■はじめに
戦前戦後の働き方を歴史的に見ればいわゆるサラリーマンという働き方は少数派であり、大部分は「職人」あるいは「店舗販売(八百屋、飯屋など)」の個人商店を営むことが主流であっただろう。いわゆる日雇いなども含まれる。
企業は不安定な労働力を避けるようにサラリーマンかを薦めたのではないかと思っている。その結果高度成長期には大部分の人がサラリーマンを目指し、実際そうなった。人事制度もそれに合わせて設計され実装されていった。
バブル崩壊後にはこれが一変し、多くの企業は正社員の非正規化を進め働く人に対する責任を放棄した。2024年の人手不足問題は、働き側への再度の見直しが必要になった。企業は無責任な対応を見直すきっかけになりうるのか。そのためには、雇用という側面をもう一度多面的に眺めてみよう。
■安易な早期退職という名のリストラ
最初に取り上げるのはリストラである。ただし、整理解雇という名称は使わない。早期退職という名前で実施されている。2024年はその春に賃金アップが話題になったものの一方ではこうしたリストラが盛んに行なわれた年でもある。
○2024年1-8月 上場企業「早期退職」募集41社 募集人数は前年1年間の2.2倍、7,104人に急増
円安を背景に、好調企業による積極的な構造改革、不振企業の事業撤退が重なった格好で、早期退職の募集は3年ぶりに年間1万人超ペースで推移している。
上場区分は、東証プライムが28社(構成比68.2%)と約7割を占めた。また、黒字企業が24社(同58.5%)と約6割を占め、好業績のうちに構造改革に取り組む動きが強まっている。
一方、直近では住友ファーマの700人募集、シャープの500人募集と、不採算事業の止血を急ぐケースも目立つ。2023年に複数回の募集を行った企業は1社(ピクセラ)だけだったが、2024年は3社(東北新社、ワコールホールディングス、ソニーグループ)が複数回の募集を実施している。不採算事業を抱える上場企業は、事業セグメントの見直しに積極的に取り組んでいる。
企業に余裕はなくなり、優秀な人材だけを残して不要な人材を切り捨てる方向に走っている。ジョブ型雇用とは言っても根っこの所の考え方はこうであろう。その流れに中で解雇規制が話題になったのも2024年の特徴であろう。
○解雇法制見直しに期待 自民総裁選で―同友会・新浪氏 2024年09月17日
経済同友会の新浪剛史代表幹事は17日の記者会見で、自民党総裁選で争点の一つとなっている解雇規制の見直しについて「人が動き始めた今、解雇法制的なものをどう考えるかはありだと思う」と述べ、議論が進むことへ期待感を示した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024091700977
■ステルス解雇、静かな解雇、そして静かな退職
日本にはむやみに解雇できないように法整備が整われている。そのため、グレーゾーンで人員整理をしようという企業側の思惑は見えないところで社員を追い詰める。
ステルス解雇とは、企業が公表せずに軽微な違反を理由に従業員を解雇する手法を指し、人員削減を隠して行うため、世間からの反発を避けようとする企業が用いる手法と言われている。
一方静かな解雇とは、明確な解雇の通告をせずに従業員を退職に追い込むことを指し、正式な解雇やレイオフ(一時解雇)を告げる代わりに、従業員を閑職に追いやるなどして自発的に退職するように仕向ける手法と言われている。
法的に明確な違法性がないために、こうした手法で狙い定めた社員を排除するという姿勢であろう。
しかし、こうした会社側の姿勢は働く人々のモチベーションに大きく影響することが懸念される。それは組織能力の低下をもたらす。
ジョブ型雇用などの話題とともに人手不足感は強く、企業が優秀な人材を取り込みたいと施策展開していることは漏れ聞こえる。しかしこうした施策は働く当人たちの思惑を無視したものであり、おそらくは企業側の意図通りの成果は出てこないだろう。
会社の思いに無条件に賛同する人だけではない。そうした「会社に都合の良い人間以外は排除する」姿を見ていれば、どこかでゆがみを生じる。
例えば「静かな退職」である。
昨年頃から盛んに紙面に登る単語である。
○日本国内で「“静かな退職”をしている」と自覚する人は6割に。30代・40代・50代にも広がる“Z世代らしい”考え方
2024/08/14
アクシス株式会社は2024年7月29日、「静かな退職(Quiet Quitting)」に関する意識調査の結果を発表した。調査日は2024年7月21日で、日本国内の就業経験がある10代~60代の男女300人(10代:1名、20代:43名、30代:137名、40代:75名、50代:33名、60代:11名)より回答を得ている。調査結果から、幅広い年代において「静かな退職」のような働き方をどのように捉えているかが明らかになった。
