戦略人事:中小企業とジョブ型雇用(年功賃金ではもう持たない)
■奇妙な記事
奇妙な記事を見た。
○ジョブ型雇用を「導入しておらず、今後も導入する予定はない」が半数近く
2025/08/06
ジョブ型雇用を導入しているかどうか聞きました。「導入しておらず、今後も導入する予定はない」が48.8%と最多でした。ただし、「一部の部署・職種・役職で導入している」(17.2%)と「全社的に導入している」(11.4%)を合わせると、約3割の企業で導入されていることもわかります。
従業員規模別に見ると、「全社的に導入している」の回答は規模が小さいほど高くなる傾向にあり、「一部の部署・職種・役職で導入している」の回答は規模が大きいほど高くなる傾向にありました。「一部の部署・職種・役職で導入している」は、1~100人の企業で13.6%、5001人以上の企業で31.0%でした。
https://jinjibu.jp/article/detl/hakusho/3835/
これをそのまま素直に読むことができない。
ジョブ型雇用の本質は
・年齢ではなく能力
・職能ではなく職務
であると思っている。
これは、賃金制度を含めた人事制度を変えてゆくことであり、周到な計画が必要になる。言葉は悪いが、中小企業程度の人材で対応できるとは思えない。
うがった見方かもしれないが感じたことをのべる。
①すでに新入社員を採用することができない
2024年問題が語られる以前から、中小企業は「新卒採用の応募者は来ない」「求人広告を出しても応募者が来ない」などが続いており、経験者の中途採用でしか増員ができなくなっている。
②初任給から昇給する年功賃金は意味をなさない
従って、初任給と年齢から計算した給与ではなく、類似した仕事をしている社員がいれば、その社員と同等か、いなければ個別の交渉ごとで決まる。
③表面的にはジョブ型雇用にせざるを得ない
従って、期首においては「期待を含めた大まかな賃金設定」をし、期末には「業績に基づくボーナス配分」にならざるを得ない。個人毎の交渉になり、表面的には「ジョブ型雇用」に見えることになる。
■システムの欠落
「ジョブ型雇用」であれば、能力を適切に評価してもらえるので働きがいがあるかと言えば、そんな簡単な話ではないだろう。
100人以下での中小企業の「労働組合」の組織率は1%にも満たないと言われている、もちろん、ボーナスなどの賃金交渉などは一定のメカニズムの基で労使の合意が図られるだろうが、多くは、個人毎の個別交渉か社長の一声で決定されることが多い。
こうしたメカニズムは、報酬の先読み(つまり期首でのもらえる見込み)ができないことになり、これは住宅ローンなどが設定しにくいなどのハンディにつながる。
これは、人材の獲得の弱点になりうる。
○中小企業に人が来ないワケ 人事評価制度、6割が持たず
2025年8月12日
人手不足はとりわけ中小企業が深刻だ。大企業に比べ人材の採用で不利なのは否めないが、みずからハンディをつくり出している面はないだろうか。じつは中小企業の6割は、人事評価制度を設けていない。従業員の能力や成果を評価し、的確な処遇や昇進・昇格につなげる仕組みがないのなら、人材を引き付けられなくても当然だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD307EM0Q5A730C2000000/
中小企業がまずすべきことは、仕組みとしては大企業と同じカテゴリーでの人事制度を構築することである。その中には、当然、賃金制度もあれば評価制度もある。キャリア支援やローテーションなども人事制度になる。
■公開性の確保
採用条件の中に、給与を「○○万円~」といった曖昧な設定は辞めるべきである。
自社の人事制度を公開しなければならない。それを隠したままで、「面接の時」に明らかにするのは卑怯である。と言うぐらいの覚悟を持たなければ応募者の信頼を得ることはできないだろう。
すでに「年齢給」での年功型賃金が機能しないままで賃金制度を後生大事に持つことは正しくない。なぜなら、こうした年功型賃金で利益を既得権益のように持っている古びた企業が、いくら「ジョブ型雇用」といっても、ふさわしくない人材がいれば早晩気がつき離職することだろう。
そのためには、様々な人事制度の枠組みを公開するべきである。仮に降格もあり得るのであればそれも公開すべきである。
○「降格」が問い直す管理職の役割 志水静香氏
2025年8月11日
成果主義の流れの中で年功的な昇進の見直しが進んでいる。今では、「成果を出せない」「役割を果たせない」場合には、降格もあり得る。降格が増えている現象は、管理職の役割や適性を問い直す好機ではないか。組織としては、「降格=失敗」ではなく、対話や再定義の機会として捉えた方がよい。管理職という役割への適性や貢献の形は多様であり、昇格一択の時代ではないからだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0334U0T00C25A3000000/
人事制度は「企業の機密情報」であるなどというのは「ウソ」である。
公開して恥ずかしいと思うのは「経営者の見栄」である。
彼はいくらもらっているかが分からない会社が風通しが良いはずもない。
考えて欲しい。
2025/08/13