世間に転がる意味不明:地域交通の問題点(少子高齢化と路線廃止)
ちょっと前の記事ではあるが、あまり進展は見られないなぁという感想と、おそらくはどの地方でも普遍的な問題ではないのかなと思う。2024年問題やライドシェアの問題の隠れているが気に留めた方が良いと思うので投稿。
■地方の鉄道の衰退の兆し
今から50年ほど前に、バックパッカーよろしく東北を旅したことがある。時々鉄道に乗り景色を楽しむ。その時に、地元の人と話をしていたら、「だんだん電車に乗ることが少なくなった」「やはり自由に移動できる自動車の方が便利」という事を聞き、そんなものかなぁと思ったことを思い出した。
当時から、都心のように分単位で電車が走るわけではなく、1時間に1,2本だった気がする。地方を旅行していても、席はガラガラであり、「空気」を運んでいる感はあった。
過日、大船渡を訪れた。大船渡にはBRTという、かつての鉄道路線を軌道とするバスが運行されているが。一日に何便もある訳ではなく利便性は低い。利用客もそれほど多いわけではない。
利用客が減るので減便し、減便するから利用客が減るのかが分からない。
少子高齢化は20年以上前から始まっており、今日から突然人がいなくなるわけではない。
利用客数が減っているのは当然であり、減便がさらにそれを加速させているのだろう。
テレビ番組で、地方の駅での時刻表が映し出されることがあるが、一日に数本の便の路線もある。単に収益性や利便性だけで考えると存続意義はない。
なぜなら利用する人がいないのだから。
■試金石となるのか
地方の路線の存廃問題は放っておいても解決するわけでは無いと言うことだろうか。国政が関与しだしたらしい。
○全国初の「再構築協議会」設置へ JR芸備線「存続かバス転換」議論開始へJR西日本が要請
2023.10.03
10月に地域公共交通活性化再生法が改正され、「ローカル鉄道の再構築に関する仕組みの創設・拡充」がおこなわれました。今回、その「再構築の仕組み」の第1弾がさっそく適用された形です。
「再構築協議会」では、利便性・持続可能性の向上を図る方策を協議し、実証事業を行ったあと、最終的に「鉄道輸送の維持・高度化」「バス等への転換」のいずれかを選択し、「再構築方針」を作成します。
ここで行われる実証事業も、「地域公共交通再構築調査事業」として国が半額を負担します。
「再構築方針」が立てられると、鉄道維持ならそのため「鉄道事業再構築事業」により国の補助金が自治体へあてられます。バス転換なら「地域公共交通利便増進事業」として国の補助金があてられます。
https://trafficnews.jp/post/128501
関連するニュースソースを見ると、JR側は「儲からないので辞めた」、地域側は「他の路線で儲けているのだからそこから補てんしろ」という無理筋を言ってくるようで、らちがあかないので再構築協議会と言う手段に打ってでたらしい。
■丸投げになりやすいのでモラルハザードが心配
○JR芸備線、全国初の再構築協議会 存廃3年以内に結論
2024年3月26日
国土交通省中国運輸局は26日、広島・岡山両県を走るJR芸備線の一部区間の存廃を議論する「再構築協議会」の初会合を広島市内で開いた。協議会の設置は全国初で、原則3年以内に存続かバスなどに転換するかの結論を出す。国の関与で赤字路線の存廃議論が進むかどうかの試金石となる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC25B550V20C24A3000000/
最初に目がついた記事が昨年の10月。そこから初会合が3月末。軽く半年は過ぎている。こんなペースで進むのかと言う懸念もる。
また、どんな議論になっているのかも懸念材料である。
○岡山発 どうなる?芸備線 全国初の再構築協議会
2024年04月03日
協議会では、地域の事情にあった“公共交通のあり方”を探ることになるが、その上でポイントになるのが、実証事業だ。想定されるのは、「鉄道の増便」や「ダイヤ変更」、「駅舎や駅前広場の活用」など。利便性を高めることで、実際に利用者が増えるのか検証する。
https://www.nhk.or.jp/okayama/lreport/article/001/87/
第三者の目から見れば論点がずれている。
増便ができるほど経営資源に余裕がなく、その他の方法で集客したからと云って乗客が増える見込みがあるのかという懸念を払拭するという実験はよいとしても、いずれも博打のような施策であり、誰が責任をとるのかという議論もない。
小手先のことではなく、「街作り」の議論を先に進めるべきである。
エスコンフィールドを手本にしてはどうか。
2024/07/20