■2年前から予想できていたこと
○出生数、過去最少75万人 8年連続減、少子化加速鮮明に―23年人口動態統計速報・2024年02月27日
厚生労働省は27日、2023年の人口動態統計の速報値を公表した。年間出生数は75万8631人と、8年連続で過去最少を更新。初の80万人割れとなった前年の速報値(79万9728人)と比べ4万1097人(5.1%)減少し、1983年の約150万人から半減した。新型コロナウイルスの感染拡大で20、21年の婚姻数が戦後最少を更新したことなどが影響したとみられ、少子化の加速化傾向が鮮明となった。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024022700812&g=soc#goog_rewarded
2019年に新型コロナのパンデミックが発生し世界中がその対応に追われていた頃、感染を恐れて妊娠をしない層が20%に登るという報道が翌年に報告されていた。人々が外出しない期間は数年におよび、当然「男女の出会い」も少なくなっていただろう。妊娠が怖ければ積極的に結婚に踏み切れないそうも出てくることは予想されていた。
しかし、上記の数字は予想以上かもしれない。
我々の世代ですらすでに「結婚の意義」は見いだせず,会社も「結婚しない人間は出世できない」などという時代でもない。しかし、それ以上に「貧困」が結婚をためらわせ、こどもを多く持つと云うことを諦めさせていると感じることが多い。
政府は少子化対策といっているがまともな対策がとれているとは思えない。
ニュースなどで、自治体レベルではあるが高い出生率を実現しているところ、あるいは企業レベルで高い出生率を実現している所は、安心してこどもを育てられる環境(保育、教育、医療支援など)を準備している。「こどもがいても大丈夫」というメッセージを出している。
政府は何ができるだろう。私は貧困対策だと思っている。
なぜか。共働きでもまともに生活できないような賃金しか得られないのであれば、結婚という選択肢はない。ましてやこどもなど持てない。
■2024年問題
2024年問題とは、云ってしまえば「過剰な労働を強いるな」と云うことになる。それが残業規制であるが,そのことと人手不足を混同しない方が良い。人手が足りないのであれば、外国人を含めて採用すれば良い。ただし、問題になるのは「安い労働力」が必要だと云うことである。安い賃金のママで人が集まるはずもなく、長時間労働しなければまっとうな収入が見込めなければ人手不足問題は解決しない。
○ニッポンの物流の大問題
ドライバーが足りずにモノが運べなくなるーー。2024年4月からトラックドライバーの労働時間に上限が設けられることによって従来のようにモノをタイムリーに、津々浦々まで運ぶことが難しくなる懸念が浮上している。「物流2024年問題」の背景には何があり、解決法はあるのか。多面的に検証する。
https://toyokeizai.net/category/japanese-logistics
この中で指摘しているように、労働時間に見合った賃金菓子は割れない産業構造が問題なのである。
政府の思惑を図るのは難しいのだが、「まっとうな働き方で生計が立つような賃金水準」が、その業界への魅力を向上させ、放っておいても人手不足は解決するだろうし、少子化なども解決の糸口につながると期待している。
そうした意味では下記の動きは歓迎する。
○岸田総理、物流大手を前に「トラック運送業の10%前後の賃上げ」期待表明
2024.02.16
会の中で岸田総理は「政府として来月、トラック運送業の標準的運賃を8%引き上げるとともに、荷役対価や下請手数料などの各種経費も新たに加算できるようにした。これにより10%前後の賃上げが期待できる」と語った。
続けて「公共事業の積算に活用する労務単価を平均5.9%引き上げ、来月から適用する。その中で一般運転手は最も高い水準となる7.2%の引き上げを行う。これに、荷待ち・荷役の対価などが適切に加算されると、事実上10%を上回る引き上げとなる」とも語った。
○トラックドライバーの賃金 来年度に10%前後引き上げへ 政府が物流革新へ中長期目標
2024年2月16日
政府が示した中長期計画では、トラックの車種や走行距離別に1回の運送あたりの運賃を示す「標準的な運賃」を8%引き上げることなどで、来年度に10%前後の賃上げを目指すとしました。
また、荷主や物流施設の都合で、運転手が長時間待機する「荷待ち」については、自動化された倉庫などを活用することで、2030年度までに年間で125時間以上減らすとしています。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1002774?display=1
