世間に転がる意味不明:法律が問題ならそこを焦点にすべきである(ヤマトの何が問題なのか分からない件)


事業は慈善活動ではない。
弱者救済というならばセーフティーネットの確立あるいは雇用の不義を防ぐ法整備を急ぐべきである。

■騒がしいニュース

当事者にとっては「騒がしい」では済まないのだろう。
第三者も巻き込んでのニュースになっている。

○「平気で首切り 許せない」 ヤマトが配達員2万5000人の契約を一斉解除 団交拒否、個別交渉はたったの3人
2024年2月1日

労組「建交労軽貨物ユニオン」(横浜市)は昨年8月、契約終了の撤回を求め団体交渉を申し入れたが、ヤマトは個人事業主であることを理由に拒否。ユニオンは10月に東京都労働委員会に救済を申し立てた。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/306657

しかし、配達員が個別に対応をしてくれないからと言って「建交労軽貨物ユニオン」が代理で訴える論理がよく分からない。労働組合法は現時点では社員もしくは、働く実態が社員と同等の場合に適用されると理解している。

今回の対象はどうなんだろう?
よく分からない。

■半年間は短いのか?

○ヤマト運輸「クロネコメイト」全国約2万5000人の契約を1月31日付で一斉解除
2024/02/01

 ヤマト運輸は去年6月、メール便の配達業務の一部を日本郵便に委託すると発表しました。これに伴い、これまでヤマト運輸でメール便の配達業務を担当していた「クロネコメイト」と呼ばれる個人事業主およそ2万5000人との委託契約を1月31日付で終了しました。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000335165.html

突然契約解除をしたわけではない。個人事業主には3万~7万円の謝礼金を支払ったり、転職支援サイトを用意したりしたという。

○ヤマト2.5万人委託契約を終了 個人事業主、障害者団体も
2024/02/01

 ヤマト運輸は1日、配達を委託していた個人事業主約2万5千人との契約を1月末で終了したと発表した。メール便の配送を日本郵便に移したことに伴うもので、全国275の障害者支援団体への業務委託や、約3千人に上るパート社員との雇用契約も終了した。個人事業主を支援する労働組合は東京都労働委員会に救済を申し立てている。

ヤマト運輸は、通販カタログなどを扱う「クロネコDM便」の配送の多くを個人事業主に委託していたが、経営合理化のため1日から日本郵便に切り替えた。個人事業主には3万~7万円の謝礼金を支払ったり、転職支援サイトを用意したりしたという。

https://nordot.app/1125690957634667411

半年間の猶予があり再就職の支援もしていると聞く。もっとも、高齢者が多く再就職もままならないという声も聞く。しかし、それは彼らだけではない。65歳で雇用を打ち切るというのは特別なことではない。

半年では短いというならどのぐらいの期間が必要なのか。
すでに事業の売却あるいは中止を決定している。この決定を翻せというのだろうか。

■人数が問題なのか

これが、一部の事業所を閉鎖して、その地域の十人程度の契約解除であれば問題は起きないだろう。1度に大規模に何かしようとすると軋轢を生むのは洋の東西を問わず同じなのだと思う。

○「H&M」がスペインの28店舗をクローズへ 約590人を解雇
2024/01/31

労働組合は、スペインの「H&M」が、欠勤や過重労働などの問題に直面していたとしつつも、今回の解雇について「あまりに強引であり、解雇以外の方策を検討することは可能である」と指摘した。加えて、H&Mは昨年6月、不満を抱いた同国の従業員らによるストライキを受け、店舗スタッフに1000ユーロ(約16万円)の追加賃金を14ヵ月にわたって支払うことと、今後2年間、販売実績に連動したボーナスを毎月追加で支払うことで合意していたため、労働組合は今回の一斉閉店と大規模解雇について驚きを示している。

「H&M」がスペインの28店舗をクローズへ 約590人を解雇

しかし、人数が多いと問題になり人数が少ないと問題にならないというのは合理的でない。

■契約違反なのか

もし、契約違反であるならば裁判に訴えるべきである。
もし今の現行法では不足するというならば、法改正を訴えるべきである。
気の毒だという気持ちもあるが、方向性が違う。

「クロネコメイト」や「建交労軽貨物ユニオン」がすべきことはヤマトを訴えることではない。今後発生するであろう弱者のために、法律の整備を訴えるべきである。

マスコミなどの報道を見ても、そうした方向性が見いだせない。
今回の記事の意味不明さはそこにある。

(2024/02/07)