お互いが保有している情報が同じで無いことを情報の非対称と言う。こうしたことは、相互コミュニケーションの難しさを誘発する。その一例として、自分は正当に評価されてないと感じ、賃金というのは、どこまで行っても何かしらの不満を相互にもたらします。
先日、経済学の本を読んでいたら、情報の非対称と絡めて、下記の文章を見た。
雇用関係で言えば、雇われた側の仕事ぶりがはっきり見えるとき、雇い主としてお金を支払うことができます。
たとえば、自動車のフロントガラスを取り付ける仕事ならきちんと取り付けていれば合格です。果物を摘み取る仕事なら、摘み取った量に応じて評価できます。
しかし、そうした評価をするのが難しい仕事のたくさんあります。
成果が目に見えにくい仕事のことです。
たとえば、基礎的な研究をしている科学者や、ファーストフードのレジ係を、何に基づいて評価すれば良いのでしょうか。彼らと同僚の働きぶりを比較するとき、どこを見て優劣をつければいいのでしょうか。また、本人の努力だけではどうしようもない問題については、どう扱うべきでしょうか。機械が故障したり、吹雪になったりして売上げが落ち込んだら、その人の評価を下げても良いのでしょうか。
こうした問題を客観的に判断することは困難です。そのためほとんどの場合、授業院の宝珠を決定するときには、雇い主の主観が入ってきます。
経済学入門 ティモシー・テイラー かんき出版 P241
作業内容と結果が対で対比できるものは情報の非対称が起きないが、成果がすぐに出ない仕事や仕事ぶりと結果がいつも対とは限らない仕事では、働いている人と雇用する側では情報に質も量も異なる。その結果、情報が非対称になり、報酬に対しての納得度が下がる。
それでも従来の一律の賃金制でもよかったのは大多数が情報の対称性で評価できる仕事だったからだ。いわゆるブルーカラーの仕事を時間単価で計算できるからだ。
ただし、AIやロボティクスの発達で単純作業は機会がやることになり、上記にもあるように、成果がすぐに把握できない業務、外的要因で結果が左右する業務がますます増えて行くだろう。
経済学の発想から言えば、従業員の賃金はその従業員が生み出した価値に相応して支払われることになる。従って、個々人の働きを情報化する必要がある。
しかし、個々人の成果などというものを正確に把握することはできない。
現在、多くの企業で行われている報酬制度とリンクさせている目標管理制度は評価者の主観に左右されている現実を見ると容易ではないだろう。
将来的には、AI使った個人別報酬システムを作る時代がやってくるだろう。
しかし、当面は複数の報酬システムを構築して、これを個々人に当てはめることが実際的だろう。
その時の報酬システムを検証するためのツールとして、当社が用意している賃金シミュレーションシステムが有効になると考えている。
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