ISO9001と経営:未来は誰にも分からない(トランプ氏の言動に学ぶ)
ちょっと長いよ。
■未来志向のISO9001
ISO9001:2015という規格は下記の文言で始まる。
品質マネジメントシステムの採用は,パフォーマンス全体を改善し,持続可能な発展への取組みのための安定した基盤を提供するのに役立ち得る,組織の戦略上の決定である。
戦略が前提になり、一貫性と合理性が求められる。そしてこれを支えるのが品質マネジメントの原則である「客観的事実に基づいた意思決定」である。従って、組織には高い情報収集力と分析力が求められる。その上で、下記の要求事項につなげなければならない。
4.1 組織及びその状況の理解
組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければならない。
と、ここまでは建前なのだが、昨今のトランプ氏の言動は「未来は誰のも分からない」という現実を突きつける。これはいくらトランプ氏に幼稚な思いつきで何かを決定するのを辞めろと言ったところで意味が無いことに向き合わなければならない。
もっとも、起きることの予測、波及効果なども考える場にはなりうる。
ここしばらく起きていることを整理して規格で言うところの「リスクと機会」を考える思考実験としてみよう。
■プランBを用意する
▶「日鉄の出ばなくじいた黄金株 トランプ政権、USスチール経営に介入」
2025年9月20日
米政府が米鉄鋼大手USスチールの工場停止計画を阻止していたことが20日、分かった。保有するUSスチールの「黄金株」に基づき経営に介入した。日本製鉄はUSスチールの再生計画の策定を進めているが、早くも出ばなをくじかれた。トランプ政権の圧力が続く可能性があり、買収後もなお経営の難しさが浮き彫りとなった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2012O0Q5A920C2000000/
問題を切り分けなければならないが、まずはまだ日鉄のUSスチールへの買収などについては合意はされているが締結はされていない。あくまでもUSスチール側の問題である。工場の生産停止は、単純に言えば、需要と供給の問題であり、売れる見込みのない製品の製造は在庫を増やすだけであり、市場価格の下落を招きかねない。これを担保しなければ、下記のリスクが生じる。
1.在庫の増加:
販売目標を超える製品が倉庫にたまり、管理コストが増加。在庫が過剰になると、キャッシュフローも悪化。
2.価格の低下:
在庫を処分するために、企業は販売価格を下げざるを得なくなる。これが市場全体の価格下落を引き起こし、収益性の悪化につながる。
3.業績の悪化:
価格低下と在庫管理コストの増加が、企業の売上と利益を直接圧迫し、最終的に業績悪化につながる。
こうしたUSスチールの業績悪化を招くこととともに、今後もトランプ氏が介入するを考えると、日鉄側は以下のような選択肢を考える必要がある。
1. 買収額の増額
政権や議会、組合からの反対を和らげるため、買収価格を引き上げることが考えらる。これまでのトランプ政権の交渉スタイルから、圧力をかけて最終的に有利な条件を引き出すという戦略は十分にあり得る。日鉄は、買収の成功を最優先するならば、追加的なコストを負担することも選択肢に入る。
2. 米国内での大規模投資の公約
買収が実現した場合、米国国内の工場に巨額の投資を行い、雇用を創出する計画をより具体的に提示する。これまでの交渉でも言及されているように、政治的な足かせに対抗するために、より大きな規模の投資計画や、最新鋭の技術導入を公約し、政権や組合の懸念を払拭する。
3. USスチールとの事業連携・資本提携
買収という形ではなく、USスチールとの間でより緩やかな事業連携や資本提携に切り替える。これにより、日鉄の技術や資金をUSスチールの経営に活かしつつ、米国内の政治的な反発を回避することができる。特に、トランプ政権が「国益」を重視するなら、他国の完全支配ではなく、協力関係を築くという形が受け入れられやすいかもしれない。
4. 買収からの撤退
最終的な選択肢として、交渉の長期化や政治的なリスクが、買収によるメリットを上回ると判断した場合、買収計画そのものから撤退する可能性もある。ただし、これまで多額の費用と時間を費やしてきたため、これは最後の手段と見なされる。
現実的には「4. 買収からの撤退」は難しいかもしれないが、トランプ氏の言動が不安定であるならば、プランBを考えるべきである。むしろ、不安定な相手の取引のノウハウを学ぶべきである。
■信頼できる情報の重要性
▶「トランプ政権、雇用統計の大幅下方修正を批判 労働省とFRBを攻撃」
2025年9月10日
米労働省が9日公表した雇用統計の年次改定の推計は、これまで「堅調」とされていた3月までの雇用増の半分程度が実態より強く見えていた可能性を示唆した。トランプ米政権は米労働統計局(BLS)を批判し、米連邦準備理事会(FRB)に利下げを求めている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09DAE0Z00C25A9000000/
