■手段と目的の混在
会議を開くことは目的ではない、人々が集まり何かを議論して「決定」をし、それに「合意」が形成されることが目的である。従って、資料を読むだけの会議に「連絡」以上の機能が無ければ「会議をする」ことが目的となってしまう。手段がいつの間にか目的化してしまう例は数多くある。
これと同じ事が「内部監査」で起きてしまっているケースがある。
その端的な例が「内部監査のチェックリスト」を使った内部監査であろう。
この「内部監査のチェックリスト」を使った内部監査は、“問題ない”という○を付した書類を作ることが目的となってしまい、会社にとって何の価値も生み出さない状況に陥ってしまっている。
さて、どうしたらよいのか。
その方向性を考えてみたい。
■規格の再確認
(監査の定義)
監査という言葉の定義はISO19001に記載されており下記のとおりである。
3.1 監査(audit)
監査基準(3.7)が満たされている程度を判定するために,客観的証拠(3.8)を収集し,それを客観的に評価するための,体系的で,独立し,文書化したプロセス。監査の目的は「監査基準が満たされている程度を判定」することであることが明示されている。したがって、監査の一つ一つの活動は「個別の監査基準を満たしているか」の判断であり、その意味では規格項番と対比した内部監査のチェックリストは合理的である。
しかし、これは上で述べたように手段の目的化を起こす要因にもなる。なぜならば、形式的にチェックリストを埋めれば「監査基準が満たされている程度を判定」出来る以上、その結果が及ぼす”目的”を見失っても分からないからである。
では、その目的とは何か。これを確認するためにISO9001:2015を確認しよう。すなわち、
9.2 内部監査
9.2.1 組織は,品質マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。a) 次の事項に適合している。
1) 品質マネジメントシステムに関して,組織自体が規定した要求事項
2) この規格の要求事項
b) 有効に実施され,維持されている。
したがって、「適合性」と「有効性」に関する情報提供が目的であり、それが出来ないのであれば監査の意味は無いことになる。
しかし、それはどのような監査なのであろうか?
■APG文書
そのヒントになる文書としてIAFが発行している「ISO 9001審査実務グループ
指針:付加価値」に見ることが出来る。
その文書の冒頭では
“付加価値”とは何を意味するのか?
品質マネジメントシステム(QMS)審査では、“価値の付加”が大切だという話題が非常に多いが、それが真に意味するところは何なのだろうか。
審査の完全性を危うくすることなく価値を付加できるのだろうか、又はコンサルティングをせずして価値を付加できるのだろうか。原則として、すべての審査に価値を付加するべきではあるが、これは常に真ではない。
これに続いて
付加価値のないアプローチは、“我々はISO 9000 認証を取得するにはどの手順を書かなければならないのだろうか?”と問う。
“価値を付加する”アプローチは、“我々のISO 9001 をもとにしたQMS をどのように使えば我々の事業を改善するために役に立たせられるのか?”という問いを投げかける。
とある。
先ほどの問いである、「適合性」と「有効性」に関する情報提供ができる審査の一つに視点として“付加価値”のある審査という枠組みが考えられる。
■組織の状況と審査の方向性
先の文書では
“価値を付加する”ためのアプローチは、ISO 9001 の要求事項に対しての組織の品質文化の成熟度とQMS の成熟度の関数で表すことができそうだ。
として、下記の区分が記述されている。
ゾーン1:(“品質文化”の成熟度が低い); 未成熟なQMS、ISO 9001 に不適合)
ゾーン2:(成熟した“品質文化”;未成熟なQMS、ISO 9001 に不適合)
ゾーン3:(成熟度が低い“品質文化”;成熟したQMS、ISO 9001 に適合)
ゾーン4: (成熟した“品質文化”;成熟したQMS、ISO 9001 に適合)
品質文化の成熟度は「QMSの有効性の程度」、QMSの成熟度は「QMSの適合性の程度」と考える事とも対比できる、すなわち、
ゾーン1:(“品質文化”の成熟度が低い); 未成熟なQMS、ISO 9001 に不適合)
