあるがそれは此処では横に置いておく。

主題は「運転手不足を解決できているのか」である。
分かる範囲で考えてみる。

■政策:要件の緩和

タクシードライバーは「二種免許」の取得が条件であり、さらにタクシードライバーになるためには実地試験などが求められる。接客業も兼ねるのでいろいろな意味でプロフェッショナルである事が求められる。その要件を緩和しようという動きである。

関連する記事を列記する。

○タクシー業界vsライドシェア業界 対立から「共存共栄」へのシフトは可能なのだろうか?
2024.2.15

2024年4月からのタクシー会社主導によるライドシェアの導入が決定した。2023年12月26日に開催された内閣府の規制改革推進会議の中間答申による主なポイントは次のとおり。

・タクシー台数増加を目的とした各規制緩和
・輸送力の「不足地域等」を対象とした、個人車両を使用した有料の運送
・交通が不便な「交通空白地帯」を対象とした、個人車両を使用した有料の運送

推進会議では、二種免許の取得要件の緩和や外国人材の活用により、タクシー台数の増加を見込んでいる。

https://merkmal-biz.jp/post/59198

○福岡の試験場で全国初 外国語でも「2種運転免許の学科試験」対応 タクシー運転手不足解消へ
2024年03月27日

タクシードライバーの数は高齢化などを背景に年々減少し、2022年度には全国で約24万2000人と、この20年ほどで実に4割減っています。

実際にこの会社では、この1年間で約20人のドライバーが定年退職。

さらに、いよいよ4月からドライバーの時間外労働の上限が規制される、いわゆる2024年問題でそれぞれの勤務時間が短くなるため、全国で人手不足に拍車が掛かると見られています。

こうしたタクシー業界の深刻な人手不足を受けて27日、福岡で全国初の試験が始まりました。

タクシードライバーとして働くためには「第二種運転免許」が必要ですが、福岡県内の4つの運転免許試験場では、全国初となる外国語による学科試験がスタートしました。

https://yotemira.tnc.co.jp/news/articles/NID2024032720774

○タクシードライバーになるための「地理試験」が廃止! 今後は「道を知らない運転士」が激増の可能性も (1/2ページ)
2024年4月11日

2024年2月29日付けで東京都、大阪府、神奈川県においてタクシー運転士になるために必要だった「地理試験」が廃止されたとのこと。

地理試験の廃止に関係なく、今後は地理に不案内な運転士が目立ってくることになるだろう。地理試験を廃止したことで、自分の営業区域の道に詳しくなるのには、いよいよ各運転士の自己努力となる。いままでも、乗務しないときでも都内で道を覚えるといった運転士もいて、道に詳しくなるか否かは個人に任される部分も大きかったといえる。しかし、ここへきて「タクシー配車アプリ」の普及により、さらに“道を知らない”運転士が増えそうだと筆者は考えている。

https://www.webcartop.jp/2024/04/1327220/

要件を緩和して、安全性や利便性はどうなのかという疑問もわくかもしれないが、それらはIT技術でなんともなる。すでにカーナビは普及しており、ドライブレコーダー、社内への監視カメラ、自動翻訳装置の進歩なども順調である。

抜け道や近道を知らなくてもよいと考えれば、ライドシェアではなく外国人でもかまわないだろう。

■実態

検索エンジンで「外国人タクシードライバー」と検索しても、推移どころか総数もよく分からない。外国人、あるいはタクシー運転手と言うことであればマクロとしての数字はなんとなく分かるが、偏在(本当に不足しているのか)や職種までは分からない。

いくつかのタクシー会社のホームペジを見ると多少データはあるが、それでも地方のタクシー会社がどうなっているかなどは分かりようがない。

いくつかの業界レポートなどを見ると、「ゼロ」ではないが「運転手不足」を補うものでは無いことがうかがえる。

こうした実体が分からないときに、インターネットで情報を集めているだけでは実体が分からないのかと悩むが、それでも行政は施策を展開したならその効果測定をして欲しいと願う。

2024/07/28