世間に転がる意味不明:公共交通機関の問題は都市計画とセットで語らなければならない(タクシーは公共交通機関ではない)


ライドシェアネタです。

■問題を混ぜない

何度も言うが問題を混ぜないことが議論の前庭である。

○タクシー業界の苦境とウーバーの問題は規制下での競争優位の問題である。
○交通弱者への対応をオーバーツーリズムの問題は異なる
○過疎地と都心部(観光地)での交通問題はタクシーの問題ではない
○公共交通機関(バス)とタクシーは戦う戦場が異なる
○渋滞問題とライドシェア問題は混在させられない

などなど、

今回は最近話題の宇都宮のLRTと地方都市の公共交通機関が置かれている状況について少し考えてみる。

■なにげなニュース

○宇都宮のLRTが更に躍進?沿線に「賑わい拠点」整備へ 国際大会に対応可能なスケートリンクも!
2023.12.06

 宇都宮市は2023年11月、LRT「ライトライン」の平石停留場に隣接する「東部総合公園整備運営事業」の公募設置等予定者を決定したと発表しました。

この「東部総合公園整備運営事業」は、ライトライン沿線に新たな賑わい拠点を整備する事業です。新設の公園としては、栃木県内で初の公募設置管理制度 (Park-PFI) を活用した事業となります。

https://trafficnews.jp/post/129677

○JR宇都宮駅西側にマンション続々 好立地、LRT延伸に期待 シニアや高所得者層狙う
2023/11/17

 JR宇都宮駅西側の大通り周辺で、分譲マンションの建設が相次いでいる。同駅や東武宇都宮駅から徒歩約15分圏内の宇都宮市街地エリアが中心で、下野新聞社の調べでは10月末時点で同エリアに建設中の物件が4件確認された。施工する大手デベロッパーは県都の中心地として県庁やオフィスが並ぶ立地の良さを評価し、次世代型路面電車(LRT)の西側延伸計画にも期待する。

https://nordot.app/1098113519244443906

こうしたニュースはどうしても「LRT」が先にあり、その経済効果などが副次的なものとして取り扱われる。しかしこうした見方は間違っている。

■先にロードマップがある

地方都市の活性化は、どんな自治体でも重要施策の中心にある。そのため、グランドデザインになるように都市計画を策定する。宇都宮市でも2019年3月に「第3次宇都宮市都市計画マスタープラン」を策定しており、その指針として

宇都宮市が目指す「ネットワーク型コンパクトシティ」形成に向けて、少子・超高齢社会の進行や人口減少局面への突入等の社会経済環境の変化や、本市まちづくりの進展などに的確に対応し、関連分野が連携しながら、都市計画制度等を活用した土地利用や都市整備等のまちづくりを総合的かつ一体的に進めていくため、都市づくりの新たな指針として策定しました。

と記載されている。
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/machi/kenchiku/toshikeikaku/1005778.html

その具体的なプランの中に「LRT」も含まれており、下記もその一環である。

○LRTにサイクルトレイン導入を検討
2023/12/09

サイクルトレインの導入は2021年に策定された第2次宇都宮自転車のまち推進計画に基づいて検討が進められているもので、ライトラインの利便性向上やサイクルツーリズムの推進に役立つと考えられています。

https://nordot.app/1106032160881525082

LRTと言えば、その成功事例で富山市が俎上に上がるが、富山市も都市問題の解決という意識が先にあり、その解決のためのLRTについてはを利用した交通政策がある。

まずLRTがあり、その結果が街の活性化ではない。

■タクシーと公共交通機関は論点が全く違う

公共交通機関は
・時刻表ありき
・ルートありき
であり、タクシーとは全く異なる運営形態である。
現在、公共機関を苦しめているのは運転手不足だけではなく、仮に乗客が少ない時間帯でも運行をしなくてはならないことや、公共性があり早朝や深夜も配慮しなければならないことが挙げられる。

こうした公共機関の解決すべき課題には、交通網の網羅性やルートの接続性、代替交通の連携などが効果的に行なわれることがある。

○BRT開業から1か月 利便性向上で沿線からは好意的な声 1日の平均利用者数は「想定以上」
2023年09月28日

豪雨で被災したJR日田彦山線がバスを使った「BRTひこぼしライン」として開業しきょうでちょうど1か月です。
こうした中、JR九州の古宮社長が28日、利用状況を発表しました。
9月24日までにあわせて約1万1400人が乗車。
1日平均では407人となり「想定以上」だということです。
日田市ではBRTの開業をきっかけに様々なイベントも行っていて、博多駅では沿線の他の自治体と共に特産品などをPRし利用を呼びかけました。

https://tosonline.jp/news/20230928/00000009.html

公共性の維持と利用者数の確保という問題に取り組む例になるだろう。
そして、ルートの柔軟性についての取り組みもあり、下記の記事は参考になる。

○AI活用!「バスでもタクシーでもない」新交通システムの実証運行〈宮城〉
2023-11-27

「車両を呼ぶには、電話、もしくはアプリで、予約をいれます。アプリを開くとたくさんの『m』の文字が出てくるので、この中から車両を呼ぶ場所と行き先を選び予約完了です」

https://nc.ox-tv.co.jp/news/detail/19903/

■ライドシェアと公共交通機関の話は混在させてはならない

公共交通機関は自治体と密接に関わる、地域の交通問題である。その運行についてライドシェアが語れれるときには「タクシー」は無視をはなから決めることは必要ないがタクシー業界との調整で「公共交通機関」を持ち出すことは正しくない。

公共交通機関の話は「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成19年法律第59号)」をベースに議論するべきであろう。

したがって、下記の様な取り組みは面白いと思うが「ライドシェア」の話を持ち出すべきではない。そもそも、過疎地でのライドシェア的な運行は認められているのだから。

○「みんなで支えていく」 “鳥取県型ライドシェア”を発表 地域住民が自分の車を使い有料で人を運ぶ 鳥取県
2023年11月22日

鳥取県の平井知事は11月22日の定例会見でこのように述べ、地域住民が自分の車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」について、事業者と住民が協働で交通システムを構築できる「鳥取型ライドシェア」を導入すると明らかにしました。

現在、鳥取県の中山間地域では、ドライバー不足や利用者の減少により、交通事業者の撤退などが発生しています。

「鳥取型ライドシェア」では、交通事業者がドライバーとなる住民へアルコールチェックなどの運行管理を行う際の委託費や住民ドライバーを確保するための奨励金の支援などを行っていきます。

https://news.ntv.co.jp/n/nkt/category/society/nk40550ae3443843829cff96583a707cb0

(2023/12/17)