世間に転がる意味不明:どうでも良いのかもしれないが不穏だなぁ(トランプ、香港、パキスタンとトルコ)

「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪をひく」というのは昭和の頃の日本とアメリカの関係を表現したものである。今はもっとたちが悪い。世界で起きていることは瞬時に伝搬して経済に混乱を引き起こす。今は落ち着いているとはいえウクライナ侵攻はサプライチェーンに混乱をもたらし、中国の景気の悪化は資金を日本に移動させ、見た目の株価高騰を招いている。安定しない世界経済は不穏の種を抱えている。

■もしドラ

アメリカ大統領選は「トランプ」対「バイデン」という構図ができており、一部報道ではトランプが優勢とも伝えられている。もしドラの懸念事項としてはアジェンダ47というトラアンプの公約集がある。

○「もしトラ」に備える~トランプ前大統領の公約集の中身とは
2024年3月8日

通商政策では、ほとんどの外国製品を対象にした「普遍的基本関税」の導入や、中国の最恵国待遇の撤廃など、関税引き上げや対中政策が盛り込まれています。

次に、産業政策では、自動車産業の救済、パリ協定からの再離脱、低コストのエネルギーと電力の提供、自動車の排ガス規制の撤廃、石油などの生産者への減税など、国内の自動車産業やエネルギー産業を保護する方針を打ち出しています。また、外交政策については、ウクライナ紛争の停止、ウクライナ向け備蓄品費用の欧州への払い戻し請求など、米国第一の外交政策の復活を主張しています。

https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2024/03/irepo240308/

前回大統領時には中国への依存の完全排除を掲げており、今回もこれを継続すると考えられている。

一方中国は経済面で火種を抱えており、特に不動産市場の毀損は全人代で掲げているGDP5%も危うくしそうな雰囲気である。最新の不動産市場に関するニュースも芳しくない。

○中国不動産開発の碧桂園、通期決算の発表延期-株式は売買停止へ
2024年3月28日

碧桂園に対しては債権者が事業清算を香港の裁判所に申し立てており、決算発表の遅延は同社の危機が新たな段階に入りつつあることを示唆する。わずか1年前には同社は生き残ると多くがみていたが、昨年10月にドル建て債をデフォルト(債務不履行)し、市場が動揺。今月には初めて人民元建て社債の利払いを履行できなかった。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-28/SB27AMT1UM0W00

中国の景気減速は進出している企業にも悪影響を及ぼす。

○グッチの衝撃、中国での販売急減-高級品業界で消費減速の影響顕在化
2024年3月25日

中国での消費減速に対する懸念がこの1年の大半、高級品業界を悩ませてきた。先週はファッションブランド最大手の一角、グッチが問題の大きさを突き付けられた。

他の高級ブランドにも中国での消費減速の影響は表れ始めている。スイスの高級腕時計は2月に輸出が減少。中国本土向けは前年同月比25%、香港向けは同19%それぞれ減った。アナリストの間では、中国での高級品需要は年内に一段と冷え込むと予想されている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-24/SAUTIMT0G1KW00

もしドラがよりいっそうの中国の景気減速を招きかねない。

■香港を取り巻く不穏な空気

こうした状況に中で中国政府は外国企業の投資を促しているが、有効な経済対策を打ち出せていないという評価に加え、いわゆる反スパイ法の存在はチャイナプラスワンどころではなく中国以外の選択肢を考え始めている企業が増えているとも聞く。

それに拍車をかけるように香港の情勢も怪しくなっている。

○香港で「国家安全条例」23日に施行へ 企業活動などに影響懸念
2024年3月22日

香港では、スパイ行為など国家の安全を脅かす行為を取り締まる「国家安全条例」が、23日に施行されます。条例をめぐっては、犯罪行為の定義が広くあいまいだという指摘があり、企業活動などへの影響が懸念されています。

香港の「国家安全条例」は、2020年に施行された「香港国家安全維持法」を補完するもので、
▽「国家機密」を盗むことやスパイ行為
▽反乱の扇動
▽外国勢力による干渉
などを犯罪として規定し、違反すれば最高で終身刑を科すとしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240322/k10014399461000.html

