あまり新聞記事などには取り上げられないが、ネットのニュースなどを見ていると今年に入ってからあまり振るわない企業業績の記事を見かける。
主立ったものに以下がある。(順不同)
●業績が振るわない
業績(売上げ)が振るわないための赤字の記事が目立つ。
DeNA「400億円赤字」の先に見えぬ反転戦略
https://toyokeizai.net/articles/-/329063
第3Q売上高1562億円(7.2%減)で営業赤字20億円に転落
https://news.shoninsha.co.jp/financial/146501
『青山商事の中核部門であるビジネスウェア事業は、オフィスウェアのさらなるカジュアル化などによる市場環境の変化から、客数の減少が続き、既存店売上高は前年同期比88.8%となった。』
等のように、昨日今日いきなり事業環境が悪化したわけではなく、トレンドなのだと思う。それでも事業モデルの再構築は難しいことがうかがえる。
事業モデルの再構築がうまく行かなくて赤字になるケースもある。
クックパッド上場後初の最終赤字、営業利益8割減。レシピ検索大手から脱皮なるか
https://www.businessinsider.jp/post-207323
『クックパッドのビジネスモデルは、レシピ事業を中核に個人課金と広告モデルのハイブリッド型。1カ月あたり、国内で5251万人が利用する、巨大なユーザー基盤を持っている。しかし、その数は2017年時点の6134万人からは1000万人近く減少してきた。』
とある様に、従来型のビジネスモデルの方向転換が必要なことはうかがえるが、しかしそれは企業の存在意義を問い直すことでもあり、難しい。
それでも、軸足を変えられる企業は良いが、そうではない企業はその存続が危ぶまれる。
日本製鉄:今期4400億円の赤字に、粗鋼生産能力を1割超削減へ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-07/-4400
こうした重厚長大の産業は、景気の波に大きく左右されるし、競合他社の戦略にも左右される。余程革新的な製造技術を確立し、自社の存在意義を高めない限り、未来への展望は描きづらい。
同じように苦しんでいる業界としては「百貨店」があるのだろう。
あまり大々的には取り上げられていないが、地方での苦境を観ることができる。
山形に続き、徳島からも店舗がなくなる! 破たんや閉店が続く「百貨店はどう生き残る?」
http://shogyokai.jp/articles/-/2453
こうした大型店舗の撤退は百貨店だけでなく大型ショッピングモールでも同様かもしれない。
ビジネスモデルとしての「百貨店」の限界は、すでに何年も前から言われている。「ものを売る」から「体験する」にシフトして生き残るすべを模索している例も観るが主流にはなっていない。そうした古い価値観での運営に限界があることは実際に百貨店に行き、人の多い少ないの差を観ると分かる。
旧来型のビジネスモデルに警鐘を鳴らしている記事として以下を読むことができる。
衰退する百貨店業界のビジネスモデル分析 百貨店の定義とは?
https://piles-garage.com/article/5033
● 企業への費用負担が求められていること
もう一つ、企業にとって見逃せないことに、いままで負担しなくても善いと思っていたコストがのしかかることだろう。
ウーバーの赤字、7四半期連続 10~12月期は1200億円
https://this.kiji.is/598287402050880609
海外の注目される新サービスの会社も安穏とできているわけではない。
「サービスを担う運転手への報酬支払いや宣伝費用がかさんだ。」
とあり、売上高がアップしても費用がかさみ競争力を失う可能性もある。
それは法律面でも障害が出るかもしれない。
「ギグワーカーは労働者」とする法案にカリフォルニア州知事が署名
https://jp.techcrunch.com/2019/09/19/2019-09-18-california-governor-gavin-newsom-signs-gig-worker-bill-ab5-into-law/
2019年9月19日の記事だが、簡単に言えば、仮に隙間で働くヒトであっても都合のいいように個人事業主として扱い、費用を払わないことは認めないと言うことだろう。
これの影響は日本でも出ており、下記の記事などが参考になるだろうか。
ウーバーイーツ配達員が労組、補償求める声強く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50560860T01C19A0TJ1000/
セブンイレブンなどは、オーナーを個人事業主として扱い、団体交渉などは拒否しているようだが、個人事業主だと云うことで企業が支払うべきコストを無視したり、自社のために働いている人々を保護することをおろそかにできなくなるかもしれない。
企業業績を左右する事柄が増えている。
●戦略的な投資
したがって、企業としてはビジネスモデルや戦略の明確により、目先の赤字を覚悟で打って出ることも求められる。
メルカリの19年度上半期、最終赤字141億円 メルペイと米国事業への投資続く
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2002/06/news136.html
この記事では以下のように説明している。
『フリマアプリ「メルカリ」の国内事業は好調で、単体での売上高は前年同期比20.0%増の265億円、営業利益は51.0%増の67億円に伸長した。だが従来と同様、メルカリの米国事業と、スマートフォン決済サービス「メルペイ」に積極投資した影響で最終赤字となった。』
ビジネスモデルは、とにかく利用者を増やして行くという戦略で、売上げ(もしくは取引総額)の拡大が至上命題になる。従って、勝ち組で生き残ることが必須であり、そのための投資が求められる。
これができない企業は退場となる。
(参考)
メルカリへのオリガミ売却価格は1株1円、事実上の経営破綻で社員9割リストラ
https://diamond.jp/articles/-/228034
とはいえリスクもある。
電通が初の営業赤字に-豪州、中国事業が不調でのれん減損を計上
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-12/Q5KYNDT1UM1101
NHKで少し取り上げたようだが、やはり巨人の電通が赤字というのは少し驚く。
早めに不振の事業を再編することは必須だろう。今期だけでは判断できないモノの今後の不透明感は拭えない。盤石の経営というのは存在しないのだろう。
● どうする?
「新しいサービスを創造して行く」ということしか言い様がない。
「社員に儲けてこいと言って儲けてくるなら上司は不要だ」というように、売上げノルマを課した「チャレンジ」では何も解決しない。
経営者はひたすら最適な経営資源の整備しかできない。
戦略はダイナミックに移すのであれば組織能力もダイナミックに変えざるを得ない。その中には、人やモノへの投資も含まれるが、その果実が実る保証などない
結果としての業績は運に左右されることもある。しかし、これを突破するのに魔法の杖などはない、
教科書としては、ISO9001や日本経営品質賞のフレームワークなどがあるし、素直に「ドラッガー」を読んでみてはと思う。
2020/02/13
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