政権がこうした公的統計に影響を及ぼすような言動は、公的データの信頼性を損なう。確かに、直ちにデータが恣意的に操作されることはないだろう。しかし、長期的な目線ではデータの意味などの検証をしなければならない。かつて中国が若年層の就職率の定義を変えて思い通りの数値にしたことを笑えない。
また。トランプ政権の政策の変更はそれまであたりめに手に入った情報が手に入らなくリスクも生じる。
▶「米、世帯向け食料安全保障調査を中止 「過度に政治化」」
2025年9月21日
米国のドナルド・トランプ政権は20日、国内の食料安全保障に関する年次調査を中止すると発表した。調査が「過度に政治化されている」ことを理由に挙げた。
米農務省(USDA)はAFPに宛てた声明で「各種プログラムと経済報告の継続的な見直しを踏まえ、今後の『世帯の食料安全保障報告書』の作成を中止する」と述べた。
https://www.afpbb.com/articles/-/3599314
こうしたマクロデータは直接企業戦略に影響を及ぼすものではない。しかし、ビジネスがグローバル展開がされ、アメリカでの状況把握も必須であるならば、単一の情報だけでは判断はできないし、保管する情報も収集しなければならない。
多様な政治経済に関わる情報を収集し分析する能力を高める良い機会である。
■アメリカの雇用状況の悪化と利下げの動き
▶米雇用統計 市場予測大幅に下回る 利下げ観測で円高・株価最高値
2025年9月6日
アメリカの8月の雇用統計は市場の予測を大幅に下回り、雇用の減速が鮮明となりました。
アメリカ労働省が5日に発表した8月の雇用統計によると、景気の動向を反映する非農業部門の就業者数は、前の月から2万2000人増加し、7万5000人程度の増加を見込んでいた市場予測を大きく下回りました。
また、失業率は前の月から0.1ポイント上昇し4.3%でした。
金融市場ではFRB(連邦準備制度理事会)が利下げに踏み切るとの見方が強まっていて、5日の外国為替市場では発表後に円高が進み、円相場は一時1ドル=146円台後半まで上昇し、ニューヨーク株式市場のダウ工業株平均は一時、取引時間中の最高値を更新しました。
https://www.fnn.jp/articles/FNN/927547
こうした流れを受けてFRBは利下げに踏み切った。
FRBのミッションは①雇用の安定化、②インフレの抑制にある。トランプ大統領が圧力をかけたとしても、この方針は変らないだろう。それでも大きな変動要因がないにもかかわらず利下げという選択肢が不思議なのでAIに聞いてみた。
下記の通りだ。
1. 雇用環境の現状
非農業部門雇用者数の伸びは7〜8万人程度と低調(失業率もやや上昇傾向)。
失業保険申請も増えており、「雇用の悪化リスク」が広がっている。
雇用面では追加的な支援(金融緩和)が必要とみられる。2. 物価(インフレ)の状況
2022〜23年の急激なインフレのピークからは鈍化。
2025年夏の時点で、CPIやPCEインフレ率はFRBの目標(2%)に近づきつつあるとの見方が強い。
インフレ抑制は一段落し、むしろ「雇用の安定」が焦点に移っている。
と言う状況下なので
・雇用が冷え込みすぎるとリセッション(景気後退)に直結する → 失業率が急上昇する前に手を打つ必要。
・インフレが落ち着いている今なら、利下げ余地がある。過去のように「インフレ悪化リスク」とのトレードオフが小さい。
・市場心理安定:利下げを示すことで、企業や消費者に安心感を与え、投資や採用の萎縮を防ぐ。
と言うことのようだ。
市場、雇用、インフレの安定化が重視されるのであれば極端な金利の変動はしないだろう。
これは市場でも織り込み済みのようで、円相場も多き変動はない。しかし、金利が変動する場合/変動しない場合の政策の準備はするべきである。また、こうした複線化を図ることは先読みでする必要がある。利下げについては下記の様な報道が先行してあった。起きてからの対応では遅すぎるのであればこうした報道も重視するべきである。
○冷え込む米雇用、市場は楽観論修正 金利急低下でも株220ドル安
2025年9月6日
金融市場で米景気の先行きへの警戒感が広がっている。8月の米雇用統計が労働市場の一段の減速を示したことを受け、5日は安全資産とされる米国債買いで金利が急低下する一方、米株相場は下落した。市場は米連邦準備理事会(FRB)のより積極的な利下げを織り込みつつ、景気の楽観論の修正を探る。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05D120V00C25A9000000/
○米国株、雇用統計後の見通しは? S&P500勢い不足 利下げに期待も
04 September 2025
