未来への手がかり:路面電車というレトロと先端技術(地方都市の活性化の事例となり得るか)


うまくいって欲しいなと思う。

■近未来感

○8月開業の宇都宮「LRT」が拓く電動モビリティの可能性。渋滞解消と新しい街づくりに大きく前進
2023.09.25

自動車ユーザーのなかには、こうしたLRTや公共交通をあまり利用しない人もいるだろう。だが、LRTは単なる交通手段としてだけではなく、都市やその周辺部の生活を大きくかえる可能性を秘める「街づくり」の重要なツールだ。

宇都宮のLRTは、再生可能由来の電力100%で走行しており、そうした配電システムが今後、乗用BEV(バッテリー電気自動車)向けに利活用される可能性もある。

LRTはBEVを巻き込んだ、次世代モビリティなのだ。

https://ev-times.com/2023/09/25/16823

宇都宮のLRTについては開業する大分前から興味をいだいていた。
路面電車ではなくLRTについてはと言う名称は、その成功k事例として福井が有名であろう。1度見に行ったことがある。広島などのいくつかの都市で路面電車も見ていたのでその延長線上のものかと侮っていたのだが、そのスタイリッシュな姿に引き込まれてしまった。

路面を走るというレトロなトラフィックシステムにもかかわらず、IT技術や最新の省エネ技術などを駆使すれば効率的な運用も可能なのだろう。

■都市の活性化

福井にしろ、宇都宮にしろ単独の取り組みとしてLRTについてはを見るのは望ましくない。

例えば、福井には平成30年に「福井鉄道交通圏地域公共交通網形成計画」が策定され、都市計画の中での交通網計画が位置づけられている。
https://www.city.fukui.lg.jp/kurasi/koutu/public/renkei_d/fil/keiseikeikaku.pdf

宇都宮市でも2019年には「都市計画マスタープラン」が作成され、その中にLRTを軸とした交通計画が記載されている。
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/778/1syou2.pdf

単に交通渋滞の解消だけが目的ではない。宇都宮という街の活性化が目的である。
いろいろな問題はあるにしても順調そうである。

○宇都宮「LRT」好発進 開業1カ月、想定上回る利用者 接触事故で課題も
2023/10/4

高齢化、環境負荷の軽減、観光客対策…。さまざまな地域課題に対応する公共交通として次世代型路面電車(LRT)が注目されている。8月の開業から1カ月が経過した栃木県のLRTは、開業効果もあって順調な滑り出しをみせる。一方、山梨県は富士山のオーバーツーリズム(過剰観光)対策の切り札としてLRT整備を進めるが、地元の反発で実現への道のりは険しい。

https://www.sankei.com/article/20231004-A5UJO7GPY5JU5GOSDGWNJ75Q5E/

○LRT開業で人流最大3.5倍 宇都宮駅前活性化、渋滞は発生せず ジオテクノロジーズ(東京)が人流データなど分析
2023/11/22

 情報通信業のジオテクノロジーズ(東京都文京区)は22日、次世代型路面電車(LRT)の宇都宮芳賀ライトレール線開業前後を比較した人流調査の結果を公表した。沿線の滞在人口は、休日の宇都宮駅東口で開業前の最大3.5倍になった一方、並行する幹線道路で渋滞はみられなかった。ジオテクノロジーズは、LRT開業の影響について「街の活性化は明らかで、観光振興にも役立っている。自動車通行に与える悪影響は少ない」と分析している。

https://nordot.app/1100026239665751023

■ベンチマークになってくれるとうれしい

地方の都市が衰退して行くことに手をこまねいているわけではないにしても、少子高齢化やこれにともなう交通問題、人流の偏在による問題など多くのことに悩まされている。魅力ある都市になっていないために若者が定着しないと云うこともあるかもしれない。

