世間に転がる意味不明:地域交通の問題点(ライドシェアと野良DX)


■ライドシェアの肝としてのデジタル化

本来のライドシェアの使い方は「完全予約制」であり「流しのタクシー」をなるべく減らすという意図がある。そのため、

①ネット環境での予約
②出発点と到着点の指定
③これによる、ルートと金額の決定
④合意後のクレジットカードによる事前支払い

などが前提となる。これに加え

①乗客情報の登録
②運転手情報の公開
③利用後のドライバー評価
④車内監視カメラの設置と情報管理

が安全運行という点から必要になる。同時にこれらの情報はサービス強化のためのビッグデータともなりうる。

機密情報・個人情報の管理が適切に行なわれることが必須であり、何らかの法整備も必要だと考えるが、このあたりの議論が進んでいるとは思えない。聞こえてくるのは、「タクシー業界」の保全の話だけである。

ウーバー社からすれば規制による参入障壁が高すぎて話にはならないだろうが、それでもデジタル技術を使ったライドシェアへの手探りは続いている。

■勝手に進むアプリ開発

こうした事前予約を基本としたシステムは、すでにその片鱗を各タクシー会社は整備しており、ライドシェアに関する規制緩和を見込んで、システム整備も進めている記事を散見する、

○S.RIDE、「流しは拒否」のアプリ専用タクシーを展開!東京23区などで
ドライバー不足解消の奥の手になるか
2024年3月11日

今回のアプリ配車専用車の運行は、東京都内におけるタクシー供給不足の解消に向けた実証実験として実施する。

具体的には、S.RIDEが保有するアプリ配車の実績データに基づき、タクシー需要が供給を上回る特定の地域や時間帯において、アプリ配車専用車を運行する。それにより、アプリからの配車の成功率を向上させることが期待されている。この実証実験を通してアプリ配車専用車の有用性や課題を検証し、今後の運用について検討するという。

さらに、寿交通とチェッカーキャブ無線協同組合を加えたタクシー会社5社で、乗務員の勤務体制や運行エリアを調整する取り組みも順次開始しているという。S.RIDEはタクシー事業者とともに、タクシー供給不足の早期解決に向けた取り組みを強化していくようだ。

S.RIDE、「流しは拒否」のアプリ専用タクシーを展開!東京23区などで

○日本でもUberアプリで「ライドシェア」を呼べるように–4月上旬より順次開始
2024年04月02日

 Uber Japanは4月2日、「タクシー会社によるライドシェア」(日本型ライドシェア)の導入支援を、東京都、神奈川県、愛知県、京都府で4月上旬より順次開始すると発表した。Uberアプリを約10のタクシー事業者に提供するという。

Uber Japanでは、提携タクシー会社への「Uber」アプリの導入サポートのほか、遠隔点呼の導入や実施、カスタマーサポートなどを提供する。また、ドライバーの仕事に興味のある人を提携タクシー会社に紹介するなど、採用や研修も支援する。

運行開始後は、Uberアプリから「自家用タクシー」という表示名でライドシェアによる配車を受けられる。また、配車から決済、ドライバーや乗客からの問い合わせ、事故発生時の対応も実施するという。

https://japan.cnet.com/article/35217207/

○タクシーアプリGO、「日本型ライドシェア」車両の迎車可能に
2024年4月1日

4月からの運行が見込まれている日本型ライドシェアは、タクシー事業者が一般ドライバー(ライドシェアドライバー)の教育および運行管理や自家用車の車両整備管理を行なうとともに運送責任を負うことで、安全性を確保している。また、タクシーが不足しやすい地域、時期、時間帯に限り、運行が認められる。

GOの新サービス開始以降は、日本型ライドシェア車両が稼働している地域・時間帯に、GOアプリから乗車地および降車地を指定の上、支払方法として「GO Pay」を選択して車両を呼ぶと、日本型ライドシェア車両も対象となる。マッチングした場合には運賃が確定した状態で車両が到着する。希望により通常のタクシーに限定して呼ぶことも可能。

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1580917.html

自力でシステムを用意できない会社に対してはシステムをサービスとして提供する会社も出てくるだろう。その予兆はすでにある。

○パートの乗務員が運転…名鉄タクシーグループが『アプリ予約専用のタクシー』導入 人手不足の解消が目的
2024/04/02

名鉄タクシーグループが東海地区で初めて導入したアプリ専用タクシーで、アプリからの予約に限り客を乗せることができます。

運転するのは「GO Crew」と呼ばれる乗務員です。時給1350円で、週3回・1日5時間から働けるため副業も可能となっていて、生活スタイルに合わせてハンドルを握ることができます。

「GO Crew」には既に60人ほどの応募があったということで、名鉄タクシーグループは10人を採用し、今後も増やしていきたいとしています。

https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20240402_33626

■置き去りにされる安全管理

こうしたアプリの利用者はタクシー会社だけとは限らない。
自治体でも使い始めることがあり得るという記事を見かけた。

○新潟県佐渡市でライドシェアの実証実験、観光シーズンのタクシー不足解消へ。ウェブから予約可能
2024年7月29日

特設ウェブサイトで利用者登録し、人数や時間などを入力して予約することで、基本的には新潟交通佐渡のタクシーが配車されるが、タクシー不足時には、講習を受けた一般のドライバーが自家用車で運行する。料金は事前決済となり、乗車地点から降車地点までの走行予定ルートの距離に応じて決定される。

https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1611603.html

システムの窓口が増え、扱う個人情報も膨大になれば、それの漏洩リスクやシステム障害による機能不全などは社会問題化しかねない。

こうしたときに、デジタル庁がリーダーシップを発揮するかと云えば心許ない。なぜならば、方針などの基本的な考え方を湿したとしても、どう実装するのかを主導しなければすべて絵に描いた元に終わる。

○デジタル庁が自治体に「ゼロトラスト」の大号令…何がどう変わるのか?
2024/07/19
https://www.sbbit.jp/article/cont1/143148

また、法整備したからと云って安全が獲得でいるわけでもない。
しかし、議論を始めないことには前に進まない。

事件・事故が起きる前に議論をして欲しいのだが、そういった記事が見当たらない。
どうなるんだ「ライドシェア」

2024/08/06