「“静かな退職をしている”と感じるか?」と尋ねた。すると、「感じる」が26%、「少し感じる」が34%で、合計は60%となった。前質問で「静かな退職」という言葉を知っている人が半数に満たなかったものの、実際には自身が「静かな退職をしている」と感じている人は6割にのぼるようだ。
https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=3457
当然のことながら、優秀な人材は活躍の場を求め流失し、この会社でも良いと考える層は「静かな退職」を選ぶことが想定される。
「静かなる退職(Quiet Quitting)」とは、仕事に対する熱意を失い、必要最低限の業務のみをこなす働き方であり、実際に退職するわけではないが、仕事に対して積極性を見せないまま在籍し続けることを指す。会社のブレーキとは言わないが、アクセルにはなり得ない。
■コーヒーバッジング
もう一つの類似したバズワードである。サボタージュではないが、会社の働かせ方に意趣返しのような行動をとることも危険信号の一つになる。
○企業と労働者の間で乖離する理想の働き方、いま注目されている〝coffee badging〟という新たな対抗手段
2024.11.24
コーヒーバッジングとは、オフィスに短時間だけ滞在することで出社記録をしっかり残し、実際の勤務はほとんど行なわないまま退社する行為(要はコーヒーを飲むためにオフィスに出社し、すぐ退社する行為)を指す。これによってRTO要件を形式上はクリアでき、「まるで中学生のようにオフィス出社をバッジシステムによって監視されている」ことを不満に思う社員たちにとってはある種の抵抗手段にもなっているのだ。Amazonは現在、従業員に週3日以上の出社を義務付けてから1年以上が経過し、このような「コーヒーバッジング」を利用する従業員が増加していることから、オフィスでの滞在時間の管理をさらに強化しているそうだ。しかし、この新たな規制は従業員の間で強い反発を招き、「過剰な管理」として批判されている。
https://dime.jp/genre/1884990/
いくら管理強化をしようとしても会社の思いと働く人の思いが乖離し、いつか取り返しのつかない事態にもなりうる。それの代表例が「離職」であろう。
■加速する離職
マクロデータを見る限り、3年内離職率はほとんど変らない。寧ろ、一年以内に離職する数字が上がっているという報告もある。その理由は、金銭的なものではなく、会社と社員との信頼関係の欠損ではないかと考えている。
○大卒の3割は「入社後3年以内」に離職、納得の理由 2025年01月01日
入社後3年以内に離職する大卒者の割合は、過去20年間、概ね3割前後で推移しています。先に結論を言ってしまうと、これは日本経済が失速して、会社と社員の関係、仕事と個人の関係が変わってしまったことに由来します。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2501/01/news003.html
働く人々の思惑は侮れない。マスでデータを見ていると普遍的な数字が見えてくる。
例えば人事関係での普遍的な数字として、パフォーマンスに関する262の法則と3年内離職率の753の法則がある。
262の法則は、一定規模の大きさの組織では、ハイパフォーマーが2割、普通のパフォーマーが6割、低いパフォーマーが2割というものであり、面白いのは、低いパフォーマーを排除しても、結局は262になると云うことである。これは、低いパフォーマーを排除するのではなく、状況に応じて社員が能力を発揮できるようにすれば組織能力が底上げされ、262になったとしても、それは人が入れ替わるだけであり、全体のパフォーマンスは悪くならないと言うことであると理解している。組織がすべきことは環境整備である。
一方で、大卒の3年内離職率が30%という数字は厄介である。
実はこの数字はマクロ的には20年以上前から変わっていない。
潜在的な数字であろう。
潜在的に「離職」「転職」は環境に関わりなく一定程度の潜在的な意識が内在され、それが顕在化される確率は一定程度であると言うことである。
また、既存社員に対しても注意が必要である。他社に転職という選択肢だけでなく、「会社」そのものからフェードアウトしたいしたいというニーズがあるコトは下記の記事などでも分かる。
■フリーランスという自由を求めて(意識変化)
こうした、「いやなので辞めます」は容易になっているし、働く人々の意識もこれを受け入れる土壌になっている。
○Z世代(26歳以下)の就業意識や転職動向 2023.08.30
Z世代(26歳以下)の転職は、コロナ禍の影響による一時的な落ち込みを除くと、右肩上がりで増えています。2020年度まで全体との差分は一定の範囲内にとどまっていましたが、2020年度以降、全体との差がじわじわと広がりを見せています。今後も若年層の転職は増えていくと見込まれます。