まだQMSへの対応を始めたばかりであり、不適合と指摘される事項が多い。
対応は、いわゆる「品質管理責任者」だけが行ない、各部門の協力も得られていない。
ゾーン2:(成熟した“品質文化”;未成熟なQMS、ISO 9001 に不適合)
社長のリーダーシップが発揮され、全社的な活動になりつつあるものの、QMSに関しての知識やノウハウが乏しく、マネジメントシステムの不整合がまだ解消されていない。
ゾーン3:(成熟度が低い“品質文化”;成熟したQMS、ISO 9001 に適合)
QMSの浸透が進み表面的には不適合などが無い状態であるが、部分最適になっており、組織全体のパフォーマンス向上につながっていない。不適合製品などは一定程度発生し、つど再発防止に取り組んでいる。経営者のリーダーシップの発揮が求められる状態。
ゾーン4: (成熟した“品質文化”;成熟したQMS、ISO 9001 に適合)
品質のための活動は全社的な活動となっており、不適合製品も問題になるほどではない程度に抑えられている。課題としては組織の将来に向けての成長戦略の確率と展開である。
こうした視点で、各ゾーンでの監査に対する期待を記述しているAPG文書は参考になる。
すこし長いが引用する。
■ゾーン1:(“品質文化”の成熟度が低い; 未成熟なQMS、ISO 9001 に不適
合)
(引用)
ほとんど、又はまったく“品質文化”のない、また、QMS がISO 9001 に適合しない組織にとっては、審査がどのようにして価値を付加するかの期待は、品質マネジメントシステムを“どのようにして”実施するのか、及び/又は指摘された不適合をどのようにして解決するのかについての助言がもらいたい、ということを意味するのかもれしれない。
ここでは、審査員は、十分注意をしなければならない。なぜなら、第三者審査では、そのような助言は、間違いなく利害の衝突を引き起こし、認証機関の認定に関するISO/IEC17021 の要求事項に違反する可能性があるからである。しかしながら、審査員ができることもある。それは、不適合に遭遇したときはいつでも、規格が何を要求しているか、なぜ不適合が指摘されたかを被審査者に明確に理解させることを確実にすることである。組織が、これらの不適合解決により、パフォーマンスが改善されると認識できれば、認証プロセスを信じ、それにコミットする可能性が高くなる。
しかし、確認されたすべての不適合を報告することが大事である。それにより、組織が、ISO 9001 の要求事項を満足するためには何をする必要があるのかを明確に理解するからだ。
審査の結果、認証が得られなかった場合、それに全く満足できない組織もあるだろうが、その組織の顧客(その組織の製品を受け取る顧客)は、彼らの視点からすれば“価値のある”審査だときっと考えるであろう。認証機関の視点からは、検出された不適合のすべては報告しないこと、及び/又は品質マネジメントシステムの実施方法についての指針を提供することは、審査という職業又は認証プロセスの信頼性に対して価値を全く付加しない。
上記の議論は、主に第三者(認証)審査に関わるものであることを認識しなければならない。第二者(供給者評価)審査が、組織にその品質マネジメントシステムの実施方法を提供することにより“価値を付加”すべきではない、という理由はない。実際、このような状況では、そのような指導(正しい根拠によるものであれば)は間違いなく組織及びその顧客にとって有益なはずである。
(コメント)
上記でも指摘したが、こうした組織では
・まだQMSへの対応を始めたばかりであり、不適合と指摘される事項が多い。
・対応は、いわゆる「品質管理責任者」だけが行ない、各部門の協力も得られていない。
と言うことが想定される。
審査になれているわけでもなく、まだ右往左往しているだろう。
QMSの認証を受けたばかりの時にはコンサルタントが用意した内部監査のチェックリストを言われるがままに運用していることが多い。まだ、規格の求めているものを理解しているわけではない。こうした組織では、
①目のつくものをのべつまくなしに不適合にすることは避けた方が良い。まずは解決してほしいものを優先順をつけて2,3を指摘する。例えば、不適合製品を出し続けていて再発防止が進んでいなければ、「原因」の捉え方や、人ではなくシステムの改善を促すように10.2項を、記録がきちんとと取られていないのであれば、8.5項や7.5項を中心に指摘する。
