■ミニPC
ミニPCという小型の筐体に納めたパソコンを最初に観たのは、おそらくは今から30年近く前だったと思う。当時はまだタワー型という筐体はなく、いわゆるデスクトップ型のパソコンを小さくしたものだ。
まだハードディスクであり、インタフェースもRDG,パラレルインタフェースなどの制約もあり、小型化にするために性能には犠牲があったのだと思う。
知人が購入したのだが動作がおかしいと言うことで見に行くと、筐体が熱を帯び熱暴走をしていたようだ。性能が限られるそうした中でのミニPCはWindowsというよりはLinux向けに販売がされていた記憶がある。
2025年になると状況は変るのかもしれないかなと思うような製品のニュースを見た。
○リンクスオリジナル、AMD Ryzen 5 7430U搭載 ミニPC「LC7430」発売
2025年7月2日
※URLは省略
・Windows 11 Pro プリインストール
・16 GBメモリ、512 GB M.2 NVMe SSD搭載
・HDMI、DP、USB-Cによる最大3画面出力
・有線1G LANポート
とあるように、性能に文句はないできである。
○ミニ PC 市場の概要
ミニ PC 市場業界は、2023 年の 76 億 9,000 万米ドルから 125 億米ドルに成長すると予想されていますミニ PC 市場の CAGR (成長率) は、予測期間 (2024 年) 中に約 5.54% になると予想されます。 – 2032)。
主要なミニ PC 市場トレンドのハイライト
世界のミニ PC 市場は、いくつかの重要な要因によって大幅な成長を遂げています。市場を牽引する主な要因の 1 つは、より多くの人がリモートで仕事をしたり、より狭い居住スペースで仕事をしたりするにつれて、スペース効率の高いコンピューティング ソリューションに対する需要が高まっていることです。ミニ PC は、従来のデスクトップ コンピュータに代わるコンパクトな製品であり、電力を犠牲にすることなく堅牢なパフォーマンスを提供します。さらに、テクノロジーの進歩により処理能力とエネルギー効率が向上し、ミニ PC は消費者にとっても企業にとってもより魅力的な選択肢となっています。ゲームやコンテンツ作成の増加も、強力なミニ PC がこれらの成長分野に対応するため、市場の拡大に貢献しています。
※URLは省略
少し検索するだけでもいろいろなミニPCが出てくる。
○卓上に置ける“AIスパコン”のミニPC「NVIDIA DGX Spark」、アスクで取り扱い開始
2025年7月4日
NVIDIA DGX Sparkは、Grace Blackwellアーキテクチャを採用し、デスクトップに置けるコンパクトなフォームファクタでありながら、AI性能はFP4精度で最大1PFLOPSで、最大2,000億パラメータをサポートするなど、データセンター級の性能を実現したというスパコン。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/2028361.html
■ノートパソコンとの棲み分け
30年ほど前からパソコンに関わる技術的なことや周辺装置などに関しては大きく代わった。
(通信)
おそらくは、周辺機器との接続はWiFiもしくはBluetoothで行なうことが大半であろう。私も、マウス、キーボード、プリンターなどはすべて無線である。LANなども無線LANでまかなえる。本体に接続用のポートは必要ない。
(ストレージ)
いわゆるクラウドのストレージを使っている。OneDrive、Google Driveなどの選択肢がある。また、ローカルでは今やハードシスクではなくSSDが普通だろう。
(モニター)
モニター価格も劇的に廉価化が進んでいる。サブモニターで15インチを持ち歩いているが、ノートパソコンの画面の小ささを補ってくれる。
(デバイス)
ここ数年で進化したデバイスに、ARグラスと呼ばれるものがある。
○新光学エンジンで視野角と画面サイズが広がったARグラス「XREAL One Pro」予約開始
2025.07.02
https://www.gdm.or.jp/pressrelease/2025/0702/594379
まだ、特定の用途にしか使えないだろうが、いずれPCとの接続で、モニターの代替としての利用も考えられる。
■ポータビリティ
こうした小型化・無線化・バーチャル化は、PCのポータビリティを飛躍的に伸ばす。
JEIDAの「2024年度パーソナルコンピュータ国内出荷実績」(https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/pc/2024/)によれば、
・全体の出荷台数は830万台で前年比124%
・ノートPCのうちモバイルノートは406万台で対前年比152%
とあり、今後の成長も見込まれる。一方で、このカテゴリーにはいわゆるミニPCと言う区分は含まれておらず、出荷台数の実体は分からない。
しかしミニPCのメリットとして小型、省スペース、省電力、比較的低価格など.の特徴があり、いずれノートパソコンとのカニバリゼーションを起こすだろう。
スマートグラスなどの進化が、モニターやスピーカー・マイク、キーボード/マウスの代替機能を持つようになれば、劇的な市場の変化をもたらす。
妄想だと思うかい?