26歳以下の転職者の推移(2009-2013の平均点を1)
2020 2021 2022
18-26歳 2.49 3.91 4.80
全体 2.00 2.91 3.62https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2023/0830_12590.html
彼らにも不安はあるかもしれないが、それでも周辺に成功例や彼らの活動を知る機会が増えればフリーランスという選択肢も現実的になる。
○都市部の会社員、フリーランスに「夢ある」66% GMO調査、 収入より「自由さ」重視 2025年01月05日
フリーランス向け金融支援サービス「FREENANCE byGMO」を展開するGMOクリエイターズネットワーク(東京都渋谷区)はこのほど、都市部に住む22〜60歳の会社員350人を対象に実施した「フリーランスという働き方」に関する調査の結果を発表した。それによると66%が「フリーランスには夢がある」と回答したという。
この「夢がある」との回答は、2023年に実施した同様の前回調査より約13ポイント増加しており、フリーランスという働き方への関心が高まっていることが考えられる、という。
もちろん、マクロの話とミクロの話は違う。離職率が低い会社もあれば、頻繁に離職が繰り返される会社もあるだろう。それでも、自社の社員がそうした選択肢を念頭に置いているかもしれないということを考えておくべきであろう。
特にIT人材は、その技術の可搬性が高いことも後押ししていると考えた方が良い。
○IT人材がフリーランスとして働くことを決断した理由TOP3 2025.01.05
現在、正社員として働くIT人材に、フリーランスへの転向を検討したことがあるかを聞いたところ、「過去に検討したことがあり、今もその意向がある(11.7%)」、「過去に検討したことはないが、今後検討したい(8.5%)」、「過去に検討したことがあるが、今はその意向がない(10.7%)」と回答した人は、合わせて30.9%となった。
現在フリーランスとして働く人が、フリーランスになることを決めた理由としては、「自身のスキル・経験に見合った報酬を受け取りたいと思ったため(22.7%)」が1位となった。以下、「仕事以外にもやりたいことがあり、そのための時間をより確保したいと思ったため(17.4%)」「自身のキャリアアップのために、携わる案件を自らで選びたいと考えたため(16.0%)」と続く。
スキルに応じた報酬や柔軟な働き方、自律的なキャリア形成に魅力を感じ、フリーランスを選択する人が多いようだ。
一般的に、製造業、建設土木、運輸業などはどこの会社でも同じような待遇である事もあり人材の異動は少ないと言われているが、経験者はどこでも歓迎で在り人手不足倒産などもあり、人材は引く手あまたであろう(と思う)。
これに対し、IT系は企業によって報酬制度も変わるので容易に転職しやすいのではないだろうか。
IT人材に特に顕著になるのが、技術の変化に取り残されるという不安であろう。
今の報酬が見合わないと感じるのは、自分のスキルが正当に評価されていないという不満であろうが、そのスキルはいつ時代遅れになるか分からない。そうした不安を会社が払拭してくれないのであれば自己防衛に走らざるを得ない。
■根底にある信頼関係の欠落
不信感は明示的な活動に依拠するとは限らない。覚えているだろうか「追い出し部屋」を。
公式にこのような言葉を使わなくとも社員は感づく。
バズワードとなっている「ステルス解雇」などと声高に叫ぶことはない。しかし、働いている人は感づく。「静かな退職」がなせ発生するのかを考えなければならない。
○静かな退職への企業の対抗策「ステルス解雇」、その大きすぎるリスク 2024.12.27
企業と被雇用者の間には分断があり、断続的な綱引きが行われている。従業員が慢性的に仕事へのやる気を見せず、要求される最低限のことしかしない「静かな退職」と呼ばれる現象も話題になった。
2023年の各社は、こうした状況に対処しようとして、常時チェックの他、長々と時間のかかるミーティングやマイクロマネジメントを行なった。だが、どのアプローチもうまくいかなかった。それどころか、期待される仕事の水準について、企業と被雇用者の間に断絶があることが明確になった。
それは、「恨み」というリターンに返ってくる恐れもある。
そんな馬鹿なと考えるのは危険である。
○社員から企業への「復讐」リベンジ退職が2025年に急増する可能性 2024.12.25
「リベンジ退職」とは、社員が大企業に対して反撃する風潮のことだ。具体的には、過小評価や燃え尽き、社風との乖離といったネガティブな体験に直面した社員が、突然退職することを指す。
