本棚を歩く:「ランチェスター戦略がイチから分かる本」(竹端隆司 2011年)
■ランチェスター戦略
ランチェスター戦略は簡単に言えば下記の通りである。
第一法則(弱者のための戦略):
局地戦や接近戦に強く、一騎打ちのような状況で効果を発揮する。
簡単に言えば、同じ性能の武器を持っていれば兵力が多い方が有利になる。
兵力で劣る弱者は、特定の場所や分野に集中して戦力を投入し、兵力を確保し、一点突破を狙う戦略が有効になる。例えば、狭い地域に特化した店舗展開や、ニッチな市場への参入などが該当する。
第二法則(強者のための戦略):
広範囲な戦場や遠距離戦に強く、多数の兵力で攻撃する状況で効果を発揮します。
なるべく的の戦力を分散させるように仕向けることになる。兵力で優位な強者は、広範囲な市場を制覇し、多角的な展開で競争優位を築く戦略が有効になる。例えば、全国展開や複数の商品ラインナップを持つ企業などが該当する。
この考え方を基に、事業戦略やマーケティング、営業プロセスへの展開などを指南する本になる。その考え方の特徴は、
・ビジネスモデルはB2BよりはB2Cへの適応が中核の考え方になる。
・そのため他者を押しのけるという発想であり、敵を打ち破るという価値観である。
といえる。
もちろん競争優位のための差別化などをテーマとして取り上げているが、基本は「戦う」事が主体であり「創造」は影を潜める。
もちろん、経営戦略に必要なフレームワークなどは網羅されており有益な書籍には違いない。プロダクトライフサイクルやプロダクトポートフォリオのような考え方は有益である。とはいえ、これらは使い古されたもので目新しさ那覇に。そのため事例なども適切ではなく後付である。その後結局旨く行かずに見直しを求められた事例も多い。
そもそも戦略という言葉を好んで使っているのだが、正しい戦略などははない。やってみなければ分からないのが戦略であろうし、今時の企業で戦略的でない企業などはない。
経営に旨い下手はあるかもしれないが、それも科学的でないからではない。
■科学的な指標を基にすると言うこと
科学的に戦略を組み立てるという趣旨の記述がある。特に営業戦略は活動の分析を行ない顧客を階層化してアプローチを採るという考え方には妥当性もある。「PART8 新しい得意先を開拓する法」を含め、その前後では、活動指標の選び方などが記述されており、一定の納得性はある。
しかし、これはおそらくは
・B2Bすなわち少量生産ではなくB2Cすなわち大量消費の商材が対象である
・市場に受け入れられることが前提であり、他社のいる市場に乗り出す戦略である
・したがって、相手と同じ製品による市場の奪い合いであり、パイの拡大は意図していない
という前提でのビジネスの考え方を示唆するという構成の本である。
そのための指標の科学性を述べている。
一方で「精神論」を否定しながらも。「アシで稼いだ情報こそ重要」と言い、訪問回数や滞在時間など指標としていることは、「行動」に対して「頑張れ」と言っているように見える。ちぐはぐさは避け得ない。
■総評
現在、本棚の本を再読している。本として面白いと思うが役に立つとは思えない。
断捨離の対象になる。
ただし、これは個人の感想だ。念のため。
2025/08/03