■かけ声以上のもの(DXとAI)
2024年問題のターゲットになっているのは物流だけでなく建設・土木も一緒であり、こちらも動きがある。
○国交省、労務単価5.9%引き上げ
過去10年で最高の増加幅
2024年2月27日
国土交通省は16日、公共工事の予定価格積算に用いる2024年度以降の「公共工事設計労務単価」について、全国全職種平均で前年度比5.9%増の2万3600円に改定すると発表した。
斉藤鉄夫国交相は同日の閣議後会見で、「労務単価の引き上げが建設業界の賃上げに結び付き、好循環を実現できるよう各社に強く働き掛けていきたい」と強調した。不当なダンピング禁止などを定める建設業法の改正案を今国会に提出することにも触れ、「担い手確保と持続可能な建設業の実現に全力を尽くしていきたい」と述べた。
○建設業の無理な工期禁止 国交省、長時間労働に歯止め
2024年2月29日
人手不足の深刻な建設業界で、労働者の長時間労働を是正するための規制が強まる。国土交通省は労働環境の悪化を招くような、短すぎる工事期間での受注を禁じる。違反した事業者には指導・監督を通じて改善を求める。賃金が上がりやすい仕組みも整え、人材確保につなげる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA172YU0X10C24A2000000/
しかし、いくら目標を掲げようと、実現することは難しいのは当然であり、懸念は払拭されないだろう。
○とうとう政府主導で「物流賃上げ」へ 荷待ち・荷役も「お金とれ」&「空荷で走るな」 示された数値目標は実現できるのか
2024.02.20
物流ドライバーの労働時間は、全職業平均より約2割長いことも明らかです。その大きな要因の一つが、荷主から荷物が出るまでの待ち時間や、運んだ荷物を受け取ってもらうまでの待ち時間、いわゆる「荷待ち時間」と、荷物の積み込みのための「荷役時間」です。
2020年度の調査で、ドライバーの拘束時間約12時間に対して、荷待ち・荷役時間は、合計で3時間。岸田首相の下にある「物流の革新に関する関係閣僚会議」(2023年6月開催)では、この荷待ち・荷役時間を2030年までに3時間から2時間以内に短縮し、さらに1時間以内とすることが努力目標としてガイドラインに定められました。
https://trafficnews.jp/post/131077
おそらくは、AIを使ったプロセス管理、DX化を駆使した様々な局面での自動化がセットになる。事実、大手はこうした動きを積極的に進めている。キーワードにAIとDXが出てくるのは明らかである以上、政府がこれを後押しするべきであろう。
■他者に押しつける企業の監視
自分の会社であれば自分自身で解決するのがまっとうだが、それができないと分かると他者にリスクを押しつけるビジネスには走りがちである。ウーバーイーツの労働組合問題やヤマトの配達員の切り捨て、偽装フリーランスなどと言うキーワードなどはその証左となるだろう。
したがって、政府もそうであろうが社会も監視の目を無くしてはならないだろう。
下記の様な事件が最後となるようにして欲しいと願う。
○発足から半年の「トラックGメン」が初めての「勧告」実施! 公表されたのは「ヤマト運輸」と「王子マテリア」
2024年2月11日
勧告の対象となったのは元請運送事業者の「ヤマト運輸」と荷主企業の「王子マテリア」。国交省は、勧告・要請の対象となった事業者についてはGメンによるフォローアップを継続し、改善が図られなければ更なる法的措置の実施を含め厳正に対処するとしている。
○下請法違反、サンデンに勧告 金型保管料負担せず―公取委
2024年02月28日
自動車エアコンメーカーで東証スタンダード上場の「サンデン」(群馬県伊勢崎市)が、下請け業者に無償で金型を保管させ、業者の利益を侵害したとして、公正取引委員会は28日、下請法違反で保管料相当額の支払いや再発防止などを勧告したと発表した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024022800772&g=soc
○大王製紙グループの物流会社に勧告 下請業者に再委託を要請…公取
2024.02.21
運送事業の売上増を目的に、正当な理由もなく下請業者に自社サービスの利用を要請したとして、公正取引委員会は2月21日、大王製紙グループのダイオーロジスティクス(愛媛県四国中央市)に対し、下請法違反により再発防止体制の構築などを勧告したと発表した。
https://www.tsuhannews.jp/shopblogs/detail/72925
以上
(2024/03/02)