今から15年ほど前になるだろうか。
「eHRM研究会」として非公式に、来たるべき未来のあるべき報酬の仕組みを議論したことがある。
そのときのメモに以下のように記載されている。(一部加筆)
・太郎さんの会社では、会社から提供される報酬は、社員のグレードと評価結果によってポイントが決められる。
・そのポイントの範囲内であれば提供されるプログラムの中から自由に選択することができる。
・報酬プログラムの内容は、基本給、インセンティブ、社宅、福利厚生、退職金、教育研修、長期休暇などなどバラエティに飛んでいる。
・太郎さんはBグレードで、昨年の評価の結果、今年のポイントは80000ポイントとなった。
・基本給としてどの程度換算するかは太郎さんが決定する。換算レートは、太郎さんが住む地域・国によって異なる。
・その他は自由に報酬プログラムを選択して組み合わせることができる。
・また一部を会社に預け入れして将来の貯蓄に回すこともできる。・太郎さんは早速、自分のパソコンから報酬プログラムを申し込むサイトにアクセスした。
・サイトは会社が契約をしている管理会社で管理している。
・太郎さんは奥さんとも相談しながら今年のプログラムを申し込んだ。
・プログラムによっては申し込みが殺到して、抽選になるものもあれば、申し込みが少なく取りやめになるプログラムもある。
・提供プログラムは社員のアンケート調査を分析して、どのような報酬プログラムが会社にとって好ましい社員の行動につながるのか、また、会社業績からみてどの程度の人件費が適切かといったレポートを作成し、それをもとに、会社と労組が協議して決定したものである。
・会社は全社員からの申し込み内容を集計して、人件費コストとのバランスや提供プログラムのねらいの実行度合いなどを分析してレポートし、会社はそれをもとに社員一人一人の報酬内容を決定し、通知する。
太郎さんの申し込んだプログラムについては一部会社から見直しを要求されたものがあったものの、概ねOKが出て、満足することができた。
太郎さんや奥さんは少なくとも毎月1回は報酬プログラムのサイトにアクセスして、ポイントの消化状況を確認している。
さて、当時はIT環境も今よりはひどく劣悪で、上記のことなど現実的でなかった。
しかし、今のように地球規模で情報交換が直ちにできるようになると状況が一変する。
上記のポイントは、報酬を社内で換算可能なポイント(社内通貨)で支払うということだ。
その中にはあらかじめ、社員が当然受け取るはずの、福利厚生や有給休暇なども含めておくことが可能になる。
社内通貨の換算レートは、その国の物価水準などで公平になるように調整しておく。
こうすることにより、国の間の移動などもしやすくなるし、評価なども公平になる。
グローバル人事などということを考えなくてもよくなる。
仮に、社内で起業制度があれば、そこに投資することができるようにすれば資金調達を社外に求めなくても新規事業ができるかもしれない。
社員のキャリアアップを支援するための教育研修の機会を増やすとよい。
場合によっては、他社への出向などもあり得る。
そのときは、相互にポイントの交換レートを決めてもよい。
社内通貨は、社員が購入することができるようにする。
そうすれば、報酬プログラムを”購入”することができる。
人事制度を変えるだけではない。
予算などもポイントで換算させてしまうことは可能だ。
基幹プロセスは、業績で獲得できるポイントを決める。
支援プロセスは、基幹プロセスから事業を委託するという概念でポイントを獲得する。
人事部は、他部署からHRM事業を委託されると考えるとどうだろう。
社員の思考も働き方も変わるはずだ。
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