②規格の説明を受けてていても精読していない恐れが強い。インタビューの中で規格を引用して、一緒に規格を読み合わせて、どのように解釈をしているかを聞き出す。正しい正しくないと言うことではなく、自覚を持って規格を読みこなすことを促す。
③こうしたことを薦める中で、「全社展開」や「品質管理の高度化」を進めるための意見交換を行なう。審査員は「指導」をしてはならないので注意深く対話すること
に配慮することが望ましい。
■ゾーン2: (成熟した“品質文化”;未成熟なQMS、ISO 9001 に不適合)
(引用)
成熟した“品質文化”があるが、QMS は未成熟であり、ISO 9001 要求事項に適合しない組織にとっては、審査がどのようにして価値を付加するかの根本的な期待は、ゾーン1のそれ(根本的な期待)と多分似ているだろう。しかし、組織は、審査員にずっと大きな期待を抱く可能性が高い。
価値を付加するためには、審査員は、組織の既存の慣行が、ISO 9001 の要求事項を満たしているその方法を理解しなければならない。言い換えれば、審査員は組織のプロセスをISO 9001 の脈絡の中で理解しなければならないし、例えば、組織が、そのプロセスや文書体系を規格の条項構造に整合させるようにすることを押しつけてはならない。
例えば、組織は、ビジネスエクセレンスモデル、又は、Hoshin Kanri(方針管理)のような総合的品質管理ツール、品質機能展開、故障モード及び効果分析、“シックスシグマ”手法、5S プログラム、体系的問題解決法、QCサークルおよびその他に、そのマネジメントシステムの基礎をおいているかもしれない。審査プロセスにおいて価値を付加するためには、審査員は、少なくとも、組織の方法論を知っているのが望まれるし、それら(組織の方法論)が、その特定の組織にとって、ISO 9001 の要求事項を満足させるにおいてどの程度効果があるのかを理解する必要がある。
また、審査員は、組織の一見高度な洗練されたやり方に“おどおどさせられる”ことがないことが大事である。組織が、そのツールを全体の総合品質哲学の一部として使用している可能性があるが、そのツールが使用されている方法にはまだギャップがあるかもしれない。したがって、審査員は、システムの問題を明確にし、適切な不適合を指摘できなければならない。このような状況では、審査員は杓子定規だ、さらには官僚的だとさえ非難されるかもしれないが、だからこそ、指摘する不適合の関連性を実証できる(示して見せる)ことが重要なのである。
(コメント)
こうした組織は
・社長のリーダーシップが発揮され、全社的な活動になりつつあるものの、QMSに関しての知識やノウハウが乏しく、マネジメントシステムの不整合がまだ解消されていない。
と言う状態が想定される。
こうした組織は組織としてのガバナンスが確立されており、戦略的な経営活動が行われている。当然ながらISO9001にあわせたマネジメントシステムなどを構築しているわけではなく、会社としてのベストプラクティスを実践している。
とはいえ、自社独自のマネジメントシステムとなっている恐れもあり、何らかのゆがみが出ている恐れもある。例えば、上意下達が徹底され現場で萎縮してしまい、積極的な改善活動が進まない、あるいは形式的な会議しか開催できず、組織能力を上げるための意思疎通が出来ない、反対に自由裁量が過ぎて、部門毎の規律が不統一になり効率性が犠牲になる、あるいは人的交流が出来ないなどが考えられる。目に見えないリスクなどに配慮が必要である。
審査に当たっては、ISO9001:2015という規格を押しつけることは避けると伴に、組織のリスクに目を配り、ISO9001:2015の意図を理解してもらう努力が求められる。形式的な審査は避けるべきである。
審査の方向性としては経営と事業とQMSの統合であろう。組織の戦略がISO9001:2015により、より高度化されるきっかけを作ることである。簡単ではない。
■ゾーン3: (成熟度が低い“品質文化”;成熟したQMS、ISO 9001 に適合)
(引用)