MasterClass at Work(マスタークラス・アット・ワーク)で学習デザイン・戦略担当責任者を務めるジョン・スコットは、Eメールで取材に回答し、「怒りの退職(社員が何の前触れもなく、劇的な形で退職という手段に訴えること)」や「怒りの応募(積年のフラストレーションや決定的な出来事をきっかけに、社員が数多くの求人に立て続けに応募して転職すること)」といった現象が起こっていると述べた。
https://forbesjapan.com/articles/detail/76071
■企業の不誠実さ・男女雇用へのあゆみ
企業は誠実さを見せなければならない。
不誠実だと思えばそこに集う人々の信頼は得られない。
それは、小さな事だと侮ってはならない。あなたの会社が「女のくせに」という風土があれば、世界の半数の消費者を敵に回す。
○正規雇用労働者と非正規雇用労働者数の推移(男女別)
男女共同参画局
2019 2020 2021年
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正規雇用男性 2324 2336 2334
正規雇用女性 1137 1193 1221非正規雇用男性 691 665 652
非正規雇用女性 1475 1425 1413https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyo02-07.html
正規雇用は男性優位であり、非正規雇用などのマイノリティを女性に押しつけていることが分かる。管理職に女性が極端に少ないことも肌で感じるだろう。
グローバルを謳う企業が不誠実である事は文化の劣悪さを放置しかねない。フジテレビの問題はすべての企業に内在するリスクである。
■ないがしろにされるシニア層
安く使える労働力は喉から手が出るほど欲している。優秀である事は望ましいが、コストパフォーマンスのコスト面しか目を向けず、安易な政策に走る企業は多い。特に退職後の処遇である。
当然、法規制などで義務化されるが、それでもシニア層がないがしろにされているという印象は拭えない。
○2025年度から65歳までの雇用確保が義務化へ!企業ごとに異なる3つの対応方法
65歳まで働くメリットとは?
2025.01.03
2025年4月から、すべての企業において「65歳までの雇用確保」が義務化されることをご存知でしょうか。
この制度の導入により、従業員は希望すれば65歳まで働き続けることができ、企業はそのための環境を整える必要があります。
https://limo.media/articles/-/73594
法規制に対しては多くの企業ではすでに対応をしており、制度的な問題は起きてはいないだろう。一方で、彼らが活躍できる場を提供しているかと言えば心許ない。同じ仕事なのに給与だけ減ったという不満は良く見聞きする。また、税制上の問題で、労働時間に制約が発生し結果として権限が与えられないままに中途半端な仕事に使わざるを得ないという話も聞く。
雇用の延長を施しの気持ちで行なっている限り、シニア層は負債になりかねない。
■捨て駒とされるビジネスパートナー
私は「ウーバーイーツ」のビジネスモデルが好きになれない。
それは責任の所在が曖昧だからだ。
店側は料理を作り、「お客様に届ける責任」を配達員に押しつけている。
「料理が注文通りである事の責任」はウーバーイーツは担わない。当然配達員も担わない。
注文した人は、「注文通りのものが届く」事に愛する補償をどこに求めて良いか分からない。曖昧だ。ピザの宅配とは無縁である。
アマゾンも同様である。届いた商品に対するクレームはアマゾンを経由してしかできない。また、配達上のトラブル(梱包が破損しているなど)は受け付けない。
○ アマゾン配達員に労災認定 フリーランス、実態は雇用と判断 2025年3月19日
ネット通販「アマゾン」の配達を担うフリーランス(個人事業主)の男性運転手(49)について、宮崎労働基準監督署が配達中のけがを労働災害と認定したことがわかった。男性の代理人弁護士らが19日の会見で明らかにした。労基署の決定は2月28日付。
弁護団は、男性はアマゾンのスマホアプリを通じて配達先や労働時間が管理されていたことなどから、フリーランスのような裁量はなく、「労働者」と判断されたとみている。
https://www.asahi.com/articles/AST3M1RKKT3MULFA016M.html
○ セブン―イレブン店長、6カ月間一日も休みなし 過労自殺で労災認定 2025年4月7日
コンビニ最大手セブン―イレブンの大分県内の店舗で店長を務めていた男性(当時38)が2022年に自殺し、6カ月間で一日も休日がない連続勤務を原因とした労働災害と認定されていたことがわかった。労災認定された連続勤務の期間としては異例の長さとみられ、コンビニの過酷な労働実態が明らかになった。
