未来への手がかり:業態シフトの成否を分けるもの(新聞不況に思う)


■なにげなニュース

○NYタイムズ購読者1千万人突破 9月末、デジタル好調
2023/11/09

一般ニュースに加え、スポーツ専用サイトやゲーム、レシピなどを組み合わせて販売する戦略が成果を上げている。紙媒体の契約者数は約2万人減の67万人となり、減少が続いた。

https://nordot.app/1095010940432564664

ニューヨークタイムズ紙が紙媒体から撤退する旨を発表したのは2020年だった。

○NYタイムズ、電子版専用に? 「20年後」紙の発行終了
2020/8/11

 米紙ニューヨーク・タイムズのトンプソン最高経営責任者(CEO)は10日の米CNBCテレビの番組で、紙媒体の発行は20年後には終了する見通しを示した。スマートフォンやパソコンで読む電子版の購読者を増やす戦略に特化するとみられる。

9月にCEOを退任するトンプソン氏は「今後10年間は間違いなく印刷される。おそらく15年後も。20年後も印刷されていたら非常に驚くだろう」と述べた。同社は2020年4~6月期決算で、デジタル部門の売上高の合計が四半期ベースで紙媒体を初めて上回った。

https://www.sankei.com/article/20200811-6KH2VAZJURJSTERFTCVRNLIYCU/

■戦略の移行

こうした動きは日本でも考えるべき題材であろう。実際新聞発行部数は減少の一途をたどっている。

○新聞は冬の時代から氷河期へ それでも消えない役割と使命
2023年06月19日

大阪日日新聞が7月末で休刊になる。今月13日に同紙1面で告知されていた。この話題は他紙やテレビでも報じられていた。

新聞が冬の時代に入って久しい。日本新聞協会が調査した「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度調査」によれば、2022年10月現在の総発行部数は前年比で6・6%減の3084万6661部。これは18年連続の減少で、1年で218万504部も減った計算になる。

https://www.nnn.co.jp/articles/-/70412

明らかに紙媒体の新聞というメディアが生き残れないのは明らかなのだろう。こうした動きについて、大手の新聞社がついて行けていないと思われる。それは、朝日新聞をはじめ、まずは紙媒体の購読を前提としてデジタルでの配信をしていることからも分かる。つまり、紙媒体で発信したものを単にパソコンで見れるようにしているに過ぎない。デジタル固有の特性を生かしていないと感じる。

私自身も、息子も新聞という紙媒体には接していない。必要なニュースなどはインターネットを経由してアクセスする。多少有料記事でないと分からないこともあるが、おおよそのことは分かる。

■デジタル化の特性を生かすために

個人の感想にザット以外無いが、現在の紙媒体の新聞に対する不満は下記の通りである。

(1)ボリューム
紙面が限られるために、政治欄にしろ、社会面にしろ、スポーツ欄にしろ十分な情報量がない。当然紙面のスペースが限られるので文字数も限られる。

(2)深掘り
単に大本営発表にとどまるために、記事に対する深掘りができていない。芸能活動(ジャニーズや宝塚)は喜んで取り上げるが、貧困問題や格差・差別(例えば技能実習制度に関わる問題)はおざなりの取り上げ方である。

(3)追跡性
「あの記事はその後どうなったのか」に応えることはない。社会的な事件(例えば、直近の殺人事件)について、その後どうなったのか、政策記事(アベノミクスは結局どう評価するのか)などのデータ分析などもない。報道を瞬間的に行なって終わりである。

(4)即応性
記事の完全性を重視するあまり、発信が平気で一日遅れになる。結局発信した跡の追跡性が常態化していないので、修正記事の発信を前提としたビジネスモデルになれない。

こうしたことに真摯に向き合い、情報を発信できる体制の整備ができるかが成否の鍵を握る。これができれば、地域に関係なく配信ができる。

BBCやロイターなどからは世界中の記事が配信されている。
購読者が多くいることを前提としたビジネスモデルを構築できるか?

(2023/11/15)