ISO 9000 シリーズの規格に対してある有意な期間認証を受けてきた組織は、ISO 9001 への高度な水準の適合を実証できるかもれしれない。しかし、同時に、組織全体を通して“品質文化”を真に実施してはこなかったこともあり得る。通常、QMS は、組織の自らのニーズや期待にもとづく場合より、顧客の圧力の下で実施してきたかもしれないし、規格の要求事項を中心に構築されたかもしれない。その結果、QMS は、組織が冗長性と非効率を生み出しながら、その定常業務を実施する方法に対応して運用しているかもしれない。
このような状況の中で価値を付加するために、審査員の最も重要な目標は、組織が、そのISO 9000 準拠の品質マネジメントシステムを構築するための、そのシステムを日々の運営と統合するための、触媒の役割を果たすことが望まれる。第三者認証審査員は、ISO 9001 の要求事項を満たす方法の助言はできないが、組織に、規格を越えてその先に行くことを奨励し、刺激を与える(ただし要求はしない)ことは、容認されるし、それが本当に良い審査のやり方である。審査員の質問(及びその質問の仕方)は、QMS がどのようにしてより効率を高め、役に立つものになり得るかについて、組織に貴重な見識を提供できる。審査員による“改善の機会”の特定には、QMSの有効性を向上させる方法が含まれることが望まれる。しかし、また、効率改善に関する機会について述べてもよい。
(コメント)
組織の状態としては
・QMSの浸透が進み表面的には不適合などが無い状態であるが、部分最適になっており、組織全体のパフォーマンス向上につながっていない。不適合製品などは一定程度発生し、つど再発防止に取り組んでいる。経営者のリーダーシップの発揮が求められる状態。
と言う状態が想定できるがそうでないこともありうる。
特定の部署(例えば品質管理部)がすべてのQMSの管理をしているかもしれない。表面的には不適合も無く、いわゆる認証制度としては問題ない状態であるとしても、各部門は消極的な関与しかしていないこともある。
典型的には、タスクや業務内容のスケジュール実施を「品質目標」として、通常業務をこなせばスケジュールが確保できる事を俎上にあげているかもしれない。これでは、組織能力を向上し高い付加価値を持った製品サービスへの展開はむずかしい。
体系的なISO9001:2015という規格の考え方を浸透させる必要がある。
これまでの経験では、箇条4以前の、リスクに基づく考え方が浸透していないケースが多い。プロセスアプローチ、PDCAなども勝ってない解釈をしており、品質マネジメントの原則なども浸透していない。
そのため、規格要求事項を表面的には満たしているとしても、項目間の繋がりなども無視されている。組織全体としての効率性や有効性に目が向いていない恐れがある。
こうしたことを特定の部署の責任として負担をかけることは望ましくない。経営者審査の中で事業とQMSの統合について意見交換を進めることが望ましい。
■ゾーン4: (成熟した“品質文化”;成熟したQMS、ISO 9001 に適合)
(引用)
成熟した“品質文化”のある組織で、有意な期間ISO 9000 シリーズの規格のどれかの規格に認証を受けていた組織の場合は、審査がどのようにして価値を付加するかの期待は、審査員にとってもっとも挑戦的なものであるだろう。この種の組織でのよくある不満は、審査員による“定期サーベイランス訪問”は無用であり、組織の目からはほとんど付加価値がない、というものである。
このような場合は、トップマネジメントが、認証プロセスの大切な顧客になる。したがって、審査員が、組織の戦略目標を明確に理解すること、及び、QMS 審査をその状況の中に置くことができること、が重要となる。審査員は、トップマネジメントとの詳細にわたる議論に時間を割く必要があり、QMS に対するかれらの期待を明確にし、その期待を審査基準に組み込む必要がある。
(コメント)
ほぼほぼ完成された組織である。
・品質のための活動は全社的な活動となっており、不適合製品も問題になるほどではない程度に抑えられている。課題としては組織の将来に向けての成長戦略の確立と展開である。
という評価が出来る。
こうした組織に対しては規格要求事項の最初の書き出しが重要な意味を持ってくる。すなわち
0.1 一般
品質マネジメントシステムの採用は,パフォーマンス全体を改善し,持続可能な発展への取組みのための安定した基盤を提供するのに役立ち得る,組織の戦略上の決定である。
と言う文言である。
