■組織デザイン
従来型の「メンバーシップ型人事」では事業継続に限界があると言う理由で「ジョブ型人事」に移行するのであれば、組織の形態も単純なバリューチェーンで機能分化をさせるのではなく、ジョブが生み出す価値によって組織デザインを変えなければならない。
なぜならば、古くさい組織デザインのままで人を集めたからと言って価値の革新は望めないからだ。
■騒がれたジョブ型雇用の片鱗
2023年から2024年にかけて、大企業では「ジョブ型雇用」が話題になった。かつての「目標管理制度」、MBOのようなはやりだと思うが、その実効性にはうさんくささがあったので話半分程度に見ていた。
さて、その後どうなったのかなと思っていたら妙な記事を見つけた。
○ジョブ型人事の導入加速 職責・役割を評価して報酬決定
2024年6月24日
成長戦略を実現するために必要な組織と、職務記述書と職務グレードに沿って設計した各ジョブに人材を配置する。その上で報酬基準額の設定方法について、従前の保有能力や経験年数などの人材特性を起点とする方式から、割り当てたジョブの職責の大きさを起点とする方式に転換。採用競争力の強化を念頭に置いて設定した基準額に、各ジョブでの成果と期待される行動指針に照らし合わせて、評価と実際の報酬額を決定する。
年齢や年次に関係なく、社員が担う役割に応じて等級を決める「ミッショングレード制度」を刷新し、人材活用やチームメンバーの育成、専門性をより重視して評価した上で、新しい役割に適した報酬テーブルを再設計している。
ミッショングレード制度の改定では、ライフマネジメント職についてマネジメント対象を最大15人前後へと拡大し、組織運営に集中してもらう。他方で、プロフェッショナル職はプロジェクト推進のマネジメントの権限を拡大し、メンバーのアサインや工数管理、人材育成の役割を担う。また一般職層に、職責の大きい現場リーダーとしてチーフ職も新設した。
詳細は記事の中での情報源しかなく分かりづらいが、一言で言えば何も変わらない。
こうした複線化やいわゆるグレードという考え方は従来からあり、それが細かくなろうが本質的には変わらない。
製品・サービスの価値とは何か。それの妥当性を考えるのは誰か。プロジェクトの舵取りは誰がするのか。それを支える機構はどのようなものかを明らかにした上で人材定義である。
それを抜きにして、形ばかりの職務定義をしたところで何も変わらない。この記事で見るないようにデジャブ-感があるのは私だけなのだろうか。
2024/07/09