■リストラの次の危険な一手
○アマゾンフレックス配達員「トイレ行けず、信号待ちでおにぎりかじる」激務訴え、環境改善を要求
2024年01月16日
申し入れ後に開かれた会見で、男性は「1時間に20個以上の荷物を配送しないといけないオファーが多く、未配達で低評価を受けないようにするためには、7〜8時間車を走らせ続けざるを得ない。休憩を取る時間がなく、トイレを我慢したり、信号待ちの間におにぎりを食べて食事を済ますこともある」と厳しいドライバー事情を訴えた。
https://www.bengo4.com/c_5/n_17055/
誰かを犠牲にしている企業経営が良いとは思えない。
1990年代、経営者は管理職を切り捨てるリストラというパンドラの箱を開けてしまった。
企業側はさらに正規社員を減らし非正規雇用を減らすことで人財投資を削減してきた。近年、自社の製品・サービスの一部をアウトソースすることで事業の再編をしやすい環境を整えてきている。
その結果起きていることは、賃金格差の拡大と雇用不安、そして企業への社員からの信頼の喪失である。今更人手不足や人的資源か維持の必要性を謳う識者の頭の中身を疑う。
フリーランスを「個人事業主」として切り捨てる企業姿勢を非難する趨勢は変わらないとみている。
○「嫌なら辞めて」と言いたいのか…ヤマト運輸もUberも「団体交渉」拒み紙一枚でフリーランスをバッサリ
2023年11月23日
実際にフリーランスが労組法上の労働者として団交権が認められた事例は、過去にも複数ある。それでも依然、企業側がフリーランスであることを理由に門前払いするケースは目立つ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/291679
○アマゾン配達員が東京都労働委に救済申し立て 団体交渉応じず
2024/1/26
東京ユニオンは申し立て後、都内で記者会見を開き、配達員の50代女性が「アマゾンは何を基準に荷量を増やしているのか。ガソリン、車検も自分持ち。日給を上げてほしい」と訴えた。女性によると、年末のセールが終わった年明けも荷物量は増え続けており、配達量が200個を超える日もある。また、性別に関係なく重さ15キロを超える荷物がいくつも割り当てられ、腰を痛めながらも生活のため仕事を続けている。
https://mainichi.jp/articles/20240126/k00/00m/040/001000c
彼らには働く環境を選択できる自由があると言うが実体は違う。
隙間時間で仕事を選ぶというのは幻想に過ぎない。実際は生活のために常にこの仕事を得るために時間の大部分を犠牲にする。
そうしたことを受けて訴訟が増えるだろうし、安易な外注化は行政指導の対象ともなりうる。
○アマゾン配達員は「業務委託じゃなく雇用」、契約解除の無効求め下請会社を提訴
2024年01月26日
代理人の有野優太弁護士は、「形式的には企業内のある配送センターの問題だが、 裁判で労働基準法上の労働者であると認定されれば、全国のアマゾン配達員に法律上の保護を広げることができるのではないか」と語った。
なお、業務委託のアマゾン配達員の労働者性をめぐっては、2023年に同じ運送会社の別の配達員について、業務委託にもかかわらず、労災認定がされている。
https://www.bengo4.com/c_5/n_17107/
○国交省 ヤマト運輸などに是正勧告 運送事業者に不当要求か
2024年1月27日
ヤマト運輸は荷物の仕分けなど、契約にはない業務や過積載での運行などを要求し、
▽王子マテリアはトラックからの荷物の積み降ろしの順番を待つ「荷待ち」を長時間、強いていたとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240127/k10014336831000.html
■雇用契約を結ぶべきである
人手不足問題に対峰する為の施策として「ライドシェア」に議論が進んでいる。
その一番の特徴はシステム化であろう。
○タクシーアプリ「GO」、日本型ライドシェア対応へ
2024年1月12日
GOは、東京ハイヤー・タクシー協会の「日本型ライドシェア」開始表明を受けて、タクシーアプリ「GO」での配車を含む「日本型ライドシェア」への対応を開始した。
主な取り組みは4つ。ひとつは「ドライバー向けアプリの開発・提供」で、このほか「タクシー事業者/自治体向け管理システムの開発・提供」「ドライブレコーダー等の機器類の提供」「『ライドシェアドライバー』採用支援」が挙げられている。
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1560391.html
○タクシーアプリGO、「日本型ライドシェア」導入へ自治体や事業者を支援、管理システム開発やドライバー採用など
2024年01月13日
タクシーアプリ「GO」を提供するGO社は、「日本型ライドシェア」を導入するタクシー事業の支援を開始する。事業者向けの専用の相談窓口を設置するほか、自治体からの問い合わせにも対応。同社では、この取り組みを通じて社会課題である地域住民や観光客の移動の足の不足解消に向けて貢献するとしている。
https://www.travelvoice.jp/20240113-154929
制度的には、システム会社が管理責任を負うのではなくタクシー会社もしくはそれに代わる事業者が責任を持つ。
ウーバーにおいても個人事業主ではなく雇用であると言う判例は海外で出ていることもあり、少しずつ働く人たちの保護が進んでいる。日本でも、むやみな解法ではなく手探りで進むことになるだろう。
一方で、「個人事業主」という隠れ蓑で事業者が搾取する実態を防がなければならない。
下記の記事では、不安になるのが「待機している時間」は時給に含まれなければ、ウーバーイーツと同じ構造になると云うことである。あるいは、事業者の都合で彼らが切り捨てられると云うことである。
○日本版ライドシェア、運転手バイト「時給1,600円〜」!タクシー会社が募集開始
部分的解禁、人材はしっかり集まるのか?
2024年1月22日
タクシー会社は、運転手とパートタイムなどの雇用契約を結ぶ。運転手は20歳以上70歳未満で、第1種運転免許(普通免許)の取得後1年以上であることが条件になる。運行と車両整備などについては、タクシー会社が管理する。使用するのは白ナンバーの自家用車で、通信型ドライブレコーダーと衝突被害軽減ブレーキの装備を必須とする。
かれら個人事業主、あるいはフリーランス、もっと云えばギグワーカーが保護されるような法整備が必要である。原則は雇用契約と最低保障制度であろう。当然、フルタイムで事業所に拘束される人々と同じにはできないかもしれないが、安心して働けるような法整備を考えて欲しい。
今回の「ライドシェア」が良い試金石になってくれることを願う。
(2024/01/28)