戦略人事:未来を予測できるという幻想(ゲノム情報の活用)


■差別という視点

少し気になった記事である。

○ゲノム情報による採用・配属・昇進・解雇の不当な差別防止へ 厚生労働省
2024.09.03

 ゲノム医療法が施行されたことを受けて、厚生労働省は2024年8月、労働分野における不当な差別を防止するための対応として、Q&Aをとりまとめました。Q&Aによると、採用選考では遺伝情報を収集してはならないほか、労働安全衛生法に基づく健康管理のための情報として、労働者のゲノム情報を収集することもできません。

https://smbiz.asahi.com/article/15396421

部落問題というのは、暗黙的に行なわれていた時代があり、50年ほど前は人事部は戸籍を調べ「こいつはダメ」とか云うことを口にしていたことを思い出す。女性に対する蔑視もあり「腰掛け」などと揶揄する輩も多かった。

採用に当たって仕事の内容も告知するだろうが、それに対して無関係の事項の情報を集めてはならないと言うことが広まっていると聞く。人種や性別などは当然のこととして、家族構成などもデリケートな情報であろう。

職歴などで、短期に転職している人に対して理由を聞くというのも失礼だと認識しなければならない。「それが仕事と何の関係があるんですか」に合理的な説明ができなければあなたの見識が疑われれる。

■未来ではなく現在

上記の記事では差別と云うことを焦点にしているが、別の見方で云えば「未来」に対して何を探れるのかという問題がある。未来に起きることは誰にも分からない。かつて「マイノリティレポート」という映画で「殺人」を事前に予測して防ぐと云うことをテーマにしていたが、そのシステムは永続的なものでもないし客観的なものでもない。

用・配属・昇進・解雇は「現在」までに行なってきた彼らの「行動」を基準にしなければならない。いまだしていないこと理由に解雇するなどはすべきではない。仮に超コンピュータが普及しAIが多くの予測ができたとしても、予測は予測である事を認識すべきである。

差別以前の話である。

2024/09/07