LRTで全てが解決できるわけではないが、やはり一つの方向性になるだろう・

○貴重な好事例「宇都宮LRT」各方面から注目の訳
公共交通「リ・デザイン」の先端がここにある
2023/10/13

JR宇都宮駅東側にはバスターミナルやホテルなどがあったが、かつては人通りが少ない印象だった。それが今は「新生・宇都宮」というべき都市空間が広がっており、その中に話題のLRTの停留場がある。

https://toyokeizai.net/articles/photo/707392

そしてこれは宇都宮だけの特性ではない。

○北欧のLRT「タンペレライトレール」に乗ってわかった宇都宮との「共通点」とは?
2023.09.21

タンペレでは20世紀前半からトラム導入を検討していましたが、費用面から計画が一旦は頓挫してしまいます。しかし、21世紀初頭より再度導入が検討され、2016年に正式決定し工事を開始。晴れて2021年8月9日に開業したヨーロッパ最新鋭の新規開業路線となります。 都市部と工業地帯を結ぶ上に、完全新規開業路線というあたりは、先日開業したばかりの宇都宮ライトレールにも似た路線環境とも言えます

北欧のLRT「タンペレライトレール」に乗ってわかった宇都宮との「共通点」とは?

こうした良い面ばかりではなく課題もあるだろう。
スムーズな運行のための課題を非難するのではなく、よりよい運用のための情報源とすることが必要である。

○LRT事故3件、現場で見えたことは… ドライバー、運営社ともに「不慣れ」 改善施された箇所も
2023/09/24

 同社の高坂克也(こうさかかつや)運輸企画部長は「ドライバー側に不慣れさがある」とみる。3件目は「運転士が警笛を鳴らすべきだった」と指摘。目測の誤りが主な原因で、全運転士に注意喚起した。「行政と連携し安全な乗り物として運行していく。ドライバーも十分気をつけてほしい」と話す。県警は新たな交通環境でのルール順守を呼びかけている。

https://nordot.app/1078406455853924737

○宇都宮ライトレール、国内初の全線新設LRTに「課題」 外国で主流の乗客を〝信用〟する運賃収受方式とは? 「鉄道なにコレ!?」【第50回】
2023/09/28

 ▽外国のLRTの運賃は「信用乗車方式」が一般的
宇都宮ライトレールが開業する前から筆者が「課題」だと受け止めていたのが運賃収受方法だ。筆者が現在駐在している米国を含めた外国のLRTの一般的な方法とは異なる。宇都宮ライトレールでは運賃収受でもたつき、LRTの売りであるスピーディーな運行が阻害されかねないと危惧していたのが現実化して遅れが頻発していると聞いた。

https://nordot.app/1077467558688096292

■コンパクトシティ

先の宇都宮市の都市計画マスターに「コンパクトシティ」という言葉が出てくる。これは従来型の都市計画に対する限界を乗り越えるための一つのコンセプトである。これはかなり以前から議論されている。

○平成26年度 国土政策関係研究支援事業 研究成果報告書 人口減少社会に向けた適正な都市規模の検討

1-1.研究の背景と目的
日本においてはモータリゼーションの進展を背景とした都市スプロールにより、中心市街地の衰退、都市施設の維持管理費の増加、慢性的な交通渋滞とそれによる環境負荷の増加、交通弱者の増加、エネルギー問題や自然環境の保護等、様々な都市問題を抱えている。

2) 移転先でのコンパクトなまちづくりへの要望 本研究の結果では、移転先として市街地もしくは職場への交通利便性、生活利便性、安全な歩行空間が求められている。これはコンパクトシティ等で提案されている徒歩で充足できる都市空間で謳われている項目と同じである。このような意見を汲み取ることが、集約型都市構造を実現する上での第一歩となると考えられる。また医療関係の施設は移転を誘引できる施設であるため、公共施設と合わせて病院等を効果的に立地させていくことが重要となる。

https://www.mlit.go.jp/common/001085825.pdf

○環境と経済からみた最適都市規模に関する研究

類型化において,社会は「大都市域」「都市域」「中規模都市域」「小規模都市域」,産業は「業務中核都市型」「業務衛星都市型」「地方中核都市型」「製造業中心型」「公共事業中心型」,自然は「都市平地地域」「暖流沿岸地域」「内陸山間地域」「高地地域」「北日本寒冷地域」「日本海沿岸多雪地域」「南西諸島地域」にそれぞれ分けられる.

http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00063/2011/2011-07-0048.pdf

コンパクトシティは、一つの都市で全てを解決するのではなく、都市をクラスターのように結ぶことで総合的な都市機能をカバーさせるコンセプトになる。都市間交通はもっと便利にならなければならないだろうし、通信技術などももっと発達しなければならない。その先には場所に囚われない生活空間の確立が待っている。

今回のLRTが旨く行くことを期待する。

(2023/12/09)