アメリカの株式市場に雇用統計前の緊張感が出ている。S&P500種株価指数の3日の終値は前日比0.51%高。3営業日ぶりの反発ながら勢いは乏しく、最高値更新の期待は高まらなかった。5日に発表される8月雇用統計は非農業部門の就業者数の増加が小幅にとどまると予想されており、投資家心理を重くしていそうだ。ただ、3日の値動きでは、アルファベットなどの大手ハイテク株が堅調で、投資家の楽観も感じられた。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待も強まっており、S&P500を下支えする要因になっている。こうした中、8月雇用統計が「想定内の悪さ」に留まった場合には、FRBの利下げへの期待が株価を上昇させることも考えらえる。一方、労働市場の極端な悪化や、想定外の強さが示された場合には、米国経済の先行きへの懸念やFRBの利下げ見通しの後退が、S&P500を急落させるシナリオも考えられそうだ。
■地政学的リスク
ロシアのウクライナへの侵略戦争、イスラエルとハマスの紛争及びこれに伴う中東地域の不安定化はサプライチェーンに大きな影響を与えた。従来であれば「大国」がこれを安定化させる役割を担ってきたが「大国」自体が紛争を引き起こし、尚且つ仲裁する気もない。
▶「トランプ氏「国連は目的果たさず」 戦後80年の国際秩序、自ら否定」
2025年9月24日
トランプ米大統領は23日、第2次政権で初めて国連総会で演説した。大部分を国連や他国の政策がいかに失敗したかに焦点をあて、米国は多国間主義から背を向けると世界に発信した。国連を中心とした第2次世界大戦後80年の国際秩序は岐路を迎えている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2331R0T20C25A9000000/
関連する記事にもこうした国際社会への関与を否定する記事を見ることができる。
▶「米厚生長官、ビデオ声明でWHO批判 他国にも脱退検討呼びかけ」
2025年5月21日
トランプ米大統領は2期目の就任直後、WHOからの脱退を表明。トランプ氏はWHOが新型コロナウイルスを巡って対応を誤り、中国寄りだと非難している。
ケネディ氏は、ワクチンの安全性や有効性について疑念を投げかけるワクチン懐疑派として知られる。ビデオ声明ではWHOについて「官僚主義が肥大化しているほか、既成概念に固着している。利害の対立や国際的な権力闘争に陥っている」と批判。「米国の脱退を警鐘と受け止めるべきだ」とした上で、「同じような考えを持つ国々と連絡を取っており、他国も米国に続くよう検討を呼びかけている」と述べた。
ケネディ氏は「瀕死のWHOの限界に苦しむ必要はない。効率的で透明性と説明責任を果たす新たな機関を創設するか、既存の機関を見直すべきだ」とも訴えた。
https://jp.reuters.com/world/us/XFTM6XOCRVNOBML7LKGX44DTKY-2025-05-20/
▶「5年間で1400万人に死亡リスク、トランプ政権の国際援助削減で 最新研究」
2025年7月1日
ドナルド・トランプ大統領が進めるアメリカの対外人道支援の大幅削減により、2030年までに1400万人以上が死亡する可能性があると、最新研究が指摘した。
6月30日付で英医学誌「ランセット」に掲載された研究によると、早死にのリスクにさらされる人々のうち、3分の1は子どもだという。
マルコ・ルビオ米国務長官は今年3月、米国際開発庁(USAID)の全プログラムのうち80%以上をトランプ政権が打ち切ったと発表していた。
https://www.bbc.com/japanese/articles/c62ggd65v31o
貧困は紛争を招き、世界全体のコストを押し上げる。企業は、本来はコスト抑制のために低コスト国への生産移転を行なう。しかし、こうした地政学的リスクの高まりは単純な途上国への生産拠点ができないことになる。労務費だけでなく紛争対応コストも勘案しなければならないとしたらこれまでの戦略もに直す必要がある。
■潜在的な国力の不安定化
トランプ氏の政策の柱は「移民排除」と「関税政策による貿易赤字の解消」である、
貿易赤字の解消は進む。当たり前の話ではあるが輸入は減少するから当然であろう。
▶米経常赤字、第2四半期42.9%減 財の輸入急減で減少幅過去最大
2025年9月24日
米商務省が23日発表した 第2・四半期の経常収支 の赤字額は前期比1885億ドル(42.9%)減の2513億ドルとなった。輸入の急増が沈静化したことで、減少幅は過去最大となった。
https://jp.reuters.com/markets/japan/ZELCIFUXLROXLDZI76DZ34NRI4-2025-09-23/
しかし、同じ記事、下記記述もみられる。
「一方、サービスの輸入は28億ドル増の2220億ドル。技術、貿易関連サービスなどが増加した。」
すなわち、ナレッジ関係の自国での生産が難しくなっていることの表れであろう。
