神戸製鋼の問題を題材に規格の意味を考えてみる
まずは規格の出だしの文章から。
組織は、製品及びサービスの要求事項を満たしていることを検証するために、適切な段階において、計画した取り決めを実施しなければならない。
「適切な段階」とは、「計画」で決めたチェックポイントを指すと考えるほうが自然だろう。この8.6項を単独の要求事項ということではなく、顧客要求事項を満たす製品づくり全体にかかわることと考えるべきだ。したがった、材料の調達、プロセスでの監視、行程進行での検査、特にリリース前の検査が重要となる。中間段階で仕様を満たしていないのに次工程に回すなどとは考えられない。
したがって、計画で「やる」と決めたことをやっていなければアウトということになる。
これは、日産の出荷前検査の問題も同じだろう。
これに続く文章は以下の通り。
計画した取り決めが問題なく完了するまでは、顧客への製品及びサービスのリリースを行ってはならない。ただし、当該の権限を持つものが承認し、かつ、顧客が承認したとき(該当する場合には、必ず)は、この限りではない。
不良品を出荷してはダメだろうし、仮に規格外であってもお客さんがそれでよいというなら仕方ないにしても、「プライド」はあるだろう。
さて、2017年10月11日の下記記事は、どうとらえればよいのだろう?
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22038960Y7A001C1TJC000/
この記事では、以下の記載がある。
神戸製鋼所によるアルミ製品の性能データの改ざん問題では、全国4カ所の工場で管理職が把握するなど、不正が長年横行していたことが明らかになった。8日の記者会見に出席した梅原尚人副社長との主なやりとりは以下の通り。
――問題の発覚の経緯は。
「8月末に現場の管理職からアルミ部門の幹部に報告があり、8月30日に社長含め経営陣に報告があった。実際に手を下したり黙認したりしていた現場社員は管理職を含めて過去1年間で数十人にのぼる。工場長が関わっていたかは確認中だ」
――組織ぐるみという認識か。
「はい」
規格の「ただし」以降を適用したとしたらどうなのだろう。問題点は以下の通り。
① 不正かどうかはともかく、リリースを許可していたということ。
決められたとおりにやっていたとしたら、明文化していたかどうかはともかく規格外のモノを出荷してもよいという基準が存在していたことになる。それはどんな基準なのか?
② 顧客は本当に知らなかったのか?
もし、何も考えずに受け入れていたとしたら、受け入れ検査に問題がある。
発注した時の仕様を満たしているかどうかを、チェックしていないとしたら、無検査で受け入れていたということになる。
受け入れをしていた顧客の製品自体がこのISO9001の要求事項を満たしていないことになる。
同じ時期に起きた、ニッサンの検査偽装とはまた問題が異なる。
組織は、製品及びサービスのリリースについて文書化した情報を保持しなければならない。これには次の事項を含ま中ればならない。
a) 号批判的准への適合の証拠
b) リリースを正式に許可した人(又は人々)に対するトレーサビリティ
関連した報道を見る限り、記録も偽装されていたらしい。
正しい処理をされていたかどうかは、製品そのものを再検査する以外は記録に頼らざるを得ない。
もともと、ISO9001の思想は、アウトプットで製品保証をするのではなく製品実現のプロセスを監視して製品保証をしようという考え方だ。その製品プロセスを保証するための記録が改ざんされていたら信用もへったくれもなくなる。
さて、原因究明と再発防止。
これも興味がある。
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