https://www.asahi.com/articles/AST4622JBT46ULFA01CM.html
法的な問題までは放置するという姿勢は好きになれない。ビジネスパートナーに対する無責任さはいつかしっぺ返しを食らう。契約に関して人事部門は無関係ですというスタンスは感心しない。
■日本型雇用からの転換点
日本型雇用と言えば「終身雇用」「年功賃金」「新卒一括採用」であっただろう。
このうち「終身雇用」は乱発される「早期退職」や「早期離職率の高さ」で有名無実化しているだろう。「ジョブ型雇用」が常態化すれば「年功賃金」もその色彩は弱くなる。
「新卒一括採用」も廃止するという下記のニュースには驚いた。
○ 富士通、新卒一括採用を廃止 新卒入社者の年収は550万円~700万円に
「ジョブ型」採用で競争力強化
2025年03月11日
富士通が、2026年度から新卒一括採用を廃止する──。同社は3月7日、ジョブ型人材マネジメントに基づく採用方針を発表した。新卒採用・キャリア採用の区別を設けず、必要な職務を担う人材を、通年でフレキシブルに採用。競争力を強化する。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2503/11/news091.html
とはいえ、大企業でも無い限りは応募しても人は十分に集まらず、内定辞退も高度成長期のような無縁さでは臨めない。また、入社後にすぐに離職する傾向が強くなってきている以上、その採用コストは無視できないというのが企業側の本音であろう。
○ “3年以内の離職率30%超え”で採用コストの回収はもはや不可能…昭和時代から漫然と続く「新卒採用」からの完全撤退を検討すべき理由【人材のプロが助言】
2025.3.31
日本では「新卒採用」が根強い人気を誇ります。その背景には、中途採用で集めた人材をマネジメントすることが難しいため、何も知らない新卒を自社の文化に染め上げようという意図があると考えられます。このような、昭和時代から変わらない採用方法には、果たしてどれだけのメリットがあるのでしょうか。
中途採用で経験豊富な人材を集めても、マネジメントが難しく、企業文化に染まらないという課題があります。だからこそ、昭和時代から続く「新卒を自社の文化に染め上げたい」という固定概念が根強く残っているのです。
しかし、最近のデータによると、新卒就職者の3年以内の離職率は約30%に達しています。また、新卒一人を採用するためにかかるコスト(採用担当者の人件費、面接担当者の費用、採用セミナーの実施など)を合算すると、一人当たり1,000万円近いコストがかかると言われています。
https://gentosha-go.com/articles/-/67786
■まとめ
企業の人材に関しての配慮事項には下記がある。
(1)労働法の強化
すでにストレスチェックの義務化などを含めた従業員に対する安全対策が求められ、また雇用に関しても2025年度から65歳までの雇用確保が義務化が報道されている。
(2)賃金格差
大手企業では一定数の賃金上昇の傾向はあるが、中堅規模の企業以下では原資がなく十分な賃上げに対応できていない。そのため、特に中小企業での人手不足あるいは離職リスクの高まりがあり経営が不安定化している。
(3)リストラ
大手企業は業績に関わりなく、事業ポートフォリオを柔軟に変更せざるをえず、これに伴い、特にベテラン層以上の社員にまでリストラの波が押し寄せ、雇用が不安定化している。
(4)人材の流動化
転職の支援サイトが充実してきており、容易に転職ができる環境になってきている。人材の流動化に心理的な障壁が少なくなってきていると感じる。
こうしたことを前提にしたときに、働く人たちの意識は会社にしがみつくと言うことは薄くなり、地震の未来に思いをはせる行動原理になってくる>従って企業側はそれを前提とした人事戦略はとらなければならない。
それはどのようなものかは考えて欲しい。
しかし普遍的なことは言える。
それは「社員からの信頼を勝ち取る」というブランドを作ることだ。
すなわち企業がすべきことは社員の信頼を勝ち取ることではないだろうかということだ。
社員を大切にしていないと分かれば、会社に対する対応も変わりかねない。
最近のバズワードにはステルス解雇という言葉もある。
ステルス解雇は「企業が、それとはっきりわかるレイオフを始めるのではなく、目立たないように人員削減することを指す。例えば、軽微な違反に的を絞り、従業員に静かに退職を迫ったり、退職を促すような職務に配置転換したりすることだ」と定義されている。
会社のこうした姿勢は、会社に対する不信を増幅させ兼ねない。
また、いったん約束したことを反故にすれば社員の逆襲も始まる。
簡単なことである。
経営者は社員と話し合いを進め、約束を違えないことである。
2025/04/07