世間に転がる意味不明:変わりゆく風景と残念なニュース(2024年の倒産傾向)


世間に転がる意味不明:変わりゆく風景と残念なニュース(2024年の倒産傾向)

話題を2点。

■変わりゆく風景

この年齢になると仕事中心の生活ではなく、日常も家で本を読んだりテレビを見たりと言った静かな暮らしに変わりつつある。外で友人とのみに行くというのもめっきり減って、外食の回数も極端に減った。

そのせいもあり、時折外出先での風景の変わりように驚くことが多い。特に飲食店などは次々と変わってゆく。

それは、活気があるとも言えるし、店を続ける難しさも感じる。
昨今の野菜などの食材の高騰は飲食店を直撃し、先日のニュースでも、ラーメン店の苦境を取り上げていた。実際に、数字で見ても大変な様子である。

○ラーメン店の倒産件数が過去最多を更新…豚肉や麺など原材料費の高騰を価格に転嫁できず 全国平均700円下回る水準続く
2025年1月7日

帝国データバンクの調べによりますと、2024年1年間に倒産した「ラーメン店」は72件で、前の年の53件と比べて3割以上増え、過去最多を大幅に更新しました。

倒産の主な原因は、豚肉や背脂、麺やのりなど幅広い品目で原材料費が高騰したことで、2024年の原材料の平均価格は、2022年と比べて1割以上増加したということです。

https://www.fnn.jp/articles/-/810809

飲食店の苦境は慢性的であり、下記の様な記事もある。

○上半期の「飲食業倒産」、過去最多の493件 淘汰が加速し、「バー・キャバレー」「すし店」は2倍に
2024/07/11

2024年上半期(1-6月)「飲食業の倒産動向」調査

飲食業の倒産が増勢を強めている。2024年上半期(1-6月)の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は493件(前年同期比16.2%増、前年同期424件)で、2年連続で過去最多を更新した。現在のペースで推移すると、年間では初めて1,000件超えとなる可能性も出てきた。

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198749_1527.html

もっとも、廃業した店がそのまま廃墟になるのであれば問題であろうが、別の店が開業するのであれば、活力は失われないと見えも良いかもしれない。

ラーメン店を開業するにあたって、開業資金は1,000~2,000万円が目安とされ、期費用が1,000~1,500万円、運転資金が200~500万円程度と言われている。もちろん食品を扱うので許認可が必要であるが、比較的小資金で開業できることから、撤退してもすぐに始められるメリットもある。

もちろん廃業は望ましくないが、新たな店が増え続けるのも悪くない。

■無責任な廃業

なじみのラーメン店がなくなるのはさみしいが、それで社会に迷惑がかかるわけではない。
旨く行かないなと思えば、関係者に迷惑がかからない程度で撤退することはそれほど難しくはないだろう。(もちろんこだわりのある人々にとっては悲しみを与えるだろうが)

一方ではた迷惑な倒産も目にする。

○大学入試前に予備校が突然教室閉鎖 破産へ 受験生「ショック」
2025年1月6日

東京・新宿区で大学受験予備校を運営する会社が4日、事業を停止し、近く自己破産を申し立てる方針であることが代理人の弁護士への取材でわかりました。大学入学共通テストを目前に控えた時期に突然、教室を閉鎖した形で、受験生の間で戸惑いが広がっています。

民間の信用調査会社、帝国データバンクによりますと、4日の時点で在籍していた受講生はおよそ130人で、負債総額は1億円を超える見込みだということです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250106/k10014686021000.html

すでに授業料を徴収しておいて、それに対するサービスを提供しないというのは詐欺であろう。かつての「駅前留学」のように、あらかじめお金を取っておいて倒産するというのはいかがなモノかと思う。

もっとも、こうしたサービスを受ける方も自己防衛は必要であろう。
経済に関心を持てば、下記の様な記事は、この業界だけでなく、多くの倒産が日常茶飯事に起きていることが分かる。

○2024年の「学習塾」倒産 件数、負債が過去最多 少子化と競争が激化、淘汰の時代に
2025/01/06

 大学受験予備校などを含む「学習塾」の倒産は、2024年は53件(前年比17.7%増)に達し、2000年以降では2023年の45件を超えて、過去最多を更新した(速報値)。
また、負債総額も117億4,400万円(同827.6%増)で、2023年(12億6,600万円)の9.2倍増と大幅に増え、2000年以降で過去最多となった。

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200823_1527.html

○脱毛サロンなどエステ業の倒産が過去最多に 1-11月累計 99件、競争激しく倒産急増
2024/12/10

 脱毛サロンなどエステ業の倒産は、コロナ禍前の2019年に73件発生した。その後、コロナ禍の資金繰り支援策で一時的に減少したが、2022年から増加へ転じ、2023年は最多の88件発生した。多数の利用者が被害を受ける脱毛サロンの倒産は、お客が支払う前払金で事業を拡大するケースが大半で、お客を保護する仕組み作りが急がれる。

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200762_1527.html

■政策の機能不全

2024年は、人手不足や資材の高騰などで経営が行き詰まり倒産する件数も多いようだ。本来はこうしたむやみやたらな倒産を防ぐための政策を前面に出して欲しいのだが、政治のニュースを見る限り政治家の関心は薄いようだ。

もちろん、経営の安定化のための政策はあるが、どうしても消極的であると思われる。

○経営安定支援
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/leaflet03.html

窓口はあるが、こうした支援が有効であったと聞くことはない。
経営安定化の一環であろうか、コロナ下で「ゼロゼロ融資」を推進したところで、その多くが回収できなかったと言うことは、そうしたばらまきが絶対的な有効策でないことをものがたる。

補助金も一時的なものであり、成長する企業は成長し、そうでない起業は市場から撤退する。当たり前のことなのだろう。

一方で起業支援はと言えば、そのちぐはぐ感は否めない。

○スタートアップ支援策
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/startup/index.html

廃業を上回る起業があれば経済は活性化するはずであり、こうした目線での政策議論がほしいのだがどうだろう。

2025/01/10