審査員は、組織の持つ経営戦略に対する理解力が必要になる。その上で素早く、“未来”の組織乗るべき姿に向かうためのISO9001:2015の役割を提示しなくてはならない。適合性審査当然のこととして、事業の成長を促す有効性審査も必要になる。
ありきたりの審査ではクレームがつく。
もっとも、こうした審査を誰が出来るのだろうという思いもある。
私には無理だ。
■審査の指針
こうした審査を遂行するための指針はあるのだろうか。一応は同APG文書二は下記の記載がある。
(引用)
審査員が価値を付加するための幾つかの秘訣
1) 審査計画の立案:
a. 被審査者の期待/企業文化を理解する
b. 対処するべき具体的問題はあるか(以前の審査のアウトプット)
c. 産業分野/ 組織に特有のリスク分析
d. 法規制要求事項の事前評価
e. 審査目的を達成するための適切な審査チームの選定
f. 十分な時間配分
2) 審査テクニック:
a. 手順よりも、プロセスに重点を置く。組織がそのプロセスを計画し、管理するためにはある程度の文書化された手順、作業指示書、チェックリストなどは必要かもしれないが、推進力はプロセスパフォーマンスであるのが望まれる。
b. 記録より、結果に、重点を置く。同様に、組織がそのプロセスが効果的である(計画した結果を生み出している)ことの客観的証拠を提供するためにある種の記録は、必要かもれしれないが、価値を付加するためには、審査員は、それ以外の形の証拠を認識し、また、信用する必要がある。
c. 品質マネジメント7 原則を思い出す。
d. 組織のプロセスの有効性を評価するために“Plan-Do-Check-Act”アプローチを使う。
i. プロセスは計画されているか。
ii. 計画に従って実行されているか。
iii. 計画した結果は達成されているか。
iv. 改善の機会は明確にされ、実施されているか。
— 不適合を修正することにより
— 問題の根本原因を明確にし、是正処置を取ることにより
— トレンド及び予防処置のニーズを明確にすることにより
— 技術革新により
e. ISO 9001 の個別条項に焦点を当てるのではなく、審査を通した証拠の収集のための“全体論的”アプローチを採用する。
3) 分析及び決定
a. 指摘事項を全体視野に入れ考えること。(リスクに基づく考え方/“常識”)
b. 指摘事項を組織が適合製品を提供する能力に関する効果に結びつけること。(ISO9001 の1 項を参照)
4) 報告及びフォローアップ
a. 審査指摘事項の理に適った報告
i. 以下の内容によっては異なるアプローチが要求される
· 組織の成熟度(ゾーン1, 2, 3 及び4)
· 組織のQMS に対する信頼の水準
· 関連するリスク
· 被審査者の態度及び審査プロセスへのコミットメント
o 能動的
o 受動的
ii.すべての文化的側面が考慮されることを確実にする。
iii.適切なら、プラスの指摘事項を強調する。
iv.マイナスの指摘事項に対応して組織が提案した解決策は役に立つかを考える。
b. 報告書は客観的で、正しい“読者”に焦点を当てていることが必要である。(トップマネジメントはおそらく管理責任者とは違う期待を持っている。)
(コメント)
上記の指針は、毒にも薬にもならない。審査を続ける内に身につくような当たり前すぎる内容だろう。もし、付加価値の高い審査を心がけるなら、経営マネジメントに関する造形を含める必要がある。
戦略論はもちろんのこと、マーケティング戦略や財務や人事と言った基幹プロセスへの理解などは必須である。またシステム思考に関する知識も希望を言えば保持することが望ましい。
漫然と工場で品質管理をしていましたというレベルでは付加価値の高い審査は出来ない。
■APG文書に関する補足(おまけ)
ISO9001審査実務グループ(以下APG)は品質マネジメントシステムのエキスパートや、審査員、実践している方々、ISO TC176(品質マネジメント/品質保証技術委員会)、IAFメンバーから構成されているグループで、品質マネジメントシステムの審査についてアイデアや例示、説明を含め、多くのガイダンス文書やプレゼンテーションを展開しています。
と言う説明と伴に、その成果である文書類が公開されている。
その中に「APG1-01 付加価値」(https://jacb.jp/wp-content/uploads/files/pdf/apg/APG1-01.pdf)が含まれている。
2024/06/14