先日からホンダのホンダのイギリスにの工場閉鎖についてBBCニュースなどは「英工場を閉鎖へ 3500人が失職の見通し」といった見出しで伝えている。
こうした記事の背景として、イギリスのEU離脱の問題と絡め、また自動車産業のすそ野が広いことから地元経済に対する影響を心配する声がある。
3,500人の直接雇用だけでなく、その地域全体の経済に影響が及ぶことは想像に難くない。
部品メーカーや下請け工場だけのことではなく、飲食や小売りサービスなども働きそこに住む人を前提にしているだろうから、広範囲に影響が出る。
だからと言って、企業は慈善事業のように工場を存続させることはできないだろう。
ホンダのニュースリリースを見ると以下のような記事がある。
現在、電動化の加速を見据え、グローバルにおける「生産配置と生産能力の適正化」という方針で、四輪車生産体制の見直しを進めています。これは既にタイ、日本、ブラジルと各地域で着実に推進しています。また、市場動向や環境規制の強化など、各地域で大きな変化が起こる中、電動化の加速に対応できる生産体制づくりを、特に需要ボリュームが望める中国、米国、日本で進めています。
一方、欧州は、電動車ラインアップの強化が必要となる中、欧州域内での電動車生産は競争力などの観点で難しいと判断し、今後はグローバルの生産リソースをフル活用し、競争力のある商品を市場に提供します。特に、先程ご説明した、地域間での連携強化の考えに基づき、欧州は環境規制の方向性が近い中国と商品ラインアップを共有するなど、戦略的に電動化を含めた事業基盤の強化を図ります。
また、英国の四輪車生産工場、Honda of the UK Manufacturing Ltd.(以下、HUM)に関しては、現在、CIVIC HATCHBACK(シビックハッチバック)1機種をグローバルに供給していますが、今後の、グローバルでの生産配置を検討した結果、次期モデルから北米など他地域で生産する方向で検討を進めることにしました。
https://www.honda.co.jp/news/2019/c190219c.html から抜粋
もっとも、ホンダだけでなくどの自動車メーカーも同様であり、他の自動車メーカーも工場の再編は遅かれ早かれ行うのではないかと思っている。
背景の一つには、AI+EVだと思っている。従来の「エンジン+トランスミッション」という、ある意味で「ガソリンを爆発させて走るクルマ」でなくなるということは、組み立て部品の小型化や部品点数の減少を意味しており、生産ラインの大きな変更を伴う。
技術革新が驚異的に進む中で、従来のように一度作った工場のラインをそのまま10年、20年使えるということはあり得ない。ラインの再編成が可能になるような、そんな柔軟な自動車工場が必要になる。
今ある工場を少しいじれば出来上がりということができなければ、新しい工場をどこかに立てなければならない。一時的に閉鎖することはありうるだろう。
もう一つは、工場の無人化が可能になりつつあることだろう。
すでに溶接はすべてロボットが行っている図は当たり前の光景であり、無人化はどんどん進んでいると思う。
「マイノリティレポート」という映画で主人公が自動車工場に逃げ込むシーンがある。
その中で、自動車は無人で作られ、主人公が組み立て中の自動車に隠れてそのまま逃げるというシーンにつながる。
まったくの無人化はできない話ではない。
製造ラインはすべてロボット化し、監視や細かい調整ごとは、アバターと呼べるようなロボットを配置し、管理者が本部からVRを使って操作するということは非現実的ではない。
こうした世界では、自動車の組立工が人である必要もないし、管理者も人である必要はない。賃金の安い国に行って工場を建てる必要はない。
当然、いろいろな安全対策は必要だろうが解決できない問題でもない。
そうなると、問題は物流コストになるだろう。マーケットに近いところに工場を置くか、部品調達のコストが低い場所に配置するかは当然のことになる。
私自身は、工場自体は完全無人化し、「素早く解体・素早く移動」が必要だと思っている。
工場は常に最新技術を反映させることが望ましい。研究拠点近くに常に実験用の工場を置き、必要に応じて「工場自体を輸出」できる時代が来るというのはどうかな。
Leave a Reply
コメントを投稿するにはログインしてください。