未来への手がかり:自動運転の向こう側(潮流を読む)
の続編になります。
■自動運転の奔流
2024年問題による人手不足問題は、昨年の暮れの金剛バスの撤退から急にクローズアップされてきた問題でもある。地方でのバス路線は維持が難しくなり減便を余儀なくされてきていると報道が伝えている。
地域の脚としての役割としてタクシーなども重要ではあるが、これはそもそもタクシー会社が存続できない中での議論ではライドシェアも現実解とはならないのは明らかである。手詰まり後思っていたら、ここに来て、「自動運転のバス」の実証実験のニュースを数多く見かけるようになった。
○北海道千歳市で実証実験を開始、無人運転を目指し遠隔から走行中・乗車時の安全を監視
レベル4自動運転バスの安全環境整備へ NTT ComがIOWN・5Gワイド利用の遠隔監視実験
2024年11月19日
今回の実証実験は、千歳市で運行している路線バスと同規模のバスを用いて、運転席に座る運転手が必要に応じて操作する「自動運転レベル2」で実施される。バス停には監視カメラを設置し、乗客の乗り降りの映像を、高速大容量・低遅延の「IOWN APN」で遠隔監視室へ伝送。約50km離れた監視室にタイムラグが少ない映像を送り、運転手や乗務員不在時における“乗車時の安全確認”を検証する。
加えて、走行中には5Gワイドを用いて、車両情報や社内外映像のリアルタイムな遠隔監視も実施する。パケット優先機能を実装した5Gワイドを活用することで、通勤ラッシュ時などでも安定した映像・音声が伝送できることを検証したうえで、無人車両の遠隔管制を行う「自動運転レベル4(無人運転)」の実現に求められる環境整備を目指す。
https://ascii.jp/elem/000/004/235/4235023/
○石垣市で自動運転バスの実証実験がスタート
2024年11月11日
実験は、石垣市やバス会社などが行うもので、離島ターミナルを発着点に旅客船ターミナルを往復、2024年11月16日までの期間中に1日6便が運航されます。人工衛星からのGPSに加え3D化したルート図、搭載されたレーダーやカメラなどが車両を制御し、自動走行を行うということです。
■自動運転のレベル4
自動運転と言っても、運転手はおらず、ヒトが介在しないというものばかりではない。少なくとも、日本ではレベルが設定されており、無許可で運行などはできない。
○自動運転の呼称(国土交通省)
レベル3
特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。ただし、自動運行装置の作動中、自動運行装置が正常に作動しないおそれがある場合においては、運転操作を促す警報が発せられるので、適切に応答しなければならない。自動運行装置(自動運行装置の作動が困難な場合は運転者)レベル4
特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。自動運行装置自動運転車(限定領域)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/report06/file/siryohen_4_jidountenyogo.pdf
地域を限定しないレベル5での自動運転はまだハードルが高く、現実解としての「レベル4」を模索していると思われる。
関連する記事を探索すると下記の様な解説を見かける。
自動運転レベル4とは、特定の条件下で車のすべての操作をシステムが担う、ドライバーレス走行が可能なレベルです。自動運転レベル4の主な特徴は次のとおりです。
・運転が困難な状況に陥った場合、安全な場所に停止するなどの制御までを全てシステムが行う。
・緊急時の対応も自動運転システムが操作を行うので、ドライバー側での操作は一切不要。
・2023年4月1日に施行された改正道路交通法により、過疎地域や高速道路などの特定の条件において、自動運転レベル4が解禁されました。また、2023年5月には福井県永平寺町で国内初の自動運転レベル4の移動サービスが始まりました。
レベル4に向けた実証実験が各地で行なわれており、技術的な裏付けを構築中である。
○ひたちBRT レベル4認可 自動運転、全国最長 年度内運行へ 茨城・日立
2024/11/27
国土交通省関東運輸局は26日、茨城県日立市のバス高速輸送システム「ひたちBRT」に対し、運転手を必要としない自動運転「レベル4」に認可した。対象区間は日立市内の専用道6.1キロで全国最長。運行主体は茨城交通で、同県つくば市内の企業が自動運転システムを開発した。同社によると、小型のバスでレベル4の認可はあるが、中型バスは全国で初めて。本年度中の営業運行開始を目指す。
https://nordot.app/1234268070375031303
○運転手いない自動運転バスが運行 三重・多気町で「レベル4」開始
2024年11月30日
三重県多気町の商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」で29日、運転者がいない「レベル4」の自動運転バスが運行を始めた。6カ所のバス停を経由し、片道約2.1キロのルートを時速20キロ未満で走行する。当面は1台のみだが、今年度内に3台をレベル4で運行する予定。
https://www.asahi.com/articles/ASSCY4FKZSCYONFB008M.html
■侮れないレベル2
レベル2は「車両走行中にステアリングか加減速操作がコンピュータによりアシストされる」という状態であり、運転手が同乗することが前提となる。しかし、運転アシストが高度化され、十分な保険的な機構が整えば、必ずしも「専門職としての」バス運転手は不要となり得る。現実解として「レベル2」を実現し、「レベル4」に移行するという戦略は納得できる。
○無人運転導入へ 自動運転「レベル2」の実証実験始まる 広島県福山市
2024年11月25日
実験は運転手が乗った状態で一部の運転をシステムが担う「レベル2」で行ないます。「レベル4」の無人運転を見すえ、バスには、車両の位置を補正するために路上の特殊な塗料を検知するセンサーなどを備えています。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rcc/1575065?display=1