かつては金融センターの中心としての評価を不動のものとしていたが、それもどうも怪しくなっている。

○「香港は終わった」フィナンシャル・タイムズのコラムに香港政界が震撼した切ない事情
2024.3.28

1980年代後半に初めて香港に降り立ったときのことが、忘れられない。旧カイタック空港での急降下には仰天させられたにもかかわらず、すぐにわたしはここのビジネス界の並外れたパワーに魅了された。当時の香港人たちはビジョンも戦略も持っていた。中国は台頭し始めたばかりであり、香港は世界最大の発展の軌跡において大きな受益者という絶好の立場にあった。そして、それは人々が予想した以上に素晴らしい成果をもたらした。それが、今は終わってしまった。

https://diamond.jp/articles/-/341099

経済を活性化させる拠点としての香港が機能しなくなれば、結果として中国の政策も代替手段を考えることになるが、経験的にろくなことをするとは思えない。

■より複雑なことを招きそうなアメリカ大統領選

先の予備選の結果、対抗馬となるヘイリー氏が撤退したが、それでは共和党が一枚岩かと云えばそうでもない。何人かの議員が被支持を表明しているからだ。

○ペンス前副大統領、トランプ氏不支持を表明 「彼と深刻な相違」
2024/3/16

ペンス氏は「全く驚きではないだろうが、今年の選挙でトランプ氏を支持することはない。我々の政権時代の業績には非常に誇りを持っているが、多くの問題で彼とは深刻な相違がある」と説明した。

https://mainichi.jp/articles/20240316/k00/00m/030/204000c

○米共和党マカウスキ上院議員、トランプ氏不支持を表明
2024年3月26日

米共和党中道派のマカウスキ上院議員(アラスカ州)は今年の大統領選挙でトランプ前大統領を支持できないと表明した。無所属になる可能性も排除しなかった。CNNが24日、インタビューを伝えた。
「共和党として支持できる候補がいればいいのだが、トランプ氏を支持することは絶対にできない」と断言した。共和党にとどまるかどうかは明言しなかった。

https://jp.reuters.com/world/us/3I5C7XF7TNIPRBJ5GR5KHCC4DU-2024-03-26/

こうした動きはバイデンしに標が流れるかと云えばそうではなく、いわゆる無所属の候補者が登場することを後押しする可能性もある。

これは、結局その時になってみなければ外交政策が決定されないということで有り予測ができない事態が引き起こされると云うことである。

■静かなる財政破綻と無茶な金融政策

○パキスタン、経済破綻でIMFの長期支援は不可避=首相
2024年3月22日

パキスタンのシャリフ首相は21日、イスラマバードで開かれた会合で、同国の経済は破綻同然で、国際通貨基金(IMF)による長期的な支援は不可避との見解を示した。

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/UBMFWLTA7RKIDLA6RIVP4KEEDQ-2024-03-22/

パキスタンはインドと領有権で紛争している地域だったと記憶している。そうした地域の不安定さは何をもたらすか分からないので不安である。

中国の海洋進出も地政学的リスクを助長させかねない。

○モルディブ、中国が軍支援 インド離れ加速
2024年3月6日

インド洋の島国モルディブは6日までに、中国から軍事援助を受けることで両国が合意したと発表した。昨年11月に就任したムイズ大統領は伝統的に関係が深いインドへの依存を低減させる方針で、中国への傾斜がさらに強まった。インド太平洋地域での中国の影響力拡大に、日米やインドは警戒感を強めそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR068RI0W4A300C2000000/

ウクライナ/ロシアの問題ではトルコは重要な役割をもているとしたら経済的な不安定さは望ましくないが、これも怪しい。

○トルコ中銀、政策金利年50%に引き上げ インフレ対策で
2024年3月21日

ルコ中央銀行は21日、金融政策決定会合を開き、主要政策金利の一週間物レポ金利を5%引き上げ、年50%にすると決めた。利上げは地方選後の4月以降になるとの市場予想に対し、前倒しの対応でインフレの抑制を図った。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR218PQ0R20C24A3000000/

具体的に何か事件が起きているわけではないが、どうしても不穏な空気を感じてしまう。
杞憂であることを祈る。

(2024/03/29)