■なにげなニュース
○売れ残り服・靴の廃棄を禁止 EUが大筋合意、2年後から
2023年12月6日
欧州連合(EU)の主要機関は5日、域内で事業展開するアパレル事業者に売れ残った服や靴などの衣料品を廃棄するのを禁じる法案で大筋合意した。今後、正式な承認手続きに入り、2年後から施行する。流行品を低価格で大量消費する「ファストファッション」による衣料品の廃棄拡大に歯止めをかける。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05DFY0V01C23A2000000/
衣料品の廃棄問題は環境問題の一部の認識があり、以前から問題視されていた。
○ファストファッションの問題点とは?企業や個人の取り組みも紹介
2023年4月6日
ファストファッション産業は、大量生産と低価格が特徴です。このため、多くの衣類が大量に生産され、短期間で廃棄されることがあります。これにより、廃棄物が増加し、環境問題の要因の一つとなっています。
おそらくは、EUの決定はこうしたことへの対応が含まれているのだと思う。
もっとも廃棄の問題は、EUの域内だけで行なわれているわけでもないし、環境問題というならば、その製造過程でも、例えば貧困国で生産されていることに起因する様々なことが指摘されている。
○ファストファッションが引き起こす廃棄物問題とは?
グリーンピース・ジャパン
2022-09-13
なぜサプライチェーンにおいて、ここまで廃棄物が多くなってしまうのでしょうか。
要因として、ブランドがサプライヤーに対し、最小限のコストや厳しい納期を設定し、圧力をかけていることが大きく影響していると考えられています。
2017年の調査では、購入した素材の少なくとも25%が廃棄され、一部の工場では持ち込まれた素材の半分近くが廃棄されていることがわかりました。これらの素材は、ほとんどの場合がまだ使用可能なものですが、厳しい納期と最小限のコストを優先するのために、サプライヤーもデザイナーもそれらを有効に活用せず、代わりに他の産業では許容されないレベルの廃棄物を生み出しているのです。
■SDGsの環境問題
環境問題そのものではないが、SDGsの17の目標の一つに「作る責任、使う責任」とありユニセフのサイトには「世界で生産されている食品の約3分の1(13億トン)が捨てられています。」と始まり、対応すべき行動が記載されている。
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/12-responsible/
その中には、プログラム12-3として
2030年までに、お店や消費者のところで捨てられる食料(一人当たりの量)を半分に減らす。また、生産者からお店への流れのなかで、食料が捨てられたり、失われたりすることを減らす。
とあり、持続的な世界を維持するための方向性として示されている。
ファストファッションも手をこまねいているわけではないだろう。
実際、ユニクロのサイトでもSDGsに関する取り組みをアピールしている。
https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/sdgs/index.html
■かけ声だけでなく技術と資金を提供することの欠落
単に捨てるなと云うが、ではどうするのかと云えば、一番簡単な方法はリサイクルである。
リサイクルをするためには
①サプライチェーンと同じような回収メカニズム
②中古の古着として売るなら販売網の整備
③別製品にするならリサイクルのための設備投資
などが必要である。
このうち、リユースについての取り組みなどは下記で確認できる。
○ユニクロ、補修サービスを試験導入
2022年12月16日
東京都世田谷区にある「ユニクロ」の店舗では、10月から補修サービスを試験的に始めました。
自社の商品が対象で、穴があいたり、糸がほつれていたり、しみになったりしても、技術的に直せるものは、もう一度着られる衣料品に直します。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221216/k10013924881000.html
また、同社はリサイクルについても取り組んでいると聞く。
こうした、リサイクル事業は、単純に糸をほぐすなどと云うだけではすまない。ボタンやファスナーなどの付属品の分離や、染料の処理などをしなくてはならず、人手があればすむ話ではない。何かしらの機会的処理、化学的処理などの技術の発展が必要である。
単に「捨てるな」ではなく、リサイクルのための研究開発も勧めなければならない。
そして、経済的な自立ができる様に資金提供をしなくてはならない。EUは基金の設立まで考えているだろうか。それともかけ声だけのアリバイ作りなのだろうか。
(2023/12/12)