未来への手がかり:変質ゆく産業としての運送業(自動運転とドローンと)
■接客がない居酒屋
先日出張先で居酒屋に入った。
この居酒屋では注文はすべてタブレットである。水やおしぼりもタブレットで依頼する。
咳まで案内してくれた人はいるが、店の中を巡回する人もいない。料理を運ぶだけである。
最初は驚いたが悪くない。
お一人様用なのだろうか、一つ一つの料理も量は多くなく、焼き鳥なども一本から注文できる。気兼ねなく頼める。
そういえば以前入った回転寿司の店も、注文はタブレットで配送はレーンで行なわれる。
いずれ精算も、タブレットにQRコードなでできる様にすれば誰とも会わずに食事ができるかもしれない。
味気ないと云えば味気ないが、慣れればこれもありかなとも思う。
何でもかんでも人が担うという時代の終焉はかつてから垣間見えていた。電話交換手などは今はおらず、エレベーターガールも死語になりつつある。
運送業や配達員という職種も変質するかもしれない。
■配送の自動化の兆し
○【移動型宅配サービスの実証実験】自動配送ロボに宅配便ロッカー「PUDOステーション」搭載
2024.09.11
京セラコミュニケーションシステム、ヤマト運輸、Packcity Japanは9月11日、車道を走行する中速・中型無人自動配送ロボットにオープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」を搭載した移動型宅配サービスの実証実験を北海道石狩市にて開始する。多様化する荷物の受け取りニーズに対応した新しい移動型宅配サービスを検証し、効率的な配送サービスの可能性を追求を目指す。
https://netkeizai.com/articles/detail/12388
配送の自動化については、例えば物流倉庫ではすでに自動の配送ロボットが稼働していることは周知のことであろう四、街中のことであれば、すでにアマゾンが実証実験を進めている。(注:あまり有無入っていないようだが)
同様の取り組みはゆうちょなども推し進めている。
いわゆる「ラストワンマイル」をどうするかと云うことはまだ技術的なハードルは高いが、物流倉庫の自動化、トラックの自動化による自動運搬、拠点からユーザーへの配送の自動化が進めば、今の運送会社とは異なる事業体になりうる。無論、ゼロにはならないだろうが「運転手」「配達員」という職種は変貌する。
■自分の支配下で送り届かせる
しかし、こうした都市型配送は道路が整備されていることが前提である。オフロード車でも無い限り山道などは走れないし、舗装もされていない田舎道などは走れないだろう。
ではどんな代替手段が考えられるかと云えばドローンが真っ先に思いつく。すでにテレビ番組で紹介されているように、その性能は数年前とは比較にならない。車輪を使わないので軌道に左右されない。足場が必要ない。ヘリコプターほど離着陸の空間が必要ない。などの利点があり、行政などもその活用に取り組んでいる。
○行政ニーズに対応したドローンの性能について 令和5年4月 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/gijyutu/content/001603641.pdf
この資料では、性能として着陸性能、誘導精度、耐風精度、長距離飛行性能、積載性能、対温性能などに着目して現状の評価と過大を提示している。こうした課題はいずれ解決されるであろう。
もちろん、暴風雨の荒れる天気、霧や雪などの気象上の条件では無理はできないものの、「自動車の運転手」の手を煩わせない輸送手段は狩野であろう。また、ドローンの自動化・半自動化は、拠点までの移動は自動車で、ラストワンマイルはドローンでと言う運用が可能であり、たとえば注文した人が在宅の時にスマフォから指示してドローンが自動的に輸送すると云うことを考えると、配送業の概念が変わるかもしれない。
誰かに依存していたサービスが自分の支配下で行なわれる。
そうした未来が想像できる。
2024/09/15
(その他の参考記事)
○2600台の自走式ロボットが荷物を運搬 アマゾン新設の物流拠点
2023年6月9日
https://www.asahi.com/articles/ASR686VJGR67UDCB016.html
○Amazon、日本で極める翌日配送 自走ロボで速さ追求
2023年7月25日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC148BR0U3A710C2000000/