初対面で挨拶を交わし会話をするというのは、そこそこ神経を使う。新たなチームとして見知らぬ同士が招集される場面を考えてみると、彼らはどんな人物であろうかと伺うことになる。こうした状況は、それなりに発生する。
新たな新入社員として入社したときのことを考えてみよう。同期といえども初対面であろう。上司や先輩も見知らぬ人々である。その時に、人を観察する教科書があればと願うのであれば最適な一冊がある。
原題「reading people」は邦題「この人はなぜ自分の話ばかりするのか: こっそり他人の正体を読む法則 2000/3/18 ジョーエレン ディミトリアス (著), Jo‐Ellan Dimitrius (原名), 冨田 香里 (翻訳)」として2000年に出版されている。すでに新刊を手に入れることは難しいので図書館で手に取ってみて欲しい。
著者は「陪審員の選定のコンサルタント」をしており、その“陪審員の選定”のコツなどを解説している。どのような場面で何を注意して観察すべきかが話の骨格になる。参考までに章立てを以下の示す。
第一章 「人を読む」には準備が大切
- あなたの心構えの見直しから
第二章 行動パターンの発見
- 木だけでなく森を見るために
第三章 「第一印象」を読む
- 外見とボディランゲージから分かること
第四章 「環境」から人を読む
- 周囲にあるもの全てに注意しよう
第五章 内容ではなく話し方が大切
- 言葉以上のものを聞き取るために
第六章 質問の仕方を考える
- そして答えにきちんと耳を傾けよう
第七章 なぜ、そういう言い方をするのか
-コミュニケーションの背景
第八章 言っていることより、していることを見よう
-本性があらわれる「態度」に注目
第九章 見かけ通りではないこともある
-例外を見つけよう
第十章 内なる声に耳を傾ける
-直感力も見逃せない
第十一章 自分を鏡で見る
-他人からの読まれ方を読む
応用編 素早く決断するために
人を読む、人から読まれる双方の立場の人が見知らぬ相手と対峙するときの心構えを説いている。採用面接での面接官も応募者にも役に立つだろう。
もっとも、だからできるとは限らない。
冒頭で出てくる「思いやりの硬度」は、長い人生観で培われるものでもある。一夜漬けでの対応はできないことは念頭に置くことを進める。
「reading people」は訓練のたまものである。
(2024/04/06)