過度な関税政策のツケは、結局はアメリカ国民が支払うことになると言うことは多くの記事で指摘されている。
▶「得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴールになる」
2025年4月3日
貿易戦争の激化と景気後退の引き金となる恐れがあり、トランプの経済運営に対する国民の信頼をさらに低下させる可能性があると、専門家や世論調査機関は指摘している。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディは「関税の大部分は、最終的にアメリカの消費者が価格上昇という形で負担することになる」と述べた。相手国が報復関税を課せば、アメリカ経済に悪影響を及ぼすだろうとも警告している。
「関税とその報復措置が重なれば、経済に深刻な打撃を与え、多くのシナリオで景気後退に突入する可能性がある」とザンディは分析している。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2025/04/544931.php
まだインフレは進んでいないと言うが、日本へのインバウンドの記事などを見ると、アメリカでの物価水準が異常では無いかと危惧され、今後顕在化する恐れもある。
▶「トランプ氏にとって関税は長年の目標の達成、かつ最大の賭け」
2025年4月3日
ドナルド・トランプ米大統領の政治姿勢は、数十年にわたって人々に注目されながら活動する中で、大きく変化してきた。しかし、1980年代から一貫していることがある。関税は米経済を活性化させるうえでの有効手段だという信念だ。
だが、トランプ氏にとってリスクはかなり大きい。
あらゆるエコノミストが、この大規模な関税はやがてアメリカの消費者に転嫁され、物価を上昇させ、世界的な不況を招くと警告している。計画では、中国に53%、欧州連合(EU)と韓国に20%、そしてすべての国に一律10%の関税を、それぞれ課すとしている。
https://www.bbc.com/japanese/articles/c70z4n0dep4o
こうしたリスクを指摘する声にトランプ氏は歯牙にもかけないだろう。その後に何が起こるのだろう。
典型的なことは下記の記事に見ることができる。
▶「ウォール街、H-1Bビザ手数料高額化で新戦略-インド拠点で人材確保へ」
2025年9月23日
トランプ米大統領が外国人専門技術者向け就労ビザ「H-1Bビザ」の新規申請に10万ドル(約1480万円)の手数料を課すと発表したことを受け、ウォール街の銀行はインドの業務支援拠点への依存を強める見通しだ
トランプ氏は移民抑制で米国の雇用を守ろうとしているが、新ルールは逆に、銀行がムンバイやベンガルール、ハイデラバードといったインドのテック拠点で存在感を高める契機となる可能性がある。これら都市ではすでに190万人以上が雇用されているとアナリストは指摘する。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-23/T30R5DGP9VD100
アメリカの好景気を牽引してきたのは移民をはじめとした多様な人材であることは指摘されることである。こうした多様性に目を向けるのであれば、アメリカの国力は下がるだろう。
これは、今後、日本企業はアメリカだけに目を向けるべきではなく、アメリカから逃げ出す移民の国にも目を向けるべきであり、パートナーシップのあり方も再考すべきであることを示唆している。
■社会インフラの劣化
ISO9001では「気候変動」に配慮せよという追補版が出ており、JISでも正式に適用されている。気候変動とは「人間が行う活動により気候に何らかの影響を与える」ことであり、その結果としての異常気象などが焦点として取り上げられている。
地球温暖化の評価をどうするかはともかく、自然災害などは確実に起こっており、化石燃料を使った経済活動の見直しは国際的な趨勢である。しかし、これを無視するトランプ政権は「反自動車」を敵視している。
▶「トランプ政権、自転車や歩道向け助成金を撤回-「自動車に敵対的」」
2025年9月23日
カリフォルニア州サンディエゴ郡で予定されていた自転車レーンを含む道路改良計画について、米運輸省の担当者は「車線容量を減らし、自動車にとって不利な『ロードダイエット』にあたる」として、約1年前に認可した120万ドル(約1億7700万円)の助成金を撤回。アラバマ州フェアフィールドでは、車線を歩道トレイルに転換する計画が「自動車にとって敵対的であり、車両通行容量の維持・増加を優先する運輸省の方針に反する」と判断された。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-22/T3077KGP493E00
局所的な話だけではなく、アメリカでの公共投資を削減する方向で動いていると思われる。
