■2024年問題と自動化の流れ
2024年問題は、本来は正常な働き方として過度な残業をさせないという主旨であったものが、長時間労働を前提としている業界では人手不足を引き起こしているという構図であろう。
その対応として、一部の先進的あるいは体力のある企業ではAi、ロボット、通信技術を駆使して自動化を推し進めており、関連した記事を多く見る。
(運送業)
○トラックの荷積みをAIロボットで 佐川急便など、国内初導入へ実験
2023年12月15日
トラックへの荷積みをAI(人工知能)搭載のロボットに担わせることをめざし、佐川急便などが実証実験を始める。実用化されれば国内初という。運転手の荷積みの負担を減らし、労働時間の上限規制が始まる「2024年問題」の解決策の一つにしたい考えだ。
https://www.asahi.com/articles/ASRDH5GDYRDHULFA00R.htm
(建設業)
○日立、エレベーター据え付け作業を半自動化 工期短縮、24年問題に対応
2024年03月07日
日立製作所と日立ビルシステムは7日、エレベーターの新設据え付け作業を半自動化する装置を開発したと発表した。主力商品で運用を始めた。労働時間の規制強化に伴い建設や物流業界での人手不足や工期長期化が懸念される「2024年問題」に対応するとともに、熟練度合いによらず作業を早く正確に行えるようにする。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024030700825
(農業)
○日本の農業自動化、10年以内に実現 クボタの北尾裕一社長インタビュー
2024/3/5
農林水産省は、少子高齢化などにより農業を主な仕事とする「基幹的農業従事者」が、今後20年で120万人から約4分の1の30万人にまで減少すると予測している。担い手不足への対策として期待されるのが、人工知能(AI)や自動運転技術を使った農業の自動化だ。
https://www.sankei.com/article/20240305-M6TBUKBOZNJGNEVLUYUUUD6Y4I/
■仕事を奪うという誤謬
こうしたAIやロボットの活用の流れでは「仕事を奪う」という論調が見られることがあるが、それは間違っている。なぜなら、そもそも人手がないから自動化を推し進めるのであり、働く人々の賃金を減らすことが目的ではない。
また、熟練者の技術をAIに移植する、あるいは単純労働をロボットにさせるという流れの中では仕事を奪うと云うがこれも間違っている。熟練技術者はAIのトレーナーになり、単純労働者はロボットたちのマネージャーになる未知が用意される。
新たな能力の習得に怠けるという人は仕事を奪われるという感があるかもしれないが、それは問題が異なる。
感情的に「AIは敵だ」はかつてのラッダイト運動を彷彿させる。
時代の流れは変わらない。
もっともこうしたAIとの付き合いができるかどうかで格差(引いては賃金格差)が生じかねないのは事実であろう。
2024/08/17