規格の文言は以下の通り。
組織は、組織の管理下で働く人々が、次の事項に関して認識を持つことを確実にしなければならない。
a) 品質方針
b) 関連する品質目標
c) パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む、品質マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献
d) 品質マネジメントシステムの要求事項に適合しないことの意味
この項番が審査対象となることはまずない。
組織で働く人々がこの認識を持たないで業務を遂行するということがまず想定できないからだ。
しかし、今回の神戸製鋼の事件(http://www.kobelco.co.jp/information/1197827_13254.html)に直面するとどう考えてよいのだろうと悩む。
悩むのは「故意」なのか「過失」なのかだろう。
自分たちが何をしているのかの自覚があったとしたら(故意であるなら)上記の事項については十分理解しているのだから適合だろう。もっとも顧客要求事項を満たさなくてもよいと思っていること自体は別の意味で不適合だ。
組織的に行っているのだからどうしようもない。
神戸製鋼のホームページには「KOBELCOの3つの約束」として以下が記載されている。
1.信頼される技術、製品、サービスを提供します。
2.社員一人ひとりを活かし、グループの和を尊びます
3.たゆまぬ変革により、新たな価値を創造します。
経営側(組織側)はこうしたメッセージを発信しているのであるから、現場がこれを守る気がないということであれば、故意であろうと過失であろうと、最初の「確実にしなければならない」が順守されていないので不適合だ。
さて、この項番。結局、認識していようが認識していまいが問題が顕在化するまではわかりようがない。
また、不正の原因が、現場の認識がおかしいということであれば、そもそもそうした状態を放置した経営側の責任だろう。
ISO9001の審査をする立場からいえば、この項番が表面化することはないだろう。
にもかかわらず、こうした項番があるということは、「意識の低い社員」が事故を起こすリスクがあるということだろう。
審査では、不適合製品の発生が「うっかり」の場合にはこの項番が出てくることもあるが、「わかってやっている」場合には、「法令違反」なのだから関係者を排除しなければならない。
最終的に神戸製鋼がどう関係者を処分するかでこの項番の意味が分かる。
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