○米 トランプ大統領 政府支出 1兆円以上削減の法案に署名 成立
2025年7月25日
議会の上下両院では、多数派を占める与党・共和党の賛成多数で予算を削減するための法案が可決し、24日、トランプ大統領が署名して、成立しました。
これにより国務省を通じた対外援助プログラムや公共放送に資金を配分する組織の予算を、合わせて90億ドル、日本円にして1兆3230億円余り削減するとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250725/k10014874091000.html
これは何を意味するだろう。
端的に言えば気候変動に係わる技術が獲得できないことにつながるだろう。一方で、技術を磨く企業にはチャンスが訪れる。アメリカを襲う風水害、山火事への対応コストは馬鹿にできなくなる。化石燃料も地政学的リスクで高騰するだろう。その時に、環境に配慮した技術に注目が集まるはずだと考えている。
すでに日本ではリサイクルに着目して政策を展開している。
▶「蓄電池劣化状況を「見える化」 中古EVの普及後押し、資源保持」
2025年9月23日
政府は、蓄電池の使用年数や充電回数といった利用データを「見える化」するための基盤整備を進めている。電気自動車(EV)向け蓄電池の劣化状況を広く共有し、中古EVの信頼性を高めて普及の足掛かりにしたい考え。多くが海外に流出している中古EVを国内にとどめ、蓄電池に使われるレアメタル(希少金属)といった資源を保持する狙いがある。
https://www.chunichi.co.jp/article/1137516
リスクと機会がコインの裏表である事も配慮することが望ましい。
■日本企業が配慮すべきこと
トランプ氏の関税政策には当初から批判があった。
▶「No.241 トランプ関税の政治経済学」
2025年4月4日
トランプ大統領による貿易政策は、消費者利益や税収の確保よりも、米国企業の業績改善を重要視していることを示唆し、そうであるならば、物価上昇により消費者の生活が悪化することを説いても響かない。
・・・
政治活動を考慮した経済理論によると、トランプ大統領による追加関税は、消費者の生活向上などよりも、国内企業の業績向上を最優先にした貿易政策を行なった結果と捉えられる。この追加関税によって外国企業も進出してくれば、一石二鳥と考えているかもしれないが、関税回避を目的とした外国企業の進出は実際には米国(政府)に新たな富を生まないかもしれない。
外国企業の進出が米国企業の業績向上に資するには、技術的に優れた企業の進出を助け、その外国企業のサプライチェーンに米国企業が組みこまれ、技術移転等、様々なスピルオーバー効果を享受することが重要である。
https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Reports/AjikenPolicyBrief/241.html
彼の言動は客観的事実に基づく意思決定とはほど遠く思い込みでの政策決定であると言う印象が強い。しかし、これは日本側も同じかもしれない。
▶「トランプ関税の”最大の犠牲者”はアメリカ人…米紙が報じた「日本車に勝てないアメリカ車」の不都合な真実」
2025/04/05
アメリカのトランプ大統領が先月発表した輸入車と自動車部品を対象とした25%の追加関税が、4月3日に発動した。ワシントン・ポスト紙の報道によれば、この政策は米国内の自動車生産を活性化させる狙いがあるという。
しかし、アメリカ国内で売られている自動車の実に半数近くが、海外からの輸入品だ。関税で新車価格が跳ね上がれば、ただでさえ急速なインフレにあえぐ米消費者にとって、生活の足である自動車を一層購入しづらくなる可能性が出てきた。
影響車種は決して限定的ではなく、「アメリカ製」と米国民に広く認識されているような車でさえ、実態として多くの部品を海外から調達している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が明らかにしたところでは、ほぼすべてのモデルの自動車に何らかの輸入部品が使われているという。
https://president.jp/articles/-/94038
こうした記事をうのみにはできない。もちろん間違っていると言うことではない。正しい情報を収集する能力が求められる。
ISO9001:2015という規格には下記の規格要求事項が含まれる。
7.2 力量
組織は,次の事項を行わなければならない。
a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
従来は、単に製品実現だけ青対象としているが、すでに戦略策定への関わりを持つのであれば、いわゆる高度な技術者の確保は必須になる。そうした技術者には、不確定な情報しかない中で、どのような意思決定をするのかも求められる能力になる。
戦略人事のテーマにもなるので配慮が必要である。
2025/09/24