○和光市で試験運行 自動運転バス 知事試乗/埼玉県
2024/11/23
バスは運転手が乗った状態でハンドル操作や加速・減速を自動で行う「レベル2」で走行します。
現在は、バス専用通行帯以外の一般車線での安全性などを検証していて、市は、来年度以降、通年での本格運行を目指す方針です。
https://nordot.app/1232984026063781999
○<北九州空港~JR朽網駅>間の自動運転バス実証実験 一般試乗の参加者募集中【北九州市小倉南区】
2024.11.23
同活動の一環として、北九州空港~JR朽網駅間で路線バス自動運転レベル2の実証実験を実施します。
「自動運転レベル2」とはアクセルやブレーキなどを一定条件下で自動制御し、運転士が常時運転席で安全確認と適宜介入操作を行うものです。
■新しい職種・新しい産業
バスという乗り物が、電気自動車となり、その操作はソフトウエアで管理され、運行の適切さを、同乗するかどうかはともかくリモートで操作する時代になれば、当然、関わるヒトの職種は変わってくる。
Teslaの求人サイトのAI&ロボタクシー部門にて、テレオペレーターを募集しています。求人情報によれば、テレオペレーションチームは、ロボタクシーやヒューマノイドロボットの遠隔操作を提供する仕事となっています。
https://www.gizmodo.jp/2024/12/tesla-is-hiring-robotaxi-operators.html
こうしたニュースの真偽は分からないが、完全無人化にはリスクがあり、何らかのモニターする要員が必要なことは理解できるし、海外ではこれが行なわれているようである。
○テスラ参入で話題の自動運転タクシー、爆速で実用化が進む中国で「愚か者」呼ばわりされる理由とは
2024.11.1
10月10日、テスラが自動運転タクシーの試作車「Cybercab」(サイバーキャブ)を発表し、話題になっている。サイバーキャブはカメラとAIによる自動運転で自走する、完全自動運転車だ。
https://diamond.jp/articles/-/353075
まだ、夢のよう自動運転には壁がありそうだ。
とはいえ、あらたなビジネスチャンスを狙っている企業がある事も事実であろう。
○ティアフォーが自動運転レベル4搭載のバス「Minibus 2.0」を発売。納車は2024年末から
2024-11-24
自動運転ソフトウェアを研究開発するティアフォーは「自動運転の民主化」をビジョンとし、開発した「Autoware」をオープンソースソフトウェア(OSS)としてソースコードを公開。自動運転技術の社会実装を推進している。また、ソフトウェアだけでなく自動運転車両の開発にも注力しており、小型EVバスタイプの「Minibus 1.0」(自動運転レベル2)はすでに日本各地での運行を開始している。
https://smart-mobility.jp/_ct/17734443
こうした磁土運転バスになった場合、新たなサービスも模索できる。それはバス停のないバスの運行である。
・バスの運行状況はGPSで確認できる。
・バスの運行ルート上では、どこでも乗れる。
・運賃は電子決済で自動的に行なわれる。
・車椅子やベビーカーなどの補助が必要な場合のために、バスに「補助員」を乗せておく
かなり便利になるのではないか?
■その他の記事
○未来の市民の足となるか? 高齢化進むニュータウンで自動運転バスの試乗会 盛岡市
2024年11月24日
盛岡市東松園で開かれた自動運転バス「MiCa」の試乗会には、地区の住民のほか盛岡市の内館茂市長も参加しました。「MiCa」は定員が8人の電気自動車で、車体に設置されたセンサーとカメラで周辺環境を把握して自動運転します。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/ibc/1573720?display=1
○<地域の足としての自動運転バス>運営を阻む3つのハードル、”背伸び”でなく現実解を
2024年11月25日
日本最長の宿場町である奈良井宿を擁する交通の要衝、長野県塩尻市では今、最新鋭の技術を駆使した「自動運転バス」が公道を走っている。
車両はマイクロバスサイズの「Minibus」で、定員は16人。自動運転のシステム開発を手掛けるスタートアップのティアフォー(名古屋市)が製造した電気自動車(EV)バスで、車体のあちこちにカメラやセンサーが付いているが、見た目は通常のバスと変わらない。車内には3次元地図に様々な情報が表示されたモニターが運転席と後部座席に2カ所設置されていた。
政府の自動運転バスに対する期待の一方で、自治体が導入し、運営をするには、三つのハードルがある。
一つ目は「コスト」だ。そもそも、公共交通の性質として、運賃収入で採算をとることは、ほぼ不可能である。そのため技術が確立されても、導入・運営コストが高ければ普及の妨げになる。
二つ目は(運営する側の)人材である。行政視察の受け入れを担当しているある関係者は「自動運転のレベルの違いすら、理解していないことも少なくない」と実態を話す。
三つ目かつ最も高いハードルは「社会受容性」である。「安全」を最優先にするのは日本の良さであるが、事故に対する受容性の低さは、新しい技術を導入する上では障壁となる。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/35761
○長井市4年後をめどに自動運転バス導入へ 12月から実証実験 利便性アップや運転手不足解消目指す
2024年11月25日
長井市内を走る1台のバス。人が運転することなく公道を走る自動運転バスです。車体には取り付けられた3つのセンサーと2つのカメラが人や車など周囲の状況を検知し、指定されたルートを自動で走行します。
「道路上にターゲットラインが引かれていてセンサーで位置を確認しながら安全にカーブを曲がっていく」
長井市では、交通機関の利便性アップや運転手不足解消などにつなげようと、12月21日から自動運転バス1台を試験導入し、実証実験を行います。1日6便、最大乗員9人で長井駅や交流施設くるんとなど市内5か所を結んで運行する予定です。
https://news.ntv.co.jp/n/ybc/category/society/ybbb9566be86414403b15746bf4ffb4adb
2024/12/07