世間に転がる意味不明:保護主義、自国第一主義が向かう先への懸念(トランプ氏の短期成果を求める姿勢への懸念)


世間に転がる意味不明:保護主義、自国第一主義が向かう先への懸念(トランプ氏の短期成果を求める姿勢への懸念)

政治ネタになります。私の認識が間違っている恐れもあるので注意してください。

■世界経済の混乱の一つの要素

もともと、国家間ではその生産特性が異なり、自国の産業の保護のために関税をかけると言うことは一般的な政策としてあり得る。適正な活動の結果としてそれがあるのであれば問題は無く、問題が解消されればTPPで示されるように関税を引き下げる動きになる。

一方で、周りの国に関係なく自国第一主義の結果として、例えば下記の様な過剰生産が行なわれれば、相手国からは不当な値下げと映り、貿易問題に発展する。

○中国「鉄余り」世界かく乱 不動産悪化で輸出最高水準 2025/01/10

中国の「鉄余り」が深刻化している。過去に国際社会の批判を受けて製鉄設備の削減を進めたが、不動産市況の悪化で国内需要が縮小。余剰分が海外にあふれ、昨年の輸出量は過去最高水準になったもようだ。日本製鉄をUSスチール買収に向かわせた中国の構造問題は、世界の鉄鋼業のかく乱要因になっている。

https://nordot.app/1250361366504571525

こうしたことの解決を狙っているだけではないだろうが、トランプの発動する中国を狙い撃ちしたような関税政策は、懸念はあるものの反対が少なく進められている。

○ トランプ大統領、カナダ・メキシコ関税3月4日発動-中国も10%追加 2025年2月27日

 トランプ米大統領は27日、カナダとメキシコに対する関税に関して3月4日に発動すると述べた。また中国に対しても、同日に追加で10%の関税を課すとした。自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
書簡の正確な時期は不明。商務省の声明は、トランプ氏が3月4日に対中関税を10%上乗せすると明らかにしたのとほぼ同じタイミングで公表された。
トランプ氏は2期目就任後、中国に対しては総じて慎重な対応を取っていたが、今回の関税上乗せで、両国の緊張が高まる可能性がある。
中国商務省は28日、米国が同じ過ちを犯さず、できるだけ早く対話を通じて相違を解決するという正しい軌道に戻ることを期待していると声明で表明。米国が独断専行するなら、中国は自国の権利と利益を守るため、あらゆる必要な対抗措置を講じるとも主張した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-27/SSCHA4T0G1KW00

しかし、こうした自国第一主義、保護主義には懸念はないのだろうか。

■影響範囲

トランプ前大統領が掲げる「アメリカ第一主義」と高関税を中心とした保護主義的な貿易政策は、米国および世界経済に多大な影響を及ぼす可能性があるとされている。いくつかの資料とAIによる検索を行なうと以下のような意見がある。

◇ 米国経済への影響
 トランプ氏が提唱する全輸入品に対する一律10%の関税、特に対中国輸入品には60%以上の関税を課すという政策は、米国のインフレ率を0.1~0.3%ポイント押し上げ、中期的にはGDP水準を0.4%押し下げると試算されています。さらに、他国が報復関税を実施した場合、米国のGDPは最大1.0%低下する可能性があります。

◇ 世界経済への影響
 これらの関税政策は、グローバル・サプライチェーンの再編を促し、特に中国経済に大きな打撃を与えると予想されています。一方で、台湾やベトナムなどのASEAN諸国は恩恵を受ける可能性があります。また、米国の高関税政策による不確実性は、他国の景気減速や金融政策に影響を及ぼし、為替市場やマクロ経済のリスク要因となる可能性があります。

トランプ氏の保護主義的な貿易政策は、短期的には米国経済の成長を促進する可能性があるものの、中長期的にはインフレの加速や世界経済の停滞を招くリスクが高いとされているとの意見がある。では、「短期的には米国経済の成長を促進する可能性」には何があるだろう。

これについては「ChatGPT」で問い合わせると下記の様な回答があった。概ね想定していた内容だ。

ChatGPT:
「短期的には米国経済の成長を促進する可能性がある」というのは、保護主義的な政策(高関税、補助金、国内産業優遇策など)が、以下のような短期的な経済刺激効果をもたらす可能性があるという意味です。
1. 国内産業の一時的な活性化
高関税を課すことで、外国製品が米国内で高くなり、国内企業の商品が相対的に競争力を持つ。これにより、特定の産業(鉄鋼、半導体、農業など)で生産が増加し、雇用が創出される。
2. 補助金や税制優遇による投資の増加
例えば、政府が製造業やインフラ投資に補助金を投入すれば、企業の生産活動が活発化する。企業が設備投資を増やし、一時的に経済成長率が押し上げられる可能性がある。
3. 消費・雇用の拡大
関税で守られた国内産業が活性化すると、雇用が増え、消費者の所得が増加する。 企業の利益が増えれば、株価も上昇し、資産効果によって消費が拡大する。

しかし、これらの効果は短期的なものであり、長期的には以下のリスクがある。
・物価上昇(インフレ): 高関税により輸入品価格が上昇し、インフレが加速する。
・企業の競争力低下: 保護されることで企業が競争力向上を怠り、国際市場での競争力を失う。
・報復関税: 他国が報復関税を課せば、米国企業の輸出が減少し、景気の停滞を招く。
・財政負担増: 政府の補助金や減税策は財政赤字を拡大させる。

■紛争の懸念

世界恐慌の時にアメリカが保護主義政策をとり、その結果世界経済がさらに悪化して第二次世界大戦につながったのではないかという研究がある。

歴史的に、保護主義的な政策が世界経済に悪影響を及ぼし、国際的な緊張を高めた例があります。例えば、1929年の世界恐慌後、アメリカが1930年に「スムート・ホーレイ関税法」を制定し、高関税政策を導入しました。これにより各国が報復的な保護主義措置を取る連鎖が生じ、世界貿易が大幅に縮小し、国際協調が失われ、最終的には第二次世界大戦に至るまでになった。(出典は省略)

戦争に至らないまでも、多くのコンフリクトが発生しうるだろう。例えば政府が補助金を出すと言うことは相手国からすれば不当な価格の操作と映る可能性がある。さらに報復関税を生み出す危険があり事態は悪化するばかりになる。

すでにトランプ政権下での関税引き上げに対し、中国などの主要国が報復関税を発動し、関税の応酬が生じる可能性が指摘されおり、また、ドル高が進行すると、高関税を課しても輸入が促進され、貿易赤字が減少しにくくなる可能性がある。 補助金政策は他国との貿易摩擦を引き起こし、報復関税のリスクを高める可能性があることがわかる。

それでも、高関税が正しいという思いから逃れなければこの政策がとどまるところがない。

○トランプ氏、輸入木材巡り国家安保上の調査命じる 関税検討へ  2025年3月2日

トランプ米大統領は1日、輸入木材に関税をかけるかどうかを判断するため、通商拡大法232条に基づく国家安全保障上の調査を行うようラトニック商務長官に命じた。
この1週間で新たな関税調査を命じたのは3度目。対象には木材関連製品も含まれ、調査は270日以内に完了しなければならないとしている。

https://jp.reuters.com/markets/commodities/TGC45IHRUFNF7M5INTSXXBKYHQ-2025-03-02/

短期視点にばかり軸足が置かれ長期視点が失われれば取り返しのつかない事態になる。
不安が募